「え?病院キライ?オレも大キライだぜ!」
ご存知、野良医者“エバっちゃん”が、シキイの高い医学界を、力いっぱい引きずりオロし、
細かくクダいてさしあげる、一番ワカりやすい「ツレヅレ雑談」“That's done!”
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2007年09月06日

【とりあえずの“ダイジェスト版”】--------------------野良医者:エバっちゃんの『16年間』…?


オレ:江畑をアワレだなぁ...と思ったら、ココをクリックしてクレぃ! → 
数日に1回、クリックしてくれると、生きる希望がワキます。いつも応援アリガトウ...↑


※はじめて の かた は コチラ ... ⇒ 「INDEX:もくじ」の トップへ


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☆「久っさびさの、今回のブログ…すんげ〜長いぞ〜〜〜!!!」


2007/08/21(火)【No.247号】
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◆壮絶ノンフィクション?…野良医者:エバっちゃんの「16年間」…?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




さて、皆サマ…
前回までに数回、発行していた、いわゆる“本編”である、

「ホームレスドクター:野良医者 誕生!オレ=江畑の自伝」では、

ヤットコさ…


★【第一幕】★★★★★★

【 オギャアと誕生 → ド貧乏 → 岩仏丼(がんぶつどん)高校卒業 → 地獄の多重浪人 → ヤットの事で 医科大入学 編 】


を、おわって、「自愛堂(じあいどう)医科大学」に入学したばっかりのトコロ(昭和56(1981)年で、“休止”しちまってるんで、



オレが、なんでこういう風な不定期連載をしているか、
オレのカラダ・ココロ・オカネの健康に、ナンでこうも“波”があるのか…


っていう「本題」に入っていくには、


かなり、ハショって書かないと、

「“今(平成19:2007年)”現在」まで、とっても“追っつかない”んで、



今回は、ひとつ、【ダイジェスト版】的??? に、



新幹線並み? ジャンボジェット並み?…いや、スペースシャトルもハダシで
逃げ出すほどの、マッハで、スーパーなスピード!で、時系列(じけいれつ=
時間に添って、の意)で、「箇条書き的」に記述していこう、と思ってるんで、






オレが「自愛堂医大(じあいどういだい)」に、入学したとき(前回まで)…

=今から約“四半世紀”前の、「昭和56(1981)年」から


とりあえず、











オレが無事?医者になり、大学病院に就職し…いろんな経験を積んだあと……

大学病院を退局=ヤメた時期=「平成9(1997)年」まで…
=今から丁度、10年前までを
ノンストップで駆け抜けるから 覚悟してクレ!






ほんじゃあ、 サッソク行くぜ!

皆んな… 迷子にならずに チャンと ツイてこいや !!!!!!












◆【自愛堂(じあいどう)医大=医学部(医学生)の6年間…】◆


☆【○:よかったこと・楽しかったこと…】☆☆☆☆☆☆☆☆


☆まぁ、医者の勉強をして、その6年後「医師国家試験」に合格できたこと
☆今現在でも付き合いのある、大切な友人=同僚が出来たこと



★【×:よくなかったこと・辛(ツラ)かったこと…】★★★★★★★★

★とにかく、6年は長すぎ!幽閉されて?ムリヤリ勉強させられたこと
★毎月、毎年、試験!試験!のアメアラレで、オカしくなりそうだったこと
★大学生活という甘く楽しく明るいイメージが一切(イッサイ)無かったこと
★入学した同学年120人のうちストレートで卒業したのが80人だったこと
★スゲぇ信じられない非常識学生がいて、ソイツらの数人も医者になったこと



↑…この6年間(医学部は4年ではなく、6年!…ご存知ね?)の「医学生時
代の、“フツーじゃ無さ”ってぇか、モロ“異常さ”!」ってぇのは、それこそ
数冊の本がスラスラ書きあがっちゃうほどの、オッタマゲェな!エピソードが、
それこそ6年分 メいっぱい“テンコモリ”なんだけど…ソレは何(いず)れ…



【ホームレスドクター:野良医者 誕生!オレ=江畑の自伝】


★【第二幕】★★★★★★
【 コンな ハズじゃ なかった 幽閉の日々!自愛堂医大 医学部 医学生 編】




…を、“必ずや”書き上げて、
皆サマに近々(?)ご紹介することを、ココでお約束いたしまして……






次!














