「え?病院キライ?オレも大キライだぜ!」
ご存知、野良医者“エバっちゃん”が、シキイの高い医学界を、力いっぱい引きずりオロし、
細かくクダいてさしあげる、一番ワカりやすい「ツレヅレ雑談」“That's done!”

2007年08月16日

【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その6            桜舞い散る道の上で                      (さくらまいちるみちのうえで)


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今回の【病棟日記:第二弾 その6】で、
いよいよ、この『“静脈瘤破裂”』編は、最終回だ。


長い間のご愛読、まことにありがとうございました。



では早速、本編スタート!


あの“オジサンの静脈瘤”と“ブルボン林国原”に、ケリをつけた、その翌日の朝、オレはドクターズ・ラウンジ(医者の休憩所)のソファの上で、かなりギリギリに目を覚ました。


あ〜、アッタマいてぇ…身体中がダルい……アらら…白衣とズボンのまんまで寝たからグッシャグシャだぁ……エ?……ウわ! もうこんな時間!!!


研修医って立場上、遅刻はマズイ! 顔も洗わず、アワてて、リカバリー・ルームに行くと、ちょうど南のヤツが、オジサンのハナから“S.Bチューブ”を抜いている最中だった。

「金沢先生の許可がおりたんですよ。」と南は言った。


イヤよかった…あの苦痛のタネであるハナチューブが抜ければ、オジサンのストレスは大分、減って、かなり楽になるだろうからね。


「…南せんせぇ…江畑せんせぃよぉ…ホントに…助かったよォ…おかげで命拾いしました…ありがと、ありがとぉ……」

あの苦痛のタネである、
ハナチューブが抜けたオジサンは、ナミダ眼でオレらにこう言ってくれた。


「それにしても江畑先生、すんんごいイビキだったですねぇ……ボクもあそこ(ドクター・ズラウンジ)で寝ちゃってたんですけど、アンマリにも凄い“爆音”で、夜の11時くらいに思わず起きちゃって、その後、自分ンちに帰っちゃいましたよ、うぇ〜。」

オレは、いままでの人生で、イビキなんかかいた経験は(たぶん?)一回も無いはずなんだけど、昨晩は、イロイロあって、オレもフツーじゃなかんたんだな、たぶん。


だけど南のヤツ、
昨晩のオレのブルボンへのサブミッション(関節技)攻撃、全然!気付いてないらしい。

そういや…当のブルボンのヤツ、ど〜したろ?

まさか、あのまま体調崩して、気分も害して、
(グズって?)出勤拒否?なぁんてなコトになっちまってるんかな?

イヤ、アイツのズーズーしい、タフすぎる生命力ならば、恐らく平気だろ。




その後…


オジサンの容体は、日を追うごとに、
文字通り、「見違えるように」、順調に回復していった。

管だらけのオジサンの身体から、パルスオキシメーターが、酸素チューブが、Aラインが、心電図モニターが、自動血圧計が、24時間持続の点滴が、尿道バルーンが、ドンドン外されていった。

輸血も当然、もう必要なくなっていた。

それと平行して、
リハビリも順調に行なわれていった。

栄養補給も、以前の、絶食=点滴のみから、
経口(けいこう:口から食事をとること)にスイッチし、一分粥(いちぶがゆ)から三分、五分、七分とアップしていき、最後は“米そのもの”を、食べれるようになったんだ。




え?
あのあと、ブルボン林国原、どうなったか?…って?

アイツ、あの日以降、オレの顔見ると、「ア、江畑せんせぃ…」なぁんてな具合で、オレに対しては、結構フツウの対応だったんだ。

例の「ブルボン極め事件」、アレ、不思議と大事にはならなかった…みたいなんだよな。

あの夜のオレの狼藉(ロウゼキ)を、ブルボン自身が、上層部に、オオソレながら…と訴えなかったのか、または訴えたんだけど、酒の上でのアヤマチで済まされちゃったのか、実際、オレよく判らない。

まぁ、「無神経 & プライド」が白衣着てるようなアイツのこと、平民のオレ(?)なんかにシメられた、なぁんて、口が裂けても、マワリに言えなかった?…のかも知れないんだけどね。

しっかしまぁ、顔中のアナというアナから、アブラアセ、ヨダレ、ナミダ、ハナミズ…なんかの液体をタレ流しながら、バンビの様なマナザシでオレを見上げていたヤツのアワレな顔が、オレあれから当分、目に焼きついて離れなかったなぁ。




ところで…

あの硬化療法の時、本番でオレが静脈瘤に注入した、
あの薬剤、静脈瘤を固めた、あの「硬化剤」、の正体って、何だかわかる?

…って、わかるワケないよね。

答えは、
なんと驚くなかれ、「アルコール」なんだ。

胃粘膜の下にアルコールを注入し、
その「脱水作用 だっすいさよう」で、周りの組織を固めてしまうんだ。

「アルコール」で壊れた肝臓から生じた静脈瘤を、
「アルコール」が主成分の薬剤で治療する…ナンという皮肉なめぐり合わせか、って正直思ったよ。





それから数週間後…


体力をすっかり取り戻した、
あのオジサンが、ナースステーションに「一時外出」を申し出てきた。

何でも、免許(大型一種)の書き換え、なんだそうだ。
もちろん、退院後の仕事(=運送)に間に合わせる、っていう理由でね。

あの“胃静脈瘤破裂”のスッタモンダの日々を一緒に過ごしたオジサン、ついに院外(いんがい:病院の外)に出られる許可が下りたんだ。
背広姿で外出していくオジサンを見たときは、オレ正直、感無量だったよ。

ただ、前にも言ったけど、「硬化療法」によって、肝硬変そのものが治癒したわけじゃあない。だから経過良好って言っても、引き続き十分なる注意が必要、ってことには変わりはないんだけどね。





そうそう、皆さんに、
ブルボンの件でもうひとつ、ご報告しなきゃナランことがあった。

…っていうか、アイツ、あの事件の後、他の自分の患者サンに、トンでもない“医療ミス”を起こしたの、ご存知かな?

このメルマガの熱烈なるファンの皆サマなら「もう知ってるよ!」って?

ワカんない初心者読者の皆サマは、今スグ!以下↓をご参照下さいな。

【カルテNo.23】「カメラのクダがクダらない」




「ブルボン林国原」が、
今現在、どこで何をしてるのか、オレ、実はマッタク知らない。

え?…ナンで、って?

オレ、あと数ヶ月で、
「自愛堂医大(じあいどういだい)」第五内科での研修がおわったら、
「西都医大(にしみやこいだい)」の、(偶然同じ)第五内科への“移籍”…っていうか、入局(にゅうきょく)が、すでに決定していて…

で、それから母校である、
「自愛堂医大」には、オレその後、二度と戻ることはなかったんだ。


医科大学=6年(医大は4年ではなく6年!)、研修(修行)=2年、
ツゴウ8年も、この人里はなれた山奥の「自愛堂医大病院」に幽閉?されていたオレにとって、当時、コンクリート・ジャングルに囲まれ、大都会のド真ん中に病院を構えた「西都医大」は、まさに“夢”と“希望”に満ちあふれた、輝かしい存在、だったんだ。

(しかし…「西都医大」へ移籍後、そこでの医者生活が、母校「自愛堂医大」の時よりも、さらにトンでもない、リフジンな、究極の“生き地獄”、“ヘビのナマゴロシ人生”!……だって、オレが気が付くのは、もっともっと後のハナシ、なんだけどね。)





そして…

その何週間かあと、あのオジサンは、
めでたく迎えに来た奥さん、娘さんともに“退院”していったんだ。


深々と頭をさげる、オジサンと、その家族…
笑顔で見送る、金沢先生、オレ、南、淀橋婦長らスタッフ……

“患者に感謝されて、退院を見届ける”

この瞬間のために、大学病院の医師の存在はある。
まさに「医師冥利に尽きる」ってのを、肌で実感する瞬間だ。

しかし、それ以上に、今回、最悪“死亡退院”の、
覚悟をしていたオレにとって、このハッピーエンドは、まさに奇跡だったんだ。





じつは、
オレ自身も、この病棟を去る日が近づいていた。

さっき書いたけど、ここ「自愛堂医大」での研修(=見習い)は、あと数ヶ月で終了するんだけど…
あと数日で、重症患者ばっかりだった、
今勤務してる「消化器内科」病棟から、新たに、
関連病院内の「神経内科」の病棟への“異動”(=オレの最後の研修生活)が決まっていたんだ。

お世話になったわが師「金沢先生」とも、
戦友?で後輩の「南」のヤツとも、サヨナラしなきゃなんない。

結構ツライけど、
“研修”って制度上、コレばっかりはどうしようもない。

徹夜ばっか、重患(重症患者)ばっかの、激務、激務しか思い出がない、相当キビシかった「消化器病棟」だけど…ココを去ると思うと、ナンだか、ひどく名残惜しい。

やっぱ“住めば都”って、ホントなんだな。






それから…


数日後の、ある晴れた日……


オレは無事、病棟の仕事を終了し、
最終の申し送りを終え、早めに病院を出て駐車場へ向かった。

新しく職場(戦場?)になる、
“最後”の“研修先”の“関連病院”へ、クルマで荷物を移動するためだ。


こんな日の出ているまっ昼間のうちに、
病院の外に出るなんて、何日…いや何週間ぶりだろうか。


病院専用の駐車場は、
坂道を下りた表通りに面した所にあった。

見ると、
病院前の通りの両側の「サクラ並木」は“満開”だった。

それはもう、見事なくらいにね。


ほとんど病院に
「カンヅメ」だったオレは、そこで初めて気がついたんだ。

「あれ、季節がかわってる、春だ…」って。






すぐ後ろで、車の止まる音が聞こえた。

「江畑先生よぉ!」


振り返ると、
そこには配送用のトラックに乗った、あの「オジサン」の笑った顔があった。


職業=トラック運転手…って聞いてたけど、
実際、トラックに乗っているオジサンを見るのは初めてだった。

金沢先生の外来診察を終えて、これから仕事に行くところ、らしかった。

「先生、おかげさんで体調いいよ。ホラ、こうして仕事にも復帰出来たよ。病院のみんなが一生懸命やってくれたおかげだよ!」

オジサン、生き生きしてる。
あんな死の縁をさまよった人には、とても見えない。

「うん。だけど一番がんばったのは、他でもない、当の本人なんだからさ。ちゃんと外来は通わなきゃあね。 まだまだ予断を許さない“肝臓”なんだから。 あと……また、もし今度、入院してきても…オレもういないからね!診てあげられないからね!!」

運転席のオジサン、ご冗談を…ってなカオをして笑ってる。


「それから…もう酒は絶対!ダメだよ。」 オレはクギを刺した。


「酒?」

オジサンは首を横に振った。

「酒はもうコリゴリだよ。ありがとう、先生たちはホント、神サマだよ! じゃあ。」



そう言うと、オジサンはアクセルを踏んだ。





ふいに 強い春の風が
サクラの木々を吹き抜け 無数の花びらが 青い空に舞った。


そしてそれは
淡いピンクのレースになり


小さくなってゆくトラックと
それを目を細めながら見送るオレとの間に


まるで 幕を下ろすかのように ゆっくりと降り注いできた。























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「ホーム“レス”ドクター」の、
“連続小説風疾患別医療現場暴露裏話的病棟日誌”