◆【自愛堂(じあいどう)医大卒業の のち、研修医(荒行!)の2年間…】◆


☆【○:よかったこと・楽しかったこと…】☆☆☆☆☆☆☆☆


☆結構いろんな科を廻(まわ)れたおかげで、実力&度胸がついたこと



★【×:よくなかったこと・辛(ツラ)かったこと…】★★★★★★★★

★一年目はまるで奴隷!ツカイッパ人生で、人間扱いされなかったこと
★二年目もまた肉体労働ダラケで、やっぱ研修医=ヒト扱いされなかったこと
★仕事仕事で、ほっとんど自分の時間がなく、よく病院に寝泊りしていたこと
★バカで無知な先輩医師がいてもソイツの言う事を聞かにゃならなかったこと



↑この研修医(けんしゅうい)の2年間……コリゃ…マジ、ツラかったなぁ……

まぁ医学部の6年間の「アタマだけの知識」が、マッタク!役に立たず、一年
目なんかは、新人ナースのほうがよっぽど点滴や採血が上手くって、最初のう
ちは、彼女らに、全っ然!アタマが上がんない…ってぇな状況で…まぁ医師(の
ヒヨコ?)としてのチッチャな“プライド”?は、ズッタズタだったけどね。



で、そん中で「2年目 研修医」のオレの右往左往ぶり?は、以前ご紹介した、



“連続小説風疾患別医療現場暴露裏話的病棟日誌”
『ハダシで逃げ出せ!こんな病院』 第2弾:静脈瘤破裂(じょうみゃくりゅう
はれつ)』編




…っていう『病棟日誌シリーズ』があるんで(ご存知ね?)、コレも「健康三昧
ブログ」のほうに併載してあるんで、是非、ご参考になさってクダサイな。



↑で、この2年間の「奴隷or家畜アツカイな、アワレな新人医師時代!」…に
関しても、またまた、それこそ数冊の(暴露!)本が、スラスラ書きあがっち
ゃうほどのエピソードが、それこそ山モリなんだけど…それは何(いず)れ、
先ほどと同じく…



【ホームレスドクター:野良医者 誕生!オレ=江畑の自伝】


★【第三幕】★★★★★★
【 ツカイッパ? 肉体労働? カナしき 自愛堂医大 新人ミナライ研修医 編 】




…を、“必ずや”書き上げて、
皆サマに近々(?)ご紹介することを、ココでお約束いたしまして……







ハイ、次!














◆【自愛堂→ハレて?西都(にしみやこ)医大:第五内科医局 入局時代…】◆


☆【○:よかったこと・楽しかったこと…】☆☆☆☆☆☆☆☆


☆やっと山奥の「自愛堂医大」から、大都会にある「西都医大」に移れたこと
☆都会にあるいろんな有名大企業の医務室を「西都医大」のコネで廻れたこと
☆ごくまれに!すばらしい先輩医師が、オレを快く指導して下さったこと



★【×:よくなかったこと・辛(ツラ)かったこと…】★★★★★★★★

★とにかく、自愛堂の研修医時代よりも、いろんな意味でキツかったこと
★主任教授のいうことはすべて正しい、完璧&完全なるタテ社会だったこと
★重い責任、軽い給料…っていうフビンな時代が、かなり長く続いたこと
★下につく研修医にいろんなヤツがいて、結構、苦労した(=気ィ使った)こと
★上につく指導医にもコレまたいろ〜んな!奴がいて、クタクタになったこと
★激務、激務でついに倒れ、胃潰瘍を併発し内視鏡(胃カメラ)を飲んだこと




↑まぁ、ようやく自分の希望(…もう、ヒトザトはなれた“自愛堂医大”は
コリゴリ!)が叶(かな)い、大都会の中心にある西都(にしみやこ)医大…


当時オレが尊敬し、ココロから信頼していた、
オレのオヤジ=「江畑 帝(えばた みかど)」大大大!先生様の…


(↑当時ですよ!あくまで当時!…数年後、このヒトが原因でオレの人生は…)


…出身大学でアラセられる、由緒正しいこの大学の、付属病院の第五内科に
入局(にゅうきょく:いわゆる“正式入社”という事)出来て、かなり最初は
うれしかったし、かなり誇らしかったし、ハナ高ッカダカ、だったんだけど…


しかし!そんな“幻想”は、すぐさま吹っ飛び、「西都医大」へ移籍後の生活が、
母校「自愛堂医大」の時よりも、さらにトンでもない、リフジンな、究極の
“生き地獄”!…だと、さすがの鈍感なオレも、すぐに気が付いたんだけどさ。



で、西都:第五内科時代のオレの異様すぎる経験?は、以前ご紹介した、


“連続小説風疾患別医療現場暴露裏話的病棟日誌”
『ハダシで逃げ出せ!こんな病院』 第1弾:F.U.O=不明熱 ふめいねつ 編





…っていう『病棟日誌シリーズ』があるんで(コレもご存知ね?)、前述の
「第2弾」同様、「健康三昧ブログ」のほうに併載してあるんで、是非、ご参考
になさってクダサイな。



↑で、この数年間の「“ヘビのナマゴロシ人生”?時代」…に関しては、またま
た、それこそ数冊の(暴露?告発?)本が、ス〜ラスラっと書きあがっちゃう
ほどのエピソードが、それこそまたテンコモリなんだけど、


(苦労バナシ以外にも、ドクター&ナースの“病棟コンパ”=当時、ほぼ毎週?
いや隔日は!存在した、病棟ごとの親睦会…とは名ばかりの日ごろのウサ晴ら
し大会での「チン事件簿」・「必笑アクシデント」等、種々「武勇伝」の数々…


『某医師 急性アルコール中毒 全身マジック落書き“耳なし芳一”事件』や、

『某カラオケ店 当病院スタッフ占拠 一部施設破壊工作 後 出入禁止事件』、

『深夜 六本木 交差点 タクシー待ち 酔っ払いナース 横断歩道 → 助走 →
踏み切り → ジャンプ → ドクターへ“ドロップキック”事件』等、多数アリ )


なんかの爆笑話も盛りだくさんで、それは何(いず)れ先ほどと同じく…



【ホームレスドクター:野良医者 誕生!オレ=江畑の自伝】

★【第四幕】★★★★★★
【 過労死手前の 寸止め人生? 西都(にしみやこ)医大 第五内科 医局員 編 】




…を、“必ずや”書き上げて、
皆サマに近々(?)ご紹介することを、ココでお約束いたしまして……







ハイ、ドンドン行こう、 次!














◆【究極のガマン大会?西都第五内科「医学博士号」取得 悪戦苦闘時代…】◆


☆【○:よかったこと・楽しかったこと…】☆☆☆☆☆☆☆☆


☆ “全く” ナシ !!!

しいて挙げれば、たまに学会で地方に行き、地元の特産品を喰った事くらいか?
あ、最終的に「学位論文が通って“医学博士”になれたこと」、だけかなぁ…



★【×:よくなかったこと・辛(ツラ)かったこと…】★★★★★★★★

★自分の希望する「研究班」に入りたい、という希望が、完全無視されたこと
★結果、クソ面白くも興味もない研究に土日祝日を含む数年間!を費したこと
★研究班の一番シタッパだった時「研修医なみ」に奴隷・家畜扱いされたこと
★上司が毎週 「受験生なみ」に出す研究の宿題をコナさにゃならんかったこと
★毎回「研究班」のミーティングで 怒鳴られ ガナられ…亡命寸前だったこと
★この「研究班」にいるのが イヤでイヤでイヤでイヤで タマんなかったこと



↑この「研究班」の件に関して、オレが語りだすと、
恐らく、そのすべてが「グチ」&「コゴト」になっちまう、かも知んない。




皆サマご存知ないかも知れないけど、大学病院の医者っていうのは、↓以下…



1.「医学部を卒業後 “国家試験(こっかしけん)”に合格し」

2.「“研修医(けんしゅうい)”という修行時代を、無事に終えて」

3.「内科 外科…などの各々の“医局(いきょく)”に入局した数年後に」

4.「“研究班”に入り、数年で研究論文を書き上げ“医学博士号”を 取得する」


というプロセスをたどる。



医者は、その職業柄?立場上?「ナニかしら、世のためヒトのために“医学の
研究”を行わねばならない…」っていう暗黙の了解(=義務)がある(という
のはタテマエで、実はその病院の名誉&手柄になる医学論文を増やすのが目的)。


医者の仕事が、「外来患者サンや、入院患者サンを診ているだけ」…
と思ってたら、トンでもない“大マチガイ”!なのだよ。わかったかな…?