★★★『ハダシで逃げ出せ、こんな病院!』★★★
【第二弾】:『静脈瘤破裂 じょうみゃくりゅうはれつ』編 (全6話)

【病棟日誌:第二弾その1】---“酒”で死ねれば「ホント」に「本望」?---
【病棟日誌:第二弾その2】---ドクター・ブルボンの華麗なる日常---
【病棟日誌:第二弾その3】---対「静脈瘤」“連合軍”結成---
【病棟日誌:第二弾その4】---待ってください“成人式”まで---
【病棟日誌:第二弾その5】---ラストバトル---
【病棟日誌:第二弾その6】---桜舞い散る道の上で(最終回)---




★【キャスト】★

◆オレ
----------江畑 李下(えばた りか)自愛堂医大 研修医2年目
◆華麗なるドクター・ブルボン
----------林国原 華彦(はやしくにばら はなひこ)林国原財閥 御曹司
◆師匠のDr.カナザワ
----------金沢 健吾(かなざわ けんご)第五内科 消化器病棟 金沢班班長
◆ウェ〜のミナミ
----------南 義明(みなみ よしあき)自愛堂医大 研修医1年目
◆ホトケのDr.コボトケ
----------小仏 久仁夫(こぼとけ くにお)自愛堂医大 第一内科講師
◆一番上のDr.ツルガミネ
----------鶴ヶ峰 浩(つるがみね ひろし)第五内科 消化器病棟長
◆花子ソックリNs.(ナース)のヨドバシ
----------淀橋 富佐子(よどばし ふさこ)第五内科 消化器病棟看護婦長

◆肝硬変・静脈瘤破裂のオジサンと、その家族の方々

◆自愛堂医大 大聖堂病院(じあいどういだい だいせいどうびょういん)職員の皆さま



★【スタッフ】★

◆企画:  江畑 李下
◆製作:  田部 晃 【株:アイナレッジ】代表
◆総指揮: 江畑 李下
◆脚本:  田部 晃 &【株:アイナレッジ】『総合健康ドック』企画部
◆原作:  江畑 李下
◆編集:  田部 晃 &【株:アイナレッジ】メルマガ編集部


★【ロケ地】★

◆自愛堂医大 大聖堂病院 ほか






【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】 の “あとがき”


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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その5        ラストバトル                              (らすとばとる)


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いよいよ今回は、
あの「胃静脈瘤」に対する、オレらの、最後の“戦い”だ。


決戦当日の夕方、“小仏先生”と、“南”が、第1内科の『内視鏡(胃カメラ)セクション』から、オフィシャルグレーのカバーのかかった大きな塊(カタマリ)を、移動用キャスターに乗っけて、オジサンの寝てる「リカバリー・ルーム」に運んできた。

コレが、
ウワサの新兵器、「舶来品の内視鏡(胃カメラ)」か。


そのカバーをはずす。

……ナンじゃ?この“奇ッ怪”な“器械”は?

色も形も、“管”そのものは、日本製のものと比べて細いんだけど、つながってる「吸引機」や「変圧器」、「光源」その他の本体部分が、通常の倍くらいデカい。

新兵器を構え、
操作する第一術者は、1内(いちない=第1内科):ホトケの「小仏先生」、
補佐=第二術者は、わが5内(ごない=第5内科):オレの師「金沢先生」、
オレ=江畑は、硬化剤入りのハリ付き極細クダを構えていつでも準備万端、
研修医の「南」はそのオレの補助、
病棟長の「鶴ヶ峰先生」も総監督としてスタンバイしている。

そして、ナース(看護婦)、テクニシャン(技師)側も、淀橋婦長ら、われら5内のメンバーに加え、1内から内視鏡専門のスタッフが駆けつけてきている。

以上のような混成チームで、
いよいよ、オペ=新内視鏡的対胃静脈瘤硬化療法(!)が始まった。


オジサンは覚悟を決めたのか、“サトリをひらいた”ような、穏やかな表情で、前処置(ぜんしょち:局所麻酔の点滴投与など)の準備を受けていた。

逆に、オレはというと、ハズかしい話だが、相当“緊張”していたんだ。

失敗したら、相当、高い確率で、“死”ってことになる。
この器械で、果たしてホントに止血なんか出来んだろうか?…ってね。

セデーション(=沈静用のクスリ)の点滴を、ウデの静脈に落とす。それは数秒で効果があらわれ、オジサンはウトウトとし始めた。


「それでは、挿入します。」

小仏先生と金沢先生が、
まず、アナ空きマウスピースをくわえたオジサンの口に管を入れる。
それは、すぐに食道を通り抜け、胃の奥のポジションまで無事に届いた。

いつも、
ここまではスムーズに行くんだけど、問題なのはこっからなんだ。

小仏先生が、ゆっくり内視鏡を反転する。
ティーチング・スコープ(=内視鏡:胃カメラの“二股ソケット”)を握った金沢先生が、慎重にアタリを探る。

「いた、小仏先生、アレです!」

内視鏡(胃カメラ)の視界に、
ドス黒い血液を垂らしている“静脈瘤”が、その姿を現した。

今まで、さんざんオジサンを、そしてオレらを苦しめた“真犯人”は、その青黒くでっ張った“グロテスク”な姿を、内視鏡(胃カメラ)のライトの明かりにサラしていた。

今は幸い、わずかな出血でおさまっているようだ。が、すぐにでも大出血を起こすかも判らない、“時限爆弾!”だ。

小仏先生が、
スナイパーのように手首の微妙なスナップを利かし、狙いを定める。動きが止まる。

どうやらエモノをとらえた様だ。

金沢先生が言った。「よし、挿入。」

オレと南は、極細のクダを、内視鏡(胃カメラ)のサイドの穴に入れた。
エッジをきかせた管に添うように、ゆっくり、挿入を続ける。

「ストップ!」

ハリ付き極細クダは、
その先端をヤツのハナ面(ズラ)に突き出したようだった。

金沢先生が、オレからゆっくり極細クダを受け取る。
小仏先生が、もう一度、内視鏡(胃カメラ)を慎重に固定し…


「いきます!」
そう言って金沢先生は、ハリ付き極細クダを、静脈瘤の一点に突き刺した!

そしてすかさず、オレに叫んだ。
「いまだっ、江畑っ、インジェクション!」

オレは指示された量の“硬化剤”を、極細クダの根元から一気に注入した。

「この静脈瘤ヤロウめ!コレでも喰らいやがれ!」オレは心の中で叫んだ。


オジサンの顔が、苦悶にゆがむ!


「硬化剤」の静脈瘤への注入、ってのは、
患者本人にとっては、いくら安定剤で意識をモウロウとさせていても、“相当な痛み”を伴うモンなんだ。(←この治療に従事した医者“だけしか!”知らない事実。)


一瞬、静寂が走る。


「O.K、よし、いいぞ!」 Dr.小仏が言った。

「出血していない、この調子だ。」


場所をずらして、固定する。
そして、再び内視鏡から出た極細クダを、静脈瘤に突き当てる。

Dr.金沢が言う。「江畑、硬化剤!」
オレは「こん畜生め!」ってキモチを込め、再度、薬剤を注入した。


Dr.小仏が言う。
「…よし、順調だ! 次の箇所!」



そんなプロセスを、何回も何回も繰り返すうち…


あの青光りしていた静脈瘤は、
徐々にその隆起(デッパリ)をなくしていき、
ドス黒い出血も、やがては認められなくなっていったんだ。



何分?…いや何十分?…経っただろうか?

静脈瘤は消えていた。


終わった。 なんとか無事に終わったんだ。


汗ダラッダラ状態で、
白衣の下がビッショリだったオレは、
ここでやっと、みんなの顔をグルッと見る余裕が出来た。

全員、極度に疲労してるんだろうけれど、その顔は満足感で輝いている。
金沢先生が、満面の笑みを浮かべて小仏先生と握手してる。
南のヤツは、また床にヘタリこんでいる。

オレは早速、
控え室に待機している奥さんと娘さんに報告に行った。

「依然、予断を許さない状況ですが、1つのヤマは、どうやら超えたようです。」

そして、リカバリー・ルームに戻り、麻酔の醒(さ)めかけたオジサンに言った。

「やったよ、血が止まったよ。」

曖昧(アイマイ)な意識の中で、
オジサンは涙を流していた。ベッド脇に来た奥さんも娘さんも泣いていた。
オレらは勝った。

ついにあの “イマイマしい”胃静脈瘤に勝ったんだ。


ヘタバってた南のヤツが、思い出したように言った。

「みなさん、確か、ドクターズ・ラウンジにビールがありましたよぉ、みんなでグッといっちゃいますかぁ?うぇ〜…」

「いいね、賛成!」 「早速、乾杯といこうか?」

…って、
みんな、疲れを忘れて盛りあがってんのはケッコウなんだけど、

オイオイ!
オレだけ“酒”飲めないってえの! 下戸(ゲコ)だっての!!!
































アレ?


……どこだココ?


「ドクターズ・ラウンジ(医者の休憩室)」の天井が見える。


ゆっくりと起き上がる。 …ガランとした部屋……
目の前の机の上には、スポーツ新聞や、ビールの缶、コップ、柿ピー、せんべい、スナック菓子、チョコレート、スルメイカ、菓子パン、ポテトチップ……なんかが、アッチャコッチャ、キッタならしく散乱している。


どうやら、オレは、
ここ「ドクターズ・ラウンジ」のソファで寝たいたらしい。

時計を見る。 アりゃ、もう9時だ。

そうか…あのオジサンの治療が、大成功に終わって、オレらは、ココ(ドクターズ・ラウンジ)へ来て、プチ宴会騒ぎをやってて、皆んなで大盛り上がりしちゃって……オレは例によって、酒ダメなんで、全然飲まなかったけど、過労気味だったんで、結局、今まで寝ちまったんだろう。

ふと気がつくと、反対側のソファには、南のヤツが、ドテ〜ッってな感じで、熟睡してる。

…んっのっかっ〜…ぴっしっ〜やっすっう〜〜っっつう〜
……ってな具合で、まったく…ホントにコイツ、罪のないネガオだ。

班長の金沢先生や、1内の小仏先生の姿は無かった。
たぶん、オレと南をそのままにして、帰ったか、あるいは、医局(いきょく:医者のツメ所)あたりで、また忙しそうに仕事をしてるんだろう。

さぁ、今度は、あのオジサン、全身状態をもっともっと良くして、栄養付けさせて、他んトコにまた静脈瘤とかの合併症がないか、今のうちにチェックしておいて…

オレが、
あのオジサンの今後をアレコレ考えていると…

ガチャン!と、扉が開き、


「…ア? 江畑せんせぃ…?」


ここドクターズ・ラウンジに、あの“ブルボン林国原”が、ひょっこり現れた。

例の“内科学会の準備”とやらで、
おおかた、ナレない居残り仕事でもナサってるんだろう。


「…キミ、まだいたの?ボク、例の学会の準備、ナカナカ進まなくってねぇ…」

そう言いながら、
ソファに座ってるオレの隣に、ドッカと腰を下ろした。


「…そうそう、ボクの患者、あの“吐血オジサン”、助かったんだってねぇ、イヤおめでとう。ウンウン……だけど…う〜ン…正直、チョッと迷惑…かなァ〜…ナァーんてね。…あの患者、退院したら、またボクの外来で、見なきゃいけないんだよねぇ…」