医者っつ〜人種?は、体力・ド根性・シブとさ…
なんかが無いと、とても勤まんない職業だし(← 甲子園球児か?)、


また“所属した組織”にウマぁ〜くとけこむ柔軟さ&アザとさ?がないと、
いとも簡単に、ツマハジキにあっちまう、まっこと恐っそろしい世界なんだな。



で、医者は、上記「3.〜 」が終わったあと…

「4.〜 」自分の興味ある分野の研究をするために、各科の各医局ン中にある、
専門の研究をする「研究班」という、いわゆるチームに所属することになる。



(余談:中には、上記「1.〜2.」までを終わらせたあとに、そのまた後の
「3.〜 」での修行がイヤで、退局(退社…ってぇこと)する輩もいる。

(その場合、“医学博士号”は、当然得られないが、まぁソレは仕方がない。)



また、驚くなかれ!上記「1.卒業→国家試験(ペーパーテスト)受験し合格」
のみで、2.「研修医の修行〜」すらも全く!手をつけず、このギョーカイから
半ばエスケープする、アホ〜な「名ばかり医者」も、僅(わず)かながらいる。


で、そういう医師としての実力=“0”のヤツに限って、

ナゼか妙に“不愉快”なほどに「医者」ぶる…っていう傾向があるのだ。



臨床経験全くナシの、こんなペーパードライバーならぬ、ペーパードクターが、
実は世の中にはチラホラと存在するのだよ皆サマ!(例:よく最近、T.V=バラ
エティー番組にシャシャリ出ている、あの◆◆なんかは、まさにその “典型”)。


(アナタは、免許とりたて=運転試験合格ホヤホヤのペーパードライバーが、
経験ナシなのに、タクシーを運転したり、エラソーにT.VでF-1の解説なんか
をしたりしてたら、違和感(っていうか、危険!)を感じませんか?……脱線。)




さて…

オレの場合は、約10人いた、「西都医大 第五内科 平成元年 入局組」…
いわゆる、その年の同期のなかで、オレ一人だけ!希望が通らなかった。


その時の教授(…いわゆる社長のこと。『ハダシで逃げ出せ!こんな病院』 第1弾:F.U.O=不明熱 ふめいねつ 編 に、「荒井 城太郎」っていう、当時、第五内科の教授が出てきたろ?
あの「ニッコリ笑ってヒトを切る」…ってぇ噂の!… アイツだよ、アイツ!)


…が、お得意の?“恐怖政治”の辣腕(ラツワン)を振るい?勝手に!強引に!
「人気のない研究班」の人数アワセの頭数に、オレを穴埋め的に利用したんだ。



オレ自身は、当時「内視鏡(胃カメラ)」に興味があったんで、スナオに「内視
鏡班」って希望を出したんだ。自愛堂医大の2年目の研修医ンときの、あの!
年末年始の「静脈瘤破裂事件」!が強く印象に残っていたし(以下:参照↓)、



“連続小説風疾患別医療現場暴露裏話的病棟日誌”
『ハダシで逃げ出せ!こんな病院』 第2弾:静脈瘤破裂(じょうみゃくりゅう
はれつ)』編




また、前述したけど、オレ自身、その後に過労で倒れて、胃潰瘍になり、自ら
「内視鏡(胃カメラ)」を飲むハメにもなっちまったし…何かと“縁”があるの
かな…なんて思っていたら、ソイツ(=主任教授)がおっしゃられた御回答は、



「●▲■班に所属し、●▲■を研究し論文を書け。そのアカツキには、●▲■
に関する成果を認め、学位(がくい=博士号:はかせごう の事)を授けよう。」




驚き、狼狽し、面食らい、パニックになったオレは、先輩医師ら数人に、なん
とかコレを撤回できる術(スベ)は無いもんなんですか!…って、必死にモガ
きまくり、訴えまくった(←ナンせ、当時は今よりずいぶん若かったもんで…)。


オレにとっちゃ、

●▲■なんかは当時、全ったく!興味のない分野だったし、「●▲■班」なんて
入りたくもなかったし、それ以前にそもそも●▲■なんて大キライだったし…



しかし、先輩医師は、みな“当然”、「主任教授」のイエスマンばっかりで…

結局、絶対君主サマ=主任教授の命令は覆(くつがえ)るワケもなく、オレは、
「●▲■班」に、オレの意思とは真反対の状況でムリヤリ“入れさせ”られた。

(…ナンだか、まるで某国の「拉致監禁」or「密室幽閉」みたいだよな)。





たとえばアナタが農業が大好きで、とくに「ダイコン」の研究に興味があり、

「練馬ダイコンと、桜島ダイコンの歴史の違い、およびそれらの品種改良に
ついての研究をしたいんです!」…
と、上司に希望を出したとき、その上司が…


「オマエは、遠洋漁業の漁船に同乗し、“ホンマグロ”と“メバチマグロ”に
ついての研究を数年間やりまくって、論文を完成させよ、そしたら褒美をくれ
てやる! ただし、これに逆らえば、即!解雇(=クビ!)さぁ、ド〜する…?」



って、命令(=強制?)されちまったら…


もうやる気なんかは、ハナっからゼロ…ってぇか、気分的にはかなりマイナス
からのスタートになっちゃうし、軽〜いウツ状態にもみまわれるし…ましてや
「ヨッシャあ!」っていうテンションは、ズ〜ンと下がりっぱなしになるだろ?


ま、ソレと同んなじ状況だったんだよ、 たぶん。



オレの場合、↑この同じ時期に、あろうことか!丁度ピッタリのタイミングで、
「大失恋」が重なっちまって……オカゲさんで?体重が「2ヶ月で10kg以上!」
減ったんだ。(…それを目の当たりにした、周囲の同僚らは、オレを悪性疾患=
ガンetc.か何かと勘違いしたらしく、当時ミョ〜にやさしくしてくれたけど。)



↑このオレの数年間の究極の「自暴自棄の時期」!?…

(…オレは、この「●▲■研究班」での約8年間!を、前フリの長〜い冗談?
…っつ〜か、タチの悪い『大ガマン大会』だった…ってぇ感覚で記憶している...


最後、その教授から頂いた「学位記(がくいき=医学博士号 いがくはかせごう
の賞状)」
は、その長きにわたるオレの辛抱・我慢・忍耐・努力・根性に対して、



「とちゅうで あきらめず なげださず にげださず
よく がまんし よく たえぬき よく さいごまで がんばったで “賞”」




…っていうお免状(おめんじょう)の事だ、って勝手に解釈しているくらいだ。)



…コレに関してのエピソードなんかは、もちろん“グチ&コゴト”以外にも、

「●▲■研究班」接待ゴルフ強制参加での、メッチャラクッチャラなドタバタ
騒動?や、地方学会先(なぜか名古屋が多かった…)での、思わず引いちまう
ような、結構シビアなお話なんかもモリだくさんだけど、それも何(いず)れ、



【ホームレスドクター:野良医者 誕生!オレ=江畑の自伝】

★【第五幕】★★★★★★
【 スエは ハカセか ダイジンか? ムナしき 西都医大 博士号 取得 編】




…を、“必ずや”書き上げて、
皆サマに近々(?)ご紹介することを、またまたココでお約束いたしまして……







ハイハイ、スッ飛んで行こうぜ、 次!















と、ここで、オレは大学病院を、学位(がくい=博士号:はかせごうのこと)
も取り、後、地方=ヘキチの病院での、いわゆるお礼奉公もチョコッとして、
無事???「西都医大:第五内科」を、ハレて円満“退局(=退社)”した。



昭和62(1987)年…「自愛堂医大」を卒業し、約10年後の…
平成 9 (1997)年…香港が中国に返還された年の夏のことだった。


この「約10年間」(医学生時代を入れると、16年)の長きにわたる大学病院
という“呪縛”から解き放たれたオレ=内科医&医学博士の「江畑 李下」は…


これからの人生に、大いに夢と希望を持っていた(←まぁ当然のことだけど)。




まずは、(あくまで当時!)オレの尊敬し、信頼していた父親で…

かつ、医師として大先輩の「江畑 帝(えばた みかど)」氏が経営していた、
東京都:二本橋の宝町(たからちょう)にある、『宝町 江畑クリニック』


(参考【第3節:その1】『オヤジ=「江畑 帝(えばた みかど)」の開業…』)




…っていう「診療所」を手伝う、

つまり、院長=父、副院長=オレ…ってぇな、お決まりのパターンになって、
親子でこの地域の医療を担(にな)っていくのかなぁ…と、勝手に思っていた。




ところが……




オヤジ=「江畑 帝(えばた みかど)」の反応は、意外なものだった…






この時 平成9(1997)年…  そして、
現在 平成19(2007)年



先ほどまで記していた、大学病院での勤務医としての“10年間”とは、

全く! 異なる!!