オレは口を真一文字に閉じ、黙っていた。


「…でさぁ、またまた吐血なんかしちゃって、また入院…かな? で、その時、ボク、診るの、またチョッと遠慮したいナァ…だからさぁ、江畑せんせぃ、キミの班、また受け持ってくれないかなぁ?…その時までキミがこの病棟で研修、やってればねぇ……イヤ〜冗談冗談!ジョークだってば!…」


例の、キグライの高そうな?コロンのニオイが、あたりに充満しはじめた。


「…キミはエライ!休みも返上して、患者診るなんて、大したもんだよ!江畑せんせぃ…だけどね…正直申し上げるとさぁ…そもそも、“内科の病気”ってのはさ、残念ながら…完全には、なおんないモンが、多いのさ。ココ“消化器内科”は、ガンや肝不全ダラケだし、 “腎臓内科”は、結局、透析(とうせき)だし、“神経内科”は、アリャ医者が診断だけして満足する科であって、結局、治療といったらリハビリとステロイド投与、だけだしね…」


ブルボンのクセのある声が、「ドクターズ・ラウンジ」に響きわたってる。

「…唯一、内科のなかで、マトモなのは、“循環器内科”かなぁ?……え? だって、心臓止まっちゃって、緊急入院した患者、けっこう助かって、オモテ玄関から退院していくでしょ?ところがだよ、他の内科病棟なぁんて、どうせ再入院か、裏口退院(=死亡)ってのが、かなりの数、いるよねぇ?…」


机の上に、誰かの飲みかけの、
ぬるいビールが、大きめのマグカップに半分ほど注いだマンマになっている。


「…この消化器病棟をゴランよ。月に何人の患者が入院してきて、そのうち何人の患者が死んでるんだい?こんなステルベン病棟、マッタク、なんのための入院施設なんだかネェ…ボクら、やる気なんか無くなっちゃうよねぇ。ホントはキミもそうなんでしょ?…あんなお先マックラな患者、押し付けられて、実はムッとしてたんじゃないの、江畑せんせぃ?」


オレの耳には、
ブルボンの戯言(ザレゴト)が遠慮なく注ぎ込まれて来る。


「…だからさ、結局さ、内科のなかで、“循環器内科”の医者だけが“エリート”なんだよね。ボク、今、内視鏡(胃カメラ)やってるけど、そのうち医学博士号とったら、循環器のほうに移って“血管内視鏡”を学ぼう、って思うんだよ。少なくとも、こんな病棟には残ってない事だけは確かなんだよね。…」


オレの鼻には、
ヤツのコンクな(=濃度のコい)香水が浸入してきている。


「…で、ホントはボク、この“消化器病棟”にいるようなニンゲンじゃあないんだよね。こんな病棟、患者と家族の別れを演出する、セレモニー(儀式)の役割しか成してないんじゃぁないの?もう死亡宣告するのも、死亡診断書かくのも、イヤでも慣れちゃったしねぇ…ホント、まいっちゃうね。」


オレの目には、
気の抜けたビール入りマグカップが写っている。


「…結局、あのオジサン、サヨナラの儀式が、チョッとばかり伸びたに過ぎないんじゃないのかな?…いずれ、だれかが看(み)取ることになるんだよねぇ。肝硬変って、5年はもつけど、10年はもたない、って、ボク思うんだけどねぇ…あの人、あれは今年中にまた再入院のパターンだよねぇ、きっと。」


オレは、
おもむろに手を伸ばし、ビールの注がれたマグカップを掴(つか)んだ。


「…エ? アレ? 江畑せんせぃ? ねぇ……?」


ブルボンの言葉を無視し、
オレはそのマグカップに口をつけ、イッキに中身をノドに流し込んだ。


「…ア!…キミ、飲めないんじゃなかったの?……」


なまヌルい“琥珀色の液体”は、アルコールを全然受け付けないオレの食道を、痛みと熱をともなって通過し、オレの起きがけの胃を直撃した。


「…キミキミ、大丈夫かな?…飲めない人がそんな飲み方すると、あのボクの患者、肝硬変吐血オジサンみたいになっちゃうかもよ?…ハハハハハハ…」


そう笑いながらブルボンは、
オレの右肩に、自分の左手をトンと無遠慮に乗せた。


その瞬間、


オレのココロん中で、何かの「タガ」が“パッキン!”とハズれた。


「…まぁまぁ、キミ、そうムリしないで…」

オレは、右肩に掛けられた、
ブルボンの左手首を、オモイッきし!逆関節をキメるようにネジリあげた。


「…キ、キみょりゃありててったたたたたぁ…!!」


フイをつかれたブルボンは、
目を大きく見開いて、まるで化けモンを見るようにオレを凝視した。


オレは構わず、もう片方の手で、ヤツの、鳥のハネで出来た、ご自慢のケバケバネクタイを掴(つか)んで、立ち上がりざま、ムリヤリ天井に突き上げた。


「…ごぐびゅっつつ…げゲら…!!!!!!」


ヤツの身長は、自称「170cm」、それに比し、オレの方は「190cm弱」だ。 必然的にヤツは足が届かなくなる。アワレなオボッチャマは、お気の毒に、必死に背伸びをしてイラっしゃる。

(自称170って言ってるヤツは、たいてい170なんかネェんだよ!)


まるで、ネクタイでのハングマン(つるし首)か、正月アメ横のアラマキジャケ状態のブルボンの耳元に、オレは、低く、ゆっくり、噛んで含めるように、こう流し込んだ。

「ブルボンよ…あんましオイタが 過ぎると“お尻ペンペン”どころじゃあ済まなくなるぜ…。」

そう言って、
オレは、ヤツのハデハデネクタイから手を離した。

同時に、ご自慢のサラサラな御髪(オグシ)が乱れ、
顔がサーモンピンクに変色したブルボンは、ソファにぼてっと崩れ落ちた。


「…エ、江畑あッ…ごぶ…き、キミゃ〜…研修医のブンザイ……ウば…」


あれ? コイツ、まだ元気じゃん。

ブルボンの“生きのよさ”を確認したオレは、
オレを睨みながらソファでゲホゲホ咳き込むヤツの背後にすばやく廻り込み、左手で左肩関節を前から絡(から)め取る様に、後ろ手にシめ、右手を顔の前から頚動脈〜アゴにまわし、左後頭部あたりで両手首をガッチリとロックした。


やや無理な体勢からの、
片羽顔面締め(かたはがんめんじめ)、
正式名称:チキンウィング・フェースロック、っていう必殺ワザだ。

チキン(卑怯モン&根性ナシ)の、
コイツにゃ絶好の“サブミッション”(=関節技:関節を極める荒技)だろう。

ヤツの顔面に走ってる三叉神経 第二枝 および 第三枝を、
オレの右腕の骨(=トウ骨)が圧迫し、左肩関節と顎関節も同時に極まっている。

「…はかァが……ま……らガ……ラあ〜!……ばぁア………!」


ミリギリッと、顎関節が、鈍い音をたてて軋(キシ)む。
ビルグビッと、左肩関節が、悲鳴をあげて撓(シナ)る。
「......げエぇ!べ〜…〜れ…ゥげ…〜…!!!」


その体勢のまま、
オレは再度、ブルボン林国原の左耳に、ゆっくりと囁(ささや)いた。

「オメーは、よく“ボクの患者ぁ”、“ボクの患者ぁ”言うけどなァ、あのオジサンは、もうオレらの患者なんだよ。ワカってんのかぃ?…」


「…えゲゥ…〜…ぁ〜ごェ…!!!!!」


「あのな、ニンゲンの価値ってぇヤツはだな、親からもらったモン、全部、カラダから取っ払って、あとに何が残るかで決まるんだぜ。んで、オメーにゃ一体、ナニが残るんって言うんかな? エ? ぶるぼんちゅわん?…」


「……ゥ…………べ!!!!!!!」


何にも気づかないで眠り続ける“南”の「寝息」と、
バタ足状態でモガく“ブルボン”の「声にならない悲鳴」と、
ブチ切れて、怒りに燃える“オレ”の「オセッキョー&荒いハナイキ」が、

ガラ〜ンとした、
夜の「ドクターズ・ラウンジ」に、響きわたっている。


ブルボンのサーモンピンクの顔面は、だんだんドス黒く変色し始めた。
これが医学的に言う、「チアノーゼ」っていう、O2=サンソ不足の状態だ。

さらにもう少々、シメ続けると、確実に、「意識レベル300=昏睡(こんすい)状態」になっちまうだろう。オレはここで自分の両手首のロックを解除した。

ブルボン坊っちゃんの「キャッチ・アンド・リリース」ってワケだ。
オレの「サブミッション地獄」から開放されたブルボンは、
床に“女座りで”ヘタリ込み、カラダをマルめて激しく喘(あえ)いだ。

極彩色ネクタイの毛は毟(ムシ)り取られ、ワッペン付白衣はシワだらけ、アルマーニ?のブランドおズボンにはホコリがつき、大量のアブラ汗と鼻水が溢(あふ)れ、ヨダレが糸を引いて垂れまくり、涙イッパイのその目は半分、飛び出て充血している。


「…ブぁ〜!!…げよげよゲヨ…ごボ……!!!ら…!!!!!!」


ヤツめ、アゴが左に1cmほどズレてやがる。いいツラだ。
そして左手は、まぁ、アレじゃ、当分使いモンにゃナランだろう。


「…江ばふぁっ!ホンなほとをふぃて、ハバでふむとおもふなひょっっ!」


アンだってぇ?

ンな、フニャフニャ言ってたってよ、
あに言ってっだか、サッパシワカンねぇなぁ。
それにしても、アレっほど“シめ上げた”のに、まだチョイ元気あるよなぁ…
オメーの生命力は、チャバネゴキブリ並みかぃ?…

ホンじゃ、次は、しゃがみ込んでるコイツの“大泉門”
(だいせんもん:アタマ=頭蓋骨の頂点にある、骨の合わせ目のところ)に、全体重かけたオレの30cmスニーカーのカカトでも落としたろっかなぁ……

…ってなことを思いつきながら、
顔面紅潮状態のオレは、フラリとソファから立ち上がった。


「…アふ、ぶェ〜っ!!!…」


ヤツは、アゴを右手で押さえ、
草食動物のようなマナザシでオレを見ながら悲鳴をあげた。


「…ぶぉ…ボうりょふ、ハんふぁいっっっっ!!!…」


意味不明なオタケビをあげ、
ブルボン林国原は、「ドクターズ・ラウンジ」から、ホウホウのテイで逃げていった。


オレはヤツを追っかけなかった…いや、追っかる事が出来なかった。

天井がグルグル廻ってて、
ドウにか、かろうじて立っているのが精イッパイだったんだ。

イカン、
今度はオレの意識が遠のいてきた。

やっぱ、酒なんていう慣れないモン、イッキ飲みなんかしちゃダメなんだな、カラダ全体が、風呂に入ってるようにマッカッカだ。

オレは、
そのままアオ向け状態で、バッタリとソファに倒れこんだ。

耳もとで自分の心臓の音が、アルコールの副作用?で、ハヤガネのように脈うっている。自分の吐く息が、熱くってしょうがない。


学生時代、夏休みに、沖縄・石垣島でダイビングをやったとき、
海ン中から、上にある水面をみて、太陽がユラユラ、ゆらいでいたのがキレイだったけど、…いま、天井にある「ドクターズ・ラウンジ」の丸い蛍光灯が、そん時のオヒサマのようだなぁ…


ナぁんか、気持ちイイやぁ……も〜…ド〜にでもナリやがれってェの……
オレは、そのままズブズブと、
“無抵抗”のまま、“無意識”っていう海の底にゆっくりと沈んでいった。


次回、
いよいよこのシリーズは最終回!