“異常”すぎるほど“異常”な、  まさに「小説よりも奇々怪々な」!!!


波乱万丈!

紆余曲折!

空前絶後!

支離滅裂!

前代未聞!



上記の“四字熟語”全部が、

そのマンマ ピッタリ、当てはまっちまう様な!!!!!!


まさに「古今未曾有(ここんみぞう:昔から現在に至るまで一度も
起きた事がない の意 )」 の 大事件、大トラブル、大殺界、大ドンデン返し……


「神」?または「悪魔」?の、大いなる!

「気まぐれ」? or 「悪戯(イタズラ)」?に、巻き込まれ、翻弄されまくる…



オレ=江畑 李下というニンゲンの新たなる“10年間”が、リスタートした……



(しっかし…↑この時点では、 まさか! まさか!…
自分が「ホームレス」になっちまうなんて、思ってもみなかったんだよなぁ…)












以下、 続く……


待て、次号!



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2007年08月16日

【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その6            桜舞い散る道の上で                      (さくらまいちるみちのうえで)


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今回の【病棟日記:第二弾 その6】で、
いよいよ、この『“静脈瘤破裂”』編は、最終回だ。


長い間のご愛読、まことにありがとうございました。



では早速、本編スタート!


あの“オジサンの静脈瘤”と“ブルボン林国原”に、ケリをつけた、その翌日の朝、オレはドクターズ・ラウンジ(医者の休憩所)のソファの上で、かなりギリギリに目を覚ました。


あ〜、アッタマいてぇ…身体中がダルい……アらら…白衣とズボンのまんまで寝たからグッシャグシャだぁ……エ?……ウわ! もうこんな時間!!!


研修医って立場上、遅刻はマズイ! 顔も洗わず、アワてて、リカバリー・ルームに行くと、ちょうど南のヤツが、オジサンのハナから“S.Bチューブ”を抜いている最中だった。

「金沢先生の許可がおりたんですよ。」と南は言った。


イヤよかった…あの苦痛のタネであるハナチューブが抜ければ、オジサンのストレスは大分、減って、かなり楽になるだろうからね。


「…南せんせぇ…江畑せんせぃよぉ…ホントに…助かったよォ…おかげで命拾いしました…ありがと、ありがとぉ……」

あの苦痛のタネである、
ハナチューブが抜けたオジサンは、ナミダ眼でオレらにこう言ってくれた。


「それにしても江畑先生、すんんごいイビキだったですねぇ……ボクもあそこ(ドクター・ズラウンジ)で寝ちゃってたんですけど、アンマリにも凄い“爆音”で、夜の11時くらいに思わず起きちゃって、その後、自分ンちに帰っちゃいましたよ、うぇ〜。」

オレは、いままでの人生で、イビキなんかかいた経験は(たぶん?)一回も無いはずなんだけど、昨晩は、イロイロあって、オレもフツーじゃなかんたんだな、たぶん。


だけど南のヤツ、
昨晩のオレのブルボンへのサブミッション(関節技)攻撃、全然!気付いてないらしい。

そういや…当のブルボンのヤツ、ど〜したろ?

まさか、あのまま体調崩して、気分も害して、
(グズって?)出勤拒否?なぁんてなコトになっちまってるんかな?

イヤ、アイツのズーズーしい、タフすぎる生命力ならば、恐らく平気だろ。




その後…


オジサンの容体は、日を追うごとに、
文字通り、「見違えるように」、順調に回復していった。

管だらけのオジサンの身体から、パルスオキシメーターが、酸素チューブが、Aラインが、心電図モニターが、自動血圧計が、24時間持続の点滴が、尿道バルーンが、ドンドン外されていった。

輸血も当然、もう必要なくなっていた。

それと平行して、
リハビリも順調に行なわれていった。

栄養補給も、以前の、絶食=点滴のみから、
経口(けいこう:口から食事をとること)にスイッチし、一分粥(いちぶがゆ)から三分、五分、七分とアップしていき、最後は“米そのもの”を、食べれるようになったんだ。




え?
あのあと、ブルボン林国原、どうなったか?…って?