デハマタ!

by 江畑(医学博士、内科医)



★次回予告★
【病棟日誌:第二弾 その6】(最終回)
桜舞い散る道の上で
( さくらまいちるみちのうえで )




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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その4         待ってください“成人式”まで                (まってください“せいじんしき”まで)


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「肝硬変、胃静脈瘤破裂」のオジサンに対し、
「第1&第5内科連合軍」が結成された、ってところから、今回はスタートだ。


あのオジサンの元、外来主治医、華麗なるドクター・ブルボン、林国原(はやしくにばら)は、それから一度も、オジサンの寝てるリカバリー・ルームに、顔を出さなかった。

「ボク、今度の内科学会総会の準備があるんで、とぉっても忙しいんですよぉ。」…って、周囲の連中には言っていた、らしい。


↑この内科学会総会(ないかがっかいそうかい)
噛みクダいて、ってか“ブッちゃけ”て、ワカリやす〜く説明すると…

内科の医者だけが、テンコ盛りに集まる、年に1度の“アカデミック”…というより、“マニアック”な全国大会があって、そこで自分の“お医者さま”としての“おべんきょう”の努力の成果、つまり“けんきゅう”を、目のコエた、何百人の、御同業(=いしゃの研究オタク)のミナさまに“お披露目”して、ハクをつけましょう!…ってぇなモンなんだ。
(オレも後に西都医大第五内科に移ってからコレには何回も出た、モトイ、出させられた。)


まぁ、このブルボン、
自分が、この宇宙の中心の“なるしすとちゃん”で、
自分以外で好きなモノは?の質問に、「鏡!」と言って憚(はばか)らない、
趣味が「健康&医療」で…つまり、自分自身のカラダを、より素晴らしく保つために?“医者”っていう職業を「ヒマツブシ」でやっている…

…なんてぇなヤツだったから、
医師としての倫理&モラルなんぞ、ハナっから在るワキゃねぇな、ってオレは思っていた。

なんせ、コイツときたら、“いしのもらる”以前に、世間一般でいう、
“ジョーシキ”ってぇヤツが、広範囲に!“欠落”“欠如”していたからね。

ご幼少のミキリは、ルイ・ヴィトン製の「高級三輪車」で遊んでたけど、自転車には乗った経験がなく(“ざますメガネ”かけたママ=ハハオヤが危険だからと禁止令出してた)、飼ってたカブト虫の餌には、夕張メロンやっちゃってて、自分ちの電話番号を、自分で暗記してなく(回線が多すぎるのか、必要ないのかシランけど)、「マツモトキ■シ」を、国会議員とカン違いしてて…

コンなんに、
“イッパン常識”なんつーモンを求める方がムリっしょ?


かの“マリー・アントワネット”が、パンすらも食べることの出来ない、飢えた民衆の怒りを耳にしたとき、「パンが無いのなら、ケーキを食べればイイのにぃ〜」と言って、さらに怒りの火にアブラを注いだ…ってなオハナシがあるそうだけど、

このブルボンに、
医者としての「リンリカン」なんかを理解させるのは、

“病原性大腸菌O-157”っていう“バイキンちゃんたち”に、
“微分積分”を教え込むより、たぶん難儀(ナンギ)に違いないのだ。


さて、マジメな話…

このオジサンの患(かか)っている、
「アルコール性の肝硬変」っていう、かなりマズイ病気…

今までこのメルマガでも、オレが、サンザン危険性を指摘してるけど、
本当に、オレら医者サイドにとっても、患者さんサイドにとっても、“この病気”だけは!自覚症状がない分、油断してて、コジらせると、本当に!手遅れになっちまう危険性がある、ヤッカイなシロモノなんだ。


20年弱、医者って商売をやってきた、
オレの個人的な(勝手な思い込み?)感想なんだけど、

◆「“糖尿病”の末期」と、
◆「“アルコール性肝硬変”のナレのハテ」…

この2つは、“最も悲惨な病気”のベスト10の上位には、必ず!入る(?)んじゃないのかなぁ?って、オレ確信してるんだ。


肝臓って、すんごい“タクマしくて”“強い”んだけど、
トッカエが効かない臓器、って、【カルテNo.12】んトコで書いたよね?


たとえば、
「人工腎臓(いわゆる透析)」や、
「人工心臓」なんてのは存在するけど、
「人工肝臓」なぁんて、聞いたことないでしょ?

もし、人間の肝臓ひとり分と同等の機能をもつモノを人工的に作る…としたならば、
『工業地帯のプラント一個分!の規模の、膨大な数の精密機器』が必要なんだそうだ。

ウラを返すと、肝臓が、人間の恒常性(こうじょうせい=フツーであり続けること)を保つにあたって、いかに必要不可欠な、重要な臓器か、ってこと、わかってもらえるかな?
(【カルテNo.12】「たくましすぎるのが欠点なんです」参照)
ここで、読者の皆さん、
もしかして、こんな疑問もってんじゃないだろうか?

「なんで外科的な処置(=つまり手術)をやらないんだ?」って。

結論をいうと、こういう「肝硬変」みたいに、肝臓が、かなり痛んでる患者サン、ってのは、全身がすんごいリスクをかかえているから、手術なんて、とてもムリなんだ。

キッタハッタの“手術”なんてな場合、“肝硬変の患者サン”ってぇのは、
血小板(けっしょうばん:血ン中に入ってる、血を止めるモノ)が、フツーの人の、何分の一かに激減しちゃってるんで、まず、出来ないんだ。

(専門用語で、“凝固系機能”の低下 ぎょうこけいきのうのていか、という。)

やりたい手術などの処置が、アレも出来ない、コレもダメ、っていう、ハッポーふさがりな状態になるんだ。全く、“重度の肝障害”ってホント、オッカナイんだぜ。


ホンじゃ、それこそ、
「無制限にジャンジャン!“輸血”をすればいいんじゃあナイか?」って?

実はそれもダメなんだ。

あのね、“輸血”ってえのは、「異種タンパク いしゅたんぱく:自分以外のタンパク質」を、体ン中に、大量に入れる、ってこと、なんだよな(自己血輸血は別ですよ)。

だから、多かれ少なかれ、“拒絶反応”は出現してしまう。

もっとも多い症状は「発熱」だ。
ただでさえ体力のないこのオジサンは、ソレだけで、結構参っちまう。

また、さらにムリな輸血をつづけると、
身体のアチラコチラの臓器が痛むこと、だってありえる。

一番痛むのが…なぁんと「肝臓!」なんだ。

他人の血液、っていう、異種タンパクを、
なんとか害のないモノにしようとして、肝臓がガンバル!ってことなんだ。

だからオレらも無理は出来ない。このオジサンにとって肝臓にこれ以上、負荷(オモニ)をかけることは、ソレこそ命取りになりかねないからね。


そんなわけで…

オレらは、今後の“治療方針”を説明すべく、
オジサンのファミリー(家族の方)を病院に呼び出した。

これ、いま俗に、「インフォームド・コンセント」って言われてるモノだ。
「患者サンとその家族に、病状の説明を、納得いくまで説明してサシあげる」っていうヤツ(さすがに皆さんコレはご存知ですね?)。

もっとも、その当時はそんな語句はまだなく、
単に「ムンテラ(口頭による説明)」っていう呼び方だったけどね。


あのオジサンの奥さんと、娘さんは、病室のリカバリー・ルームの脇にある、カーテンで仕切られた、小さな控え室のイスに、静かに座っていた。


「どうも、主治医の“金沢”です。で、コチラ、研修医の“江畑”と“南”、この3人でご主人を診させて頂いております。」

金沢先生がこう切り出すと、亭主(=オジサン)の酒グセに、今までサンザン苦労してきたらしい、この奥さんは、おびえたような、あきらめたような表情をして、オレら3人に力なく挨拶をした。

金沢先生とオレと南は、
このままではオジサンの全身状態が悪く、何もしなければ、いずれ失血死は免れないこと、新しいタイプの内視鏡(胃カメラ)を使うこと、失敗した場合、最悪、“死亡”という、相当のリスクを覚悟しなければならないこと…

...などなどを、その奥さんに、全部話して差し上げた。

看護疲れがピークに達してる(であろう)、その奥さんは、

「わかりました、ただ、その最後の治療、とやらは、是非、今度の“成人の日”以降にしてくれませんでしょうか? オトウチャンに、この娘(こ)の晴れ姿をみせてやりたいんです。」

…って頼んできた。

なんでも、ここにいるオジサンの一人娘は、今年“成人式”を迎えるらしかった。

「酒で死ねれば本望だァ〜!」
って、強がっていたあのオジサンも、やっぱり人の親だったんだな。



そして1月15日、奥さんが、晴れ着をきた娘さんを連れて、リカバリールームに寝てるオジサンを見舞いに来た。


オジサンは、相変わらずベッドに固定され、

新鮮血輸血を投与され、
尿道用バルーンを挿入され、
S.Bチューブハナに突っ込まれ、
ハナから出た管をオモシで引っ張られ、
酸素(フェイス)マスクを顔に付けられ、
何本もの24時間持続用の点滴につながれ、
Aライン(動脈血採血用の留置針)まで挿入され、
自動血圧計、心電図モニター、自動酸素分圧測定機器
(パルスオキシメーター)なんかを、目イッパイ装着され、

……っていう、管ダラケ、針ダラケ、薬ダラケ、精密器械ダラケの、
全く気の毒な状態だったけど、意識だけはシッカリ、ハッキリしていた。

そして、“一人娘の晴れ姿”を、
見た瞬間から、ぼろぼろ、ぼろぼろと、泣き始めたんだ。

それを見ていた、まわりのナースたち数人も、もらい泣きしていたが、オレは今まで貯まった極限の疲労と、間近にせまった最後の勝負のことで頭がイッパイだった。


オジサンは、涙とハナ水と血の混じったヨダレを垂らしながら、オレの手を握り、振り絞るようにこう言った。


「江畑せんせぇ…ドウにか、ナンとか、ナリませんかねぇ……何とぞ、お願いいたしますよ……だけど、もうイイかなぁ………この娘(こ)のこんなキレイなカッコ、見れただけでも、幸せかなぁ…………」


ベッド脇の奥さんは、
ハンカチで涙をぬぐってる。娘サンも泣いている。

オレは、それを黙って聞いてるしかなかった。


“絶対大丈夫!まかせて下さい!”
なぁんて、とてもとても言える状況じゃあなかった。


むしろ、“今のうちに、何かご家族の方に言い残しておく事はないですか?…”ってな、
医師として不謹慎な?助言をせにゃならんレベルの病態だったんだ。


「あの…外来の先生、あぁ、林国原(はやしくにばら)先生…あの色白のお若いせんせい、あのヒトが、いつも“ダイジョウブですよ、ヘーキですよ、心配ありません。”って、言ってくれてたんで、ツイツイ、酒の量が増えちゃって…もうチョッと、気をつければよかったかなぁ……」


すると、ベッドの脇の奥さんが、

「あのせんせい、オトウチャンがイロイロ訴えても、モノゴシは柔らかそうなんですけど、ナンだか忙しそうで、ホントにだいじょうぶですか?って質問すると、ちょっと怒った、迷惑そうな口ぶりになりましたんで、コチラもあんまり話せなくなって…ねぇ……」

なんて、
キキズテならないことを言ってきた。


今の“外来での話”って、
真偽のほどは定かじゃないけど…あのブルボンのヤツ……

オレ、いままで冗談で、このオジサンの監督責任は、アイツじゃねぇか!って勝手に想像して、怒ってたけど…ナァるほど、そんな、エエコロ加減な、御座なり(オザナリ)な? 等閑(ナオザリ)な? 外来を、ヤローやってやがったのか…そうか、そうだったのか……


金沢先生には、この件を報告して、
もし、万が一、この患者サンが、運良く回復して、退院!?したアカツキには、絶対、金沢先生の外来に通わせよう、そうしよう、あのブルボンに任せちゃ絶対ダメだ…

イヤイヤ、ンなこたド〜でもいい、それ以前に、死ぬか生きるか、っていう、今現在の、この難局をどう乗り切るかが、最大の問題だったっけ……


オレは、突然、

オレの大嫌いな酒をこよなく愛し、ハメを外して飲みすぎて吐血し、結果オレの年末年始休暇を奪い、ベッドにガンジガラメに縛られて、オレの目の前でココロから反省して、必死に命乞いをして涙を流してる、この「肝硬変&静脈瘤破裂オジサン」が、急に気の毒になった。

「何とかしてやらにゃ……」って、心から思った。

ソレまでも、オレ全力で、このオジサンの治療にあたってたけど、
この人に、こんな感情を抱いたのは、正直、この日のこの瞬間が初めてだった。
オレの、そん時のキモチ?とやらが、

医師としての、患者を助けたい純粋な“心”だったのか、
ブルボンに対する、一種のレジスタンス(抵抗)だったのか、
医療技術や経験、知識の向上のための、単なる自己満足だったのか、


オレ自身、
詳しくはワカンないし、よく憶えていない。

たぶん、恐らく、それらヒックルめて“全部”だったんだろうけれど。


オレらは、奥さんから、
「手術承諾書 しゅじゅつしょうだくしょ」へのサインを頂いた。

コレ、「たとえ、今度の内視鏡(胃カメラ)での手技が失敗し、ご主人が亡くなっても、家族はイッサイ文句を言いません…」っていう、一種の「念書 ねんしょ」のことだ。

これを受け取ったオレらは、リスク無く、思いっきり手術に専念できる…ってぇ事じゃなく、家族の方が、ご主人の命を、オレら“受け持ち医”に預けます、何とぞよろしくお願い致します…ってぇ意味合いのモノなんだ。

コレで、あの“胃静脈瘤”との最終決戦の準備は、“すべて”整った!

今回はここまで! 待て、次号!


デハマタ!
by 江畑(医学博士、内科医)




★次回予告★
【病棟日誌:第二弾 その5】
ラストバトル(らすとばとる)





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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その3       対「静脈瘤」“連合軍”結成 (たい「静脈瘤」れんごうぐんけっせい)


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年の瀬に出現した強敵「胃静脈瘤 いじょうみゃくりゅう」に、どう立ち向かうか…
ってところから、今回はスタートだ。


オレ(=江畑)は、あれからずっと、家に帰っていなかった。
イヤ、正確には、とてもじゃないが、帰る時間と気力なんて無かったんだ。

イロイロ残務があって、それをコナしている最中に、例の「大酒豪 肝硬変 胃静脈瘤破裂 大量吐血」オジサンが、入院…ってか、あの“ドクター・ブルボン”林国原(はやしくにばら)に強引にオシツケられて、それからもうテンヤワンヤ、右往左往状態、だったからね。


だから、この「自愛堂医大 大聖堂病院」の、ドッカしら“寝られる場所”をさがして、カッテに野宿(?)してたんだ。

風呂は、救命救急部のシャワーを使ったり、下着は、オペ着(おぺぎ:手術室にドッサリある、滅菌された白やグリーンの衣類)をコッソリくすねたり(あとで戻しましたんで)、
食事は、検食(けんしょく:患者さんのチェック用の食事)を食べたり、
寝床は、薬剤保管倉庫の床や、外来のソファ、輸血部の机の上、なんかに、付き添いサン用のバスタオルや毛布を敷いて、ポケベル(懐シ!)握り締めて寝ちゃったり…

…って、まるで野戦病院だよな。
「ホーム“レス”ドクター」のヘンリンはこの頃からあったのかもね。
(【カルテNo.6】恐怖の“ジューン・ブラッド”参照)


あの「肝硬変 吐血オジサン」だけど、応急処置で、出血は最小限に食い止められていた。

内視鏡(胃カメラ)での、
「硬化療法」がダメだったのに、その“応急処置”って、一体何だって?

それは、“胃静脈瘤 いじょうみゃくりゅう”
からの出血を止める、ユニークな器具にご登場願ったんだ。


「ソーセージ型」の風船の先に、
「球形」の風船をつなげたような、ナンとも奇妙キテレツな格好をした「チューブ」…

『正式名称:ゼングスターケン・ブレイクモア・チューブ』、

略称:S.Bチューブ」っていうモンなんだけど(医療関係者諸氏、ご存知かな?)


これをシボめた状態で、ハナのアナから突っ込み(かなりツラい)、食道〜胃に入ったら、中に空気を入れて、2つの風船をフクラまし、外から一定の力でひっぱって、その風船で、出血源を押さえて止血する……

っていう、マッコトに“原始的な方法”で、止血してたんだ。

この「S.Bチューブ」で押さえてるけど、ナニぶん、「硬化療法」を行なっていないんで、ジワジワと、例の「胃静脈瘤」からは出血が続いていた。

で、血がまたウスくなるから、ほぼ毎日のように輸血をする。
そして、口から吐かない分の血は、口と反対側の、肛門、=オシリのアナ=食べモンの出口…から、大量に出ちゃうことになる(これを“下血”げけつ:便に血が混じる事、という)。

血の混じった、真っ黒なウンコ(ってぇか、この場合、ほとんど胃で酸化され変性した大量の黒い血!)って、皆サマご存知ナイだろうけど(知る必要ナイよ)、一種、異様な“臭気”をハナツんだ。

オレは、ハキ気をモヨオしながら、その確認をし、採血して、貧血の度合(血のウスさ)を調べて、また輸血する、しばらくたつと、またまたオシリから大量に下血する。そして採血して、また輸血する、また下血…また輸血……

…ってえのの繰り返しの日々だった。



ソンなコンなで、
ナンや知らんうちに、正月の「さんがにち」が明けちまった。



1月4日、ウチの病棟班の班長、
一番上(指導医=オーベン、という)の“金沢 かなざわ 先生”と、
一番下(研修医=ネーベン、という)の“南 みなみ”の2人が、正月休み明けで戻ってきた。

さぁて、ヤットこさ、
オレ(=江畑)の休みが来たぞ!バトンタッチ! っていう、当初の予定…

と、行きたいトコだったけど、
予定は、あくまでも予定で、未定?なんであって…

“胃静脈瘤破裂”…なぁンてな「重症患者」を、研修医の立場で、年末の緊急入院の時から受け持っている(モトイ、無理ヤリ受け持たされている)、オレの場合、この病棟のシキタリ、ルールにのっとって、そのまま出勤(修行)し続けなきゃナラン事に、決定したんだ……
トドのつまり、オレ(=江畑)は、年末年始の“休み=ナシ”になっちまったんだよ!

それが確定したオレは、かなりムスッとしながら(=スネながら?)ナースステーションで仕事をしてたんだけど、何にも知らない病棟の看護婦サンたち(彼女らは、完全交代制)は、

「江畑せんせい、ご熱心ですねぇ、いっつも病棟にいますねぇ。」
「先生は、いつ寝てるんですかぁ?」
「お正月、どうでした?」

なぁんてな、ノンキな事を言ってくる始末で、中には、

「江畑先生、シッカリお休みとれたんでしょ?イイですねぇ。じゃ、仕事初めに、チョッと、あたしのこの点滴チェックと薬の確認、手伝って下さらない?」
とか頼んでくる、ハナハダ勘違いナースも若干名いたんだよな。


後から聞いたハナシだと、あの“ブルボン林国原”が、かるいざわ?の別宅へ行く前、「鶴ヶ峰病棟長」や、「淀橋婦長」、各病棟班の班長のドクターら、上の連中全員に、

「皆さまっ!“研修医:江畑”に、正月休みを与えないで下さいネッ!コレも研修の一環ナンですから。“若いうちの苦労は、買ってでもしろ”、って言うじゃないですか、ねェ?」

ってな事を助言?していった、らしかった。


「しょーがつ休みをあたえないで下さい!」…って、
「サルにエサを与えないでクダサイ!」、みたいなニュアンスで言いやがって、しかも、
“わかいウチのくろうは、かってでもしろ”?…てめクソ、その“苦労”、売ったるから、軽井沢からココに戻って来やがれ!…って、オレは、マジ、ムナクソが悪くなった。


さて…

わが班の班長、「金沢 健吾 かなざわ けんご」先生
(34歳:既婚)は、中堅ドクターで、内視鏡(胃カメラ)の専門家で、
多少病棟でウイていた、
群れるのが苦手な一匹オオカミ?のオレを、親身になって指導してくれていた。

そのドクター金沢、休み明けで、充電完了!ってな感じで、

「江畑、シンドかったなあ、ご苦労さん!サァて、この患者どうすっかな!」

なんて、気合バッチリで、頼もしい。


研修医1年目の「南 義明 みなみ よしあき」
(25歳:独身)のヤツは、中肉中背、丸顔の新人で、

「うぇ〜、江畑せんせぇ、ウチの班、重症入ってきたんスかぁ〜うぇ〜。」

なぁんて、イツもの口グセ、
“ウェ〜”を連発し、ったく、コッチの気も知らないでノンキなもんだ。


オレは毎日の休みナシの激務にフラッフラだったが、ヤットコさ、これでウチの班の総メンバーが揃った、みんなが戻って来るまで、このオジサンを持ちこたえさせたぞ、これで“胃静脈瘤”を止血して、あとは万々歳だァ…

…ってホッとしていたんだ。



しかし…
事態はそうカンタンには解決しなかった。



その後、金沢先生やオレや南が、
何度となく内視鏡(胃カメラ)を入れて、「硬化療法」を試みても、うまくいかない。


出血でよく見えない、
内視鏡がうまく操作できない、
硬化剤入りの細いクダが先に進まない、
等のアクシデントに阻まれ、手技を途中であきらめ、また「S.Bチューブ」をハナから突っ込んで、オモシで引っ張って固定...っていう、いつもの応急処置で終了……

ってなことを、オレらは何度も繰り返していた。


オジサンは、ハナからの「S.Bチューブ」が、固定のためにいっつも、起きてるときも、寝てるときも、常に引っ張られているのが、相当、苦痛みたいで、

「イタイ、イタイ…」って、うめき声をいつも上げていた。

主治医として何とかしてあげたいのはヤマヤマだが、チョッとでもその「S.Bチューブ」をゆるめると、大量出血 → ヘタすりゃ失血死!っていうことになるから、コッチとしても仕方がなかったんだ。



正月明けから、すでに数日が経過し、

さすがの内視鏡(胃カメラ)のプロ、オレの師匠、
“金沢先生”も、このオジサンの“胃静脈瘤”の手ごわさを素直に認めるしかなかった。


金「江畑、こりゃヒトスジナワではいかんなぁ…」
江「金沢先生、このマンマじゃ、先が見えないですよ…」
金「ところで、ファミリー(家族)には何て説明してんだ?」
江「はぁ、“かなり厳しい” って、ムンテラ(説明)してますけど。」
南「江畑せんせぇ、ホント、年末タイヘンだったんですねぇ、うぇ〜」
江「南よ、オメェがコタツで紅白見てるとき、オレは、オジサンの血まみれウンコの処置してたんだぜ!」
南「ヤダなせんせぇ、僕んチ、コタツありませんよ〜、うぇ〜」


オレらが、ドクターズ・ラウンジ(医者のツメ所)で、“肝硬変オジサン”に対する、ミニ・ミーティングを行っていると…

「イヤイヤ、皆さん、明けましてオメデトーございます。で、ドンナ具合でしょうかぁ?ボクの例の患者?」


あの“ブルボン林国原”が、ピンク色の顔をして、ドクターズ・ラウンジに入ってきた。

ヤスミあけで、完全復帰したらしいが、恐らく、軽井沢のお別荘で、スキーざんまい?だったんだろう、雪焼けしたけど、浅黒くならずに赤ら顔になるオハダの体質、らしい。


「ハイ、これミナサマにおみやげ、ウチで作った、酵母パン、とおってもエスカァ〜ゴに合うんですよ。ボク、ここ数日、お三時は、いっつもガ〜ィック・エスカァ〜ゴだったんですよォ。」

って、無神経に、“オジサン”の採血(さいけつ)データやカルテなんかの置いてある、オレらの机の上に、ウス茶色のデカイ紙袋をデンと置いてきた。


“ガ〜ィック・エスカァ〜ゴ”…ってぇのは、たぶん、
“かたつむりのニンニク炒(いた)め”の事なんだろう。オレは、毎日午後三時のコイツ(=ブルボン)のハラん中が、デンデン虫でイッパイなのを想像し、ムシズが走る想いがした。


「で、あの患者、いうなればターミナル(末期)ですから、結構シビアでしょうねぇ、ホントにご苦労サマです。だけど、硬化療法、ソレほどまでにムズカシイ手技、ですかァ?」


黙って聞き流していた、わが金沢班長、
イケシャーシャーと暴言をヌカすこの若(バカ)ゾーにカチンときたらしく、

「林国原先生、ご意見がおありなら、一緒にこのヒト、受け持ちます?元々、外来主治医はキミでしょうし、ね?」
と、侮蔑のマナザシで言い放った。
オレの師、金沢先生も、どうやらこの「ブルボン林国原」には、いい印象を持っていないらしい。

「イヤイヤ、金沢先生の内視鏡テクには、及びませんから、オマカセいたします、ではボク、内科学会の用意がありますんで、これで。」

ブルボンは、アレ、ぼく、もしかして、おジャマかしら?的な表情になって、ソソクサとドクターズ・ラウンジから去っていった。


オレは、コイツ(=ブルボン)の、
「弱いモン」にはメッポー強く、「強いモン」にはコメツキバッタ…っていう、
典型的なヒキョーもんキャラが、どうにも我慢ならなかった。

もしも、金沢先生の一言がなく、
ヤツがそのままココ(ドクターズ・ラウンジ)に居座ったら、

またいつもの、
軽井沢別荘政界財界芸能界大物来客話、
高級外車日替買替下取年間数十回車検代約数百万円話、
自宅居間改築費数億クリスタルサロンカラオケ遊戯部屋落成式記念行事話、
なんてな、
「林国原コンツェルン自慢大会」がエンドレスにオッ始まるに決まってるのだ。



アイツ(ブルボン)は、
多分、オノレのウナるほど金に塗(まみ)れた“境遇”を、
命の限り!自慢するため“のみ”に、この世に生を受けたんだろう。


ヒトが、他人に“怒り”の感情を抱(いだ)く…
ってのを、心理学的に分析すると、「相手の無神経、鈍感な行動、言動によるもの」に対し、ハラが立つのが殆(ほとん)ど、らしい…って、どっかの心理学者が言ってたけど…

無神経が白衣を着てるような「ブルボン林国原」は、これからも、“周りの他人を腹立たせる”人生を歩むに違いない。オレは心底そう思った。



…で、それからも、
オレらは、このオジサンの静脈瘤の止血に、最大限の努力をしたんだけど…


何度も手技(硬化療法)が失敗するたびに、
オレら3人(Dr.金沢、江畑、南)はその場にヘナヘナと、ヘタり込むほど疲労困憊し

(コレマジです。本当に!床に全員座り込んじゃうんだぜ!)、

同時に考えて、考えて、考えぬいた。
なんか必ず他に、方法があるはずだ、って、必死になってね。


そんな時だった。

金沢先生が、突然、
「そうだ、1内(いちない:第一内科のこと)の小仏(こぼとけ)んとこの“アレ”でやる、って手があるかも。」ってつぶやいた。


わが「自愛堂医大病院:第1内科」は、
ウチら第5内科と同様、消化器専門の内科があって、“内視鏡セクション”も充実していた。

その1内の“小仏久仁夫(こぼとけ くにお)”先生、ってのは、わが班長、“金沢先生”の同期で、アメリカのフレズノ大学医科部に留学経験のある、内視鏡の専門医だった。

そのウワサの、
最近、開発された、まさに最新の内視鏡(胃カメラ)ってぇのを、カンタンに説明すると、通常の内視鏡よりも、細く、柔らかかったんだけれども、日本のメーカーの内視鏡とは、手技も使い勝手もまったく!違う、「オートマの国産車」と、「マニュアルの外車」以上の差があったんだ。
こんな慣れていない未知の機器を、今回のような重症患者に、はたして使って構わないんだろうか?危険は無いんだろうか?どの程度のリスクがあるんだろうか?全く想像がつかなかったんだけど…

オレらは、ワラをも掴む思いで、1内の小仏先生にコンタクトをとった。

金沢先生から、“肝硬変オジサン”の話を聞いた小仏先生は、
「わかりました。むずかしい症例ですが、アレを使ってやるだけやってみましょう。」って言ってくれた。

こんな他科(たか:他の科、ウチら第五内科のこと)の、“胃静脈瘤”なぁんてヤッカイな患者の場合、少々ためらうのがフツーだろうけど、さすが、人格者で?名高い、“ホトケのコボトケ” 先生、フタツ返事で、協力を承諾してくれた。

これで、「第1&第5内科連合軍」が結成された。
このチームで、あのオジサンに最後のトライをすることになったんだ。



今回はここまで! 待て、次号!


デハマタ!
by 江畑(医学博士、内科医)



★次回予告★ 【病棟日誌:第二弾 その4】
待ってください“成人式”まで 
( まってください“せいじんしき”まで )




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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その2       ドクター・ブルボンの華麗なる日常            (どくたー・ぶるぼん の かれいなる にちじょう)


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前回、【病棟日誌:第二弾 その1】で、
「肝硬変 かんこうへん」のアル中オジサンが、クソいそがしい年末に緊急入院してきた…しかしコッチ(病院側)は、イカンせん「手ウス」…ってところから、今回はスタートだ。


前回も書いたけど、この緊急入院の「肝硬変の吐血オジサン」の、本来の!受け持ち(=主治医)の、「ドクター・林国原(はやしくにばら)」は、トックのトウに、“年末年始やすみ”に入っちゃって、で、オレらの(臨時)の班が、受け持つハメになっちまってた。

今ごろ「林国原(はやしくにばら)」のヤツ、ニューカレドニアか、タヒチか、ハワイあたりの海岸で、アロハだのイロハだのと楽しげに騒いでるんだろうな、オレの苦労も知らんで…って、オレは、自分の運の悪さを、大いにナゲくしかなかった。

この「林国原」っていう医者、オレの2つ上の先輩だったけど、現役で「自愛堂医大」に入学 → 卒業してて、かたや、オレ(=江畑)は、人一倍!浪人してたんで、年は、実はオレのほうが1つ上だった。

で、この「“年下 & 先輩”ドクター・林国原」、
ダレが付けたか、わが「消化器病棟」内でのあだ名は、“ブルボン”。

クッキー、ビスケット、なんてな、
“甘〜い”イメージじゃなく、“ブルジョアのボンボン”、“大富豪の若サマ”の略称なのだ。


コイツの実家、ってぇのが、ナンやら、ドデカい輸入雑貨かなんかの会社をいくつも持っている、ケタ違いの“大大大金持ち”で、オヤジだかオジイだかが、この「自愛堂医大病院」の“理事長”が、“事務局長”だかナンだかの役員をやってて…

毎年、ン千万(ン億?)の寄付?補助金?を大学病院に出してて、「特殊疾患研究棟」なんてぇなオーギョーな建てモンを、病院のま横にぶっ建てちゃってて、(その建築物、「林国原会館」、ってなウラの名称がある)…

東京都内の超!一等地に、「ン千坪」の!お屋敷があって、別荘が、国内外に数箇所あって、自分でもマンションを何棟がタワムレに!持ってて、月々の家賃収入が、ン百万あって……


Dr.ブルボンを取り巻く、「超!ブッ飛んだ非常識な環境」…とやらを、解説するには、あまりにも時間とページがなさ過ぎるんで、ヤッカミ、ネタミ、ソネミを誘うお話は、このくらいにイタシまして……


さて、オレと、病棟長=「鶴ヶ峰(つるがみね)先生」2人の、“臨時の病棟班”は、例の「肝硬変」のオジサン(=トラック運転手)を、病棟のリカバリー・ルーム(R.R)に入院させ、さっそく、「吐血 とけつ」の処置を行なった。



ココで、読者の皆さま、「肝硬変」を拗(コジ)らせた患者サンが、

ナンで、
どうして、「血を大量に吐く」のか、ご存知かな?


【カルテNo.12】---たくましすぎるのが欠点なんです---
の解説んトコで、肝硬変の「合併症 がっぺいしょう」には、主に3つあるって言ったよね?

【1】「食道静脈瘤の破裂 しょくどうじょうみゃくりゅう の はれつ」
【2】「肝臓ガンの合併 かんぞうがん の がっぺい」
【3】「肝性昏睡 かんせいこんすい」

「江畑よォ、“かんこうへん”を、ホッタラカシにするとだなぁ、最期は、「血ィ吐きまくって死ぬ」か、「癌ダラケになって」死ぬか、「頭に毒がマワって」死ぬか …ドレか、究極のセンタクをせにゃナランのだよ。」

なぁんて、かなりヒドイ、ランボーな事言ってた、
オレの先輩ドクターがいたけど、コレ、けっこうマトを得た意見なんだ。


今回の「トラックのオジサン」の、
合併症は、上記【1】の、「食道静脈瘤の破裂」だった。

この「食道静脈瘤の破裂」
ってぇモンが、ナンで起こっちゃうのか?…の、カンタンな説明をすると…

酒なんかの飲みすぎで、「肝臓」がイタんで、「肝硬変 かんこうへん」になっちゃうと、「肝臓」自体がさらに、ダメージを受けて、“硬く”変質しちまう。 すると、カラダ全体から肝臓に流れ込んでくる血の圧力(←門脈圧 もんみゃくあつ という)が、しだいに上昇してしまうんだ。

で、その上がった「門脈圧」は、どっか、他の場所に、そのチカラ(=圧)を逃がそうとする。そん時に、まず、その被害を被(こうむ)る?のが!「食道 しょくどう」 にある 血管(静脈)なんだ。

で、「食道の静脈の圧」が上がってくると、その静脈がゆっくり、だんだん“ハレて”きて、「静脈瘤 じょうみゃくりゅう」、すなわち、「静脈のコブ」が出来てきて、最後は、ついにコラエ切れずに“破裂”し、結果、“洗面器何杯分”!という「大量の吐血」をしてしまう

…っていう、(カンタンにいうと)、そういうプロセスをたどるんだ。

この「食道静脈瘤」の治療法は何か?
答えは、内視鏡(=胃カメラ)による「硬化療法 こうかりょうほう」だ。

「こうかりょうほう」…

英名:スクレロセラピー、って呼ばれてるモンで、内視鏡(=胃カメラ)を口から入れ、食道にある、「ハレ上がった静脈瘤」に、特殊な薬物を注入し、カタメてしまおう、っていう手技のことなんだ。

まぁ、台風で増水して、決壊寸前の川の岸辺に、自衛隊が「土のう」を積み上げて、水が溢(あふ)れんのを防ぐだろ? アレとおんなじ、そうやって「静脈瘤からの出血」をセキ止めよう、っていう方法なんだ。


しかしこの「硬化療法」、まことに残念ながら!
「根治療法 こんちりょうほう:完全に治す方法」じゃあないんだ。

「静脈の圧」は、依然!高いマンマだから、しばらくすると(いつかはワカンないけど)、また別の場所の「静脈」がハレて、静脈瘤になって、で、ホオっておくと、再びソコがヤブて大出血して、そして、またまたそこに「硬化療法」をおこなう……

っていう、
一種の「イタチごっこ的治療法」なんだ。


オレと、病棟長の鶴ヶ峰(つるがみね)先生は、ただちにこのオジサンに、内視鏡をつっ込んで、出血のモトである「食道静脈瘤」に、「硬化療法」を施行した。

で、その効果は、
すぐに現れて、出血は“一応”止まったんだ。

ナンで“一応”かって?だって、さっき書いたけど、また次、どこの「静脈瘤」が、いつ破裂!するか、誰にもわかんないんだからね。

で、その応急処置は完了した…ってコトだったんだけど、
そのオジサン、スンごい量の吐血をしたらしく、血の濃さをしめすHb(血清ヘモグロビン濃度っていうモノサシ)が、普通の人の約“半分”に減っちまってたんだ。(【カルテNo.2】“貧血”の項 参照。)

で、オレらは、オジサンに、
緊急の「輸血」を大量に施行し、こうして、貧血はなんとか改善されたんだ。



そして……


次の日(12月29日)から…
オレ(=江畑)の、年末年始もクソない!地獄のような日々が始まった。


例のオジサン、
その日の朝、さっそくまた吐血したんだ。しかも1回目より大量に!ね。

オレと、病棟長の鶴ヶ峰(つるがみね)先生は、緊急に、2回目の内視鏡(=胃カメラ)をやったんだけど、今度は、なにぶん出血量が多すぎて、ノゾいてみてもマッカッカ!ナニがナンやらさっぱりワカらなかった。

その後、出血がだいぶ収まったところを見計らって、再度、内視鏡(=胃カメラ)をトライしたんだけど、おかしなことに、今度は肝心の「出血源」が見つからない。どこを探してみても、破裂している「食道の静脈瘤」なんて認められなかったんだ。

「もしや?」と思って、オレと鶴ヶ峰先生、「内視鏡(胃カメラ)」を、胃のかなり奥のほうまで進めて、クルッと180度、反転したんだ。 こうすると、普段見えない「胃の入り口」を、胃の奥から“逆方向”にながめるカッコになる。

すると!

あったんだ、“新たなる”出血源が!

その正体は、「胃」の入り口近くにある静脈が、圧をうけて静脈瘤化(?)し、そこが破裂した、っていう、発生頻度の低い、「“胃”静脈瘤の破裂」…っていうヤツだったんだ!
「 い じょうみゃくりゅう の はれつ 」…
鶴ヶ峰先生も、オレも、目の前がマックラになり、頭をかかえちまった。

ナゼかって?

ここ、“胃静脈瘤”の血を止める=「硬化療法」を施行する、となると、「内視鏡(胃カメラ)」を反転、つまり折り曲げながら、同時に、正確に、薬剤を、その“胃静脈瘤”に注入する…っていう、すんごいムズかしい、ヤッカイな手技になっちまう、ってことなんだ。


当時の「内視鏡(胃カメラ)」は、現在のモノみたいに、細くも、ヤワらかくもなく、また、電スコ(デンスコ:電子スコープのこと)のような、モニターT.Vもつながってなく、直視(ちょくし:直接目でのぞく)タイプだったんで、180度、反転して、狙いを定めて、薬剤注入!…そんなトンでもない“芸当”なんて、到底ムリだ!…って思われたんだ。

ピッチャーが、バッターに構えて、ふりかぶって、思いっきり身体をひねって、160kmのタマを、真後ろのセカンドに全力で投げ、内角ぎりぎりのストライクをとる!?…ってな、「野茂のトルネード投法」「イチローのレーザービーム」なんかよりスゴい「超人技」を、本番一発でやんなさい…ってぇのと同じ?くらいのムズカシサ、だったんだよ。


「鶴ヶ峰先生、どうしましょうか…」
「いやぁ、江畑、結構シビアな(=キビシイ)状態だなぁ!」

オレらが、「オジサン」のベッドのあるリカバリー・ルームから、ボーゼンとしながら出てきた時、一瞬、場違いな、芳(かぐわ)しい“香り”がオレの鼻をついた。


「アラ、林国原(はやしくにばら)先生、ご出勤は“お正月あけ”からじゃなかったんですか?」

大助・花子にクリソツの、「淀橋(よどばし)婦長」の声を聞いたオレが振り向くと…

そこには、鳥のハネで出来た? 極彩色のケバケバ状のネクタイを締め、白衣の胸元に、家紋入りのオレンジと金色のワッペンを縫いつけ、ナンかの貝?の化石 で出来てる、っていう、キミョーなカフスボタンをした、 “吐血オジサン”の外来主治医の!
「ドクター・ブルボン」=林国原(はやしくにばら)が立っていた。

「イヤ〜、チョッと早めに帰国したんだけど、今日は、病院に用事があって戻りました。またこれから軽井沢(=別荘)のほうに出かけるんですけどね。ところで、ボクの患者、緊急入院したんですって?」

「ブルボン林国原」は、疲労困憊気味のオレと鶴ヶ峰先生をチラッと見ながら、その特徴あるサラサラヘアーを、左手の細い指でカキ上げた。

さっきの芳しい?ニオイの正体は、多分、ご自慢の「おフランス」あたりで買ったオーデコロン?なんだろう。


「林国原先生、あの患者、肝硬変で、“胃”静脈瘤を併発(へいはつ)しちゃってて、今日の朝、それが破裂しちゃってさぁ、どうにもお手上げなんだよ。」

病棟長の鶴ヶ峰先生がそう言うと、ブルボンは、

「あらァっ? マーゲン(=胃)のバリックス(=静脈瘤)ラプチャー(=破裂)ですかァ…!そりゃ一大事ですねェ…うんうん、大変大変…で、受け持ち医はドナタですか?」…

…なんてな事を、ホザいて来やがった。

コイツ、何スットボケてるんだ?
この「酒飲み吐血オジサン」正真正銘、オメェの外来患者だろうが?

「消化器内科病棟」所属のドクターは、自分の外来受け持ち患者が「緊急入院」した際は、盆暮れ正月、ゴールデン・ウィーク関係ナシ! ヨッポドの事情、例外がない限り、その医者自身が受け持つ…ってのが「暗黙のルール」になってて、みな、文句も言わずに従っていたんだ。

ところが、鶴ヶ峰病棟長は、

「あぁ、今、“江畑と私”で、臨時に受け持っているんだが、休みが明ければ、江畑の班、全員揃(そろ)うし、江畑の班の班長=「金沢(かなざわ)先生」、丁度、内視鏡(胃カメラ)の専門だから、一切まかそうと思うんだが…」

ってな、耳を疑うような、信じられない事をオッシャった。

「ソウですね、私もそれがベストだと思います。」

そう言うと、ブルボンは、リカバリー・ルームに行き、ベッドで、グッタリと目を閉じているオジサンに向かって、大きな声でこう言った。

「もしもしぃ〜、外来医の林国原ですぅ。ワカルかな?ワカルよねぇ? 今はねぇ、コチラの江畑せんせいたちが、診てくれてるからねぇ。だけど、アナタは、ボクの患者である事には、違いないからねぇ、ご心配なくぅ!」


コイツ、言ってることが矛盾してるんじゃネェか?

「自分の患者」、っていう認識があんなら、ナニもこれから「かるいざわ」なんか行かんでもいいだろ? オメェの別荘なんて、イツでもソコにあるんだから、それより責任もってこの「肝硬変」の患者の治療にアタれってぇんだよ!


「じゃ、江畑先生、ボクの患者さん、ヨロシクね。良いお年を。アデュー!」

あンだって?
オメェの元、外来患者の非常識な行動のせいで、コチとらイラン苦労をしてるんだ!監督責任はオメェにあるんじゃネェの? ンなのに、オレに言うコトバが、「よいおとしを、あでゅ〜」だと?

(後年、世界的な指揮者、小澤征爾(おざわせいじ)氏の甥で、T大卒で、
「ボォくぅの子猫ちゅわぁ〜ン!」なんてな口調のミュージシャン、小沢健▲(●ざわけんじ)、通称「オザケン」ってぇのが、T.Vの歌番組に登場したとき、オレ、この「ブルボン林国原」を思い出した。)


オレは、鶴ヶ峰病棟長に、この「吐血オジサン」の受け持ち医の交代を申請しようか…って悩んだけど、研修医(=ミナライ)のブンザイで、そんな事言えるワケなかったし、「江畑、何事も研修医の時期は、勉強になるぞ!」なぁんて、カワされそうだったし…
何より「ブルボン林国原」の実家が、わが自愛堂医大の“タニマチ”的な存在だったんで、淀橋婦長も、鶴ヶ峰病棟長も、ナンとなくブルボンを、“ハレモンにさわる”かの如(ごと)く、特別扱いをしてる雰囲気が、オレにも以前からナンとなく解ってたから、結局、何も言えずじまいになっちまったんだ。

そんなオレの、「ガテンがイカンけど、納得せざるを得ない」…っていう、ストレスだらけの心理状態なんて、ナァんも解ってない、例のオジサンは、ベッドの上で、アオ白い顔をしながら、オレに力なくこう呟(つぶや)いた。


「あ〜、江畑せんせぇ、でしたっけ?…お世話になりますなぁ…スンませんなぁ…だけど、ド〜しても、“酒”だけは、やめられませんナァ…ハハハァ……」

オジサンよ、

アンタ、好き勝手に酒ガバガバ飲んで、体コワして、結果、オレのキチョ〜な年末年始の休み、チャラにしようとしてんだぞ、オイ!

当時、医者として未熟モンだった?オレは、世間シラズな「ドクター・ブルボン」の外来から来た、この「肝硬変オジサン」を、どうしても許すことが出来なかったんだ。


今回はここまで!

待て、次号!


デハマタ!
by 江畑(医学博士、内科医)


★次回予告★ 【病棟日誌:第二弾 その3】
対「静脈瘤」“連合軍”結成 
( たい「じょうみゃくりゅう」“れんごうぐん”けっせい )



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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その1       “酒”で死ねれば「ホント」に「本望」?          (“さけ”でしねれば ほんと に ほんもう ?)


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「この“一杯”のタメに“生きてる”なぁ〜…ッ!」

グラスの酒を、思いっきり!イッキに飲み干した後、ココロの底から湧き出てくる、こんなセリフ…一度でいいから、オレも言ってみたい。

以前、【カルテNo.8】、【カルテNo.12】などのコラムでも書いたけど、オレ(=江畑)は、酒が“ゼンゼン”飲めない。

もし、オレが酒を一杯、口にした日にゃ、アルコールって名前の「毒」が、カラダん中をグルングルン、マワリにマワっちゃって、吐くか、気分悪くなって倒れるか、寝ちまうか、のドレかになっちまうんだ。

これは、オレが、「ダラシない」、「つき合いが悪い」、「ミズくさい」…んじゃなくて、
オレのカラダん中で、「アルコールを分解し、無毒化する酵素 こうそ」ってぇのが、“先天的”に、“遺伝子的”に、足りないのが原因で、日本人にはワリといる「酒が全くダメなタイプ」、俗に言う「下戸 げこ」ってぇヤツなんだ。

(酒で顔が赤くなるのを、専門用語で「オリエンタル・フラッシュ」という。オレは全身がマッカッカになる。)

ごく、タマぁに、飲める連中と一緒に居酒屋に行く機会があっても、盛り上がるのはソイツラだけで、こっちは酒の肴(サカナ)ばっか、ガバスカ食うか、ウーロン茶ガブ飲みしてクダをまくしか、する事がないんだよな(しかも勘定はワリカンだし…)。

時々、飲める人がウラヤマしい…って思うことも正直あるよ。「コイツら酒の力を借りて、騒いで、ストレス発散できて、いいなァ。」…ってね。

だけど、「アルコール性の肝障害」なんかの患者が、オレの勤める病院に担ぎこまれるたんびに、「あぁ、酒飲めなくてよかったのかも…」って感じるのも事実なんだ。




あれは、オレが“自愛堂医大 じあいどういだい”を、留年もなく無事?卒業し、「医師国家試験」も、無事?合格して、一応、医者になり、そのまま、医科大に付属してる、「自愛堂医大 大聖堂病院」で、「研修医 けんしゅうい」…つまり“医者みならい”を始めて、はや一年半…「医者2年目」の、正月を迎えようとしていた、暮れも押し迫った、12月28日の、夕方近くのこと……

オレの所属する、院内の「消化器内科 しょうかきないか」病棟に、エマージェンシー・コール(緊急連絡)が入った。


「えぇ、えぇ……あの…主治医の“林国原(はやしくにばら)”せんせいは…今、年末年始のお休みに入っておりまして…はぁ……いや……今、この時間、病棟には、“研修医の先生”しかおりませんが……」

その電話に出た、
病棟婦長サン(びょうとうふちょうサン:一番上のナース)の、会話を聞いてるかぎり、

この病棟に所属の、オレの先輩、「ドクター“林国原(はやしくにばら)”」の、「外来受け持ち患者」のダレかが、ナンやら、状態を悪くして、救命救急センターに担ぎ込まれた、らしかった。
その、漫才の「大助・■子」の「花■」に似てる“病棟婦長サン”、病棟のナースステーションで、カルテ整理をしてたオレ(=江畑)のほうを見て、

「江畑先生、今、“救命センター”から連絡なんですけど…“林国原(はやしくにばら)先生”の受け持ちの、外来の患者さんが、大量吐血(たいりょうとけつ:スンごい血を吐いた)で、来てるんですけど…正月体制で、“林国原先生”お休みで、いらっしゃらないんで、その患者さん、江畑先生の班に受け持ってもらう、ってことで、宜しいですね?…」

なんてな事を、済まなそうに頼んできた。


「ヨロシ〜ですね」…ってオッシャられても、ンな、「研修医2年目」の身分のオレが、
「ヤです。」なぁんて言えるハズもなく、「オレの班」は、多分、イヤ絶対、間違いなく! この「重症患者」を、年末の、あと3日で「おおみそか」だ!ってな、日本全国、ワサワサしてる、コンな時に、受け持つハメになっちまった…ってぇことなんだ。

(「研修医の日常」っていう“リフジンな世界”?は、
【カルテNo.6】で、既にお話ズミですんで、是非ご参照下さいな。)


実は、オレが世話になってる(研修してる)、この「消化器内科」病棟、「大聖堂病院」内でも、ユビオリの!「ステルベン病棟」だった。

「ステルベンびょうとう」……

“医療関係者”なら、この言葉聞いただけで、ソレこそ『ハダシで逃げ出したくなる』…と思うんだけど、いかがでしょ?

「ステルベン」ってぇのは、医学用語(ドイツ語)=で「死」「死亡」の意。
(【カルテNo.24】「水虫」んとこで解説済。)

つまり、「患者が死亡する確率!」が、この病院内で、いっちばん!高いっていう、恐怖のセクション? エリア? で、それこそが、わが「消化器内科 しょうかきないか」病棟だった、ってぇ事なんだ。

あ、コレ、「医者のウデが最低だから!」…なんじゃなくて、あんまりにも入院患者が「重症疾患」ダラケ…つまり「重い病気」の人がテンコモリすぎて、ウラ口から退院なさる(=死亡退院のこと)患者サンが、結果的にかなり多かった…ってぇ意味だから、ナニトゾ誤解のなきようにお願いしますね。


で、さらに悪いことに、当時、オレの所属している病棟の班は、「ドクター3人」体制で、

◎「班長=中堅ドクター」
◎「研修医2年目=江畑」(←オレ)
◎「研修医1年目=後輩」…………っていう“構成”だったんだけど、

その上=「先輩」と、下=「後輩」の2人の医者、
ハヤバヤと正月休み体制に入っちゃってて、わが班には、なんと「まん中のオレ1人」…

…じゃ、いっくらナンでもココロぼそいんで、プラス、「病棟ドクター」の一番上、「病棟長(びょうとうちょう)のオエライ先生」ってのが、オレを「臨時指導」してくれている…っていう、ナンとも不安定な状態になってたんだ。

(「読者の皆さま、年末年始は、大学病院は手ウス、医者の数は半分なんだよ…」って、以前、【カルテNo.25】「胆石 たんせき」んトコで書いたよね?)


で、その「大量に血を吐いた」っていう患者サン、救命センターから、応急処置だけして、わが「消化器内科」病棟に、予定通り移されてきて、「オレの班」…

…ってか、オレと、「病棟長のオエライ先生」=「鶴ヶ峰(つるがみね)先生」っていうんだけど…そのオレら2人の臨時「ニワカ班」が、予定通り、受け持つ事になったんだ。


その緊急入院の人、50代の男性で、ウチの病院に入退院を数回繰り返し、後、外来に通院していた、「職業=配送トラックの運転手」サンの病名は、

◆「肝硬変 かんこうへん」で、
◆「食道静脈瘤 しょくどうじょうみゃくりゅう」も合併している、とあった。


このヒトの ◆「肝硬変」の原因は、「アルコール性」。

よ〜するに、アル中の「飲んだくれ」のオジサンが、アンマリにも度をこして飲みすぎて、結果、肝臓をボロボロに壊しちゃった…ってこと。(←運転手なのに!)。

つね日頃から、医療関係者にその「酒マミレ」の生活態度を注意されても、そのオジサン、「酒のない人生なんてマッ暗、酒で死ねれば本望だァ!」が、口グセの、「病識 びょうしき(病気に対する認識)」=0(ゼロ)!「反省の色」=全くナシの、ブラックリスト入り「超!問題患者」だったんだ。



さて…皆さん……


冬山に登山なんかしてて、遭難して、救助隊に助けを求める、って、よくあるよねえ。
(つい先日もあったな、大学の登山部の学生が遭難しかけた、ってのが。)

アレ、ちょっと納得いかないんだなあ、オレ。


だってさ、例えば、客船かなんかに乗ってて、航海中に、
アクシデントで大海原に放り出されて、“救助求ム”ってぇんなら、十分理解できるよ。

だけど、「冬山登山」って、ヘタすりゃあ命を落としかねない、っていう、トンでもない「リスク」を自ら承知でトライするんでしょ?

なら、「万が一、遭難の際は、救助の費用を全額負担いたします。」
とか、「遭難しても助けは結構です、ご迷惑は決してかけません。」

みたいなのを“一筆”書いてから、登るべきだよなぁ。いかがでしょ?オカしいかな?この考え方?

「冬山が俺を呼んでいる〜」…って、勝手にキケンな山登ってって、最後に救援隊をお呼びになる、ってのは、イカガなモンなんでしょかねぇ?

何が言いたいのかって?

「アルコール性の肝障害」って、まさに!この「冬山登山」と同じなんじゃないの?

例えば、氷の上を歩いている人に、
「そっち行ったら氷、ウスいから、アカンってば!」って注意してんのに、
「うるせぇ、ホッとけや!」なぁんて、サンザン「無視」してて、

で、案の定、氷が割れて、冷たい水につかっちゃって、そういう危険な目にあった時になって、初めて、「お〜い、ツメタイよォ〜、助けろよぉ!」なぁんて、ムシが良過ぎないかい?ってぇこと。

「人間、好きなモンで死ぬってぇのは、ウラヤマしい、ベストな死に方なんだよな、江畑っちゃん」…って、前、オレの先輩ドクターが言ってたけど、

今回の「緊急入院の肝硬変オジサン」も、「酒で死ねれば本望!」
ってタンカ切ってんなら、べつにコッチだって、オタクの「飲酒」止めないって!

だけど、ソンだけの「覚悟」がオアリならさぁ、体調崩そうが、血を大量に吐こうが、どんなコトが起ころうが、すべて自分で「処置」しろよ、ましてや病院なんか絶対来んなってぇの!

…ってな気持ちに、正直なってたんだ。

まぁ、ソンなこと、当時、大学病院内で、オレみたいな「研修医2年目のグリーンボーイ」?が、口に出来るハズも無かったけどね。


このオジサン、青白い顔をして、

「先生、俺どーなんのかなあ、死ぬのかなあ……」

って、真っ赤になった口を押さえながら、オレに不安そうに尋ねてきた。

そりゃあそうだろう、
今まで経験したことのない、ハラの底からの大量出血なんだからね。
…ってところで紙面が尽きた。

待て、次号!

デハマタ!
by 江畑(医学博士、内科医)




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◆【病棟日誌:第二弾】 『静脈瘤破裂 じょうみゃくりゅうはれつ 編

酒をこよなく愛する「トラックの運ちゃん」が、大みそかの「自愛堂医大 大聖堂病院」救命救急センターに緊急入院! その瞬間から、オレ(Dr.江畑)の“正月休み”は消滅した!命の火は「愛娘」の“成人式”まで、持つのか、はたまた悲劇の結末か? 絶望の我々“医療スタッフ”を救う、究極の「新兵器」とは?…


【病棟日誌第二弾その1】---“酒”で死ねれば「ホント」に「本望」? ---
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【病棟日誌第二弾その4】---待ってください“成人式”まで ---
【病棟日誌第二弾その5】---ラストバトル---
【病棟日誌第二弾その6】---桜舞い散る道の上で(最終回)---
【病棟日誌第二弾“不明熱”編】 の “あとがき”


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