アイツ、あの日以降、オレの顔見ると、「ア、江畑せんせぃ…」なぁんてな具合で、オレに対しては、結構フツウの対応だったんだ。

例の「ブルボン極め事件」、アレ、不思議と大事にはならなかった…みたいなんだよな。

あの夜のオレの狼藉(ロウゼキ)を、ブルボン自身が、上層部に、オオソレながら…と訴えなかったのか、または訴えたんだけど、酒の上でのアヤマチで済まされちゃったのか、実際、オレよく判らない。

まぁ、「無神経 & プライド」が白衣着てるようなアイツのこと、平民のオレ(?)なんかにシメられた、なぁんて、口が裂けても、マワリに言えなかった?…のかも知れないんだけどね。

しっかしまぁ、顔中のアナというアナから、アブラアセ、ヨダレ、ナミダ、ハナミズ…なんかの液体をタレ流しながら、バンビの様なマナザシでオレを見上げていたヤツのアワレな顔が、オレあれから当分、目に焼きついて離れなかったなぁ。




ところで…

あの硬化療法の時、本番でオレが静脈瘤に注入した、
あの薬剤、静脈瘤を固めた、あの「硬化剤」、の正体って、何だかわかる?

…って、わかるワケないよね。

答えは、
なんと驚くなかれ、「アルコール」なんだ。

胃粘膜の下にアルコールを注入し、
その「脱水作用 だっすいさよう」で、周りの組織を固めてしまうんだ。

「アルコール」で壊れた肝臓から生じた静脈瘤を、
「アルコール」が主成分の薬剤で治療する…ナンという皮肉なめぐり合わせか、って正直思ったよ。





それから数週間後…


体力をすっかり取り戻した、
あのオジサンが、ナースステーションに「一時外出」を申し出てきた。

何でも、免許(大型一種)の書き換え、なんだそうだ。
もちろん、退院後の仕事(=運送)に間に合わせる、っていう理由でね。

あの“胃静脈瘤破裂”のスッタモンダの日々を一緒に過ごしたオジサン、ついに院外(いんがい:病院の外)に出られる許可が下りたんだ。
背広姿で外出していくオジサンを見たときは、オレ正直、感無量だったよ。

ただ、前にも言ったけど、「硬化療法」によって、肝硬変そのものが治癒したわけじゃあない。だから経過良好って言っても、引き続き十分なる注意が必要、ってことには変わりはないんだけどね。





そうそう、皆さんに、
ブルボンの件でもうひとつ、ご報告しなきゃナランことがあった。

…っていうか、アイツ、あの事件の後、他の自分の患者サンに、トンでもない“医療ミス”を起こしたの、ご存知かな?

このメルマガの熱烈なるファンの皆サマなら「もう知ってるよ!」って?

ワカんない初心者読者の皆サマは、今スグ!以下↓をご参照下さいな。

【カルテNo.23】「カメラのクダがクダらない」




「ブルボン林国原」が、
今現在、どこで何をしてるのか、オレ、実はマッタク知らない。

え?…ナンで、って?

オレ、あと数ヶ月で、
「自愛堂医大(じあいどういだい)」第五内科での研修がおわったら、
「西都医大(にしみやこいだい)」の、(偶然同じ)第五内科への“移籍”…っていうか、入局(にゅうきょく)が、すでに決定していて…

で、それから母校である、
「自愛堂医大」には、オレその後、二度と戻ることはなかったんだ。


医科大学=6年(医大は4年ではなく6年!)、研修(修行)=2年、
ツゴウ8年も、この人里はなれた山奥の「自愛堂医大病院」に幽閉?されていたオレにとって、当時、コンクリート・ジャングルに囲まれ、大都会のド真ん中に病院を構えた「西都医大」は、まさに“夢”と“希望”に満ちあふれた、輝かしい存在、だったんだ。

(しかし…「西都医大」へ移籍後、そこでの医者生活が、母校「自愛堂医大」の時よりも、さらにトンでもない、リフジンな、究極の“生き地獄”、“ヘビのナマゴロシ人生”!……だって、オレが気が付くのは、もっともっと後のハナシ、なんだけどね。)





そして…

その何週間かあと、あのオジサンは、
めでたく迎えに来た奥さん、娘さんともに“退院”していったんだ。


深々と頭をさげる、オジサンと、その家族…
笑顔で見送る、金沢先生、オレ、南、淀橋婦長らスタッフ……

“患者に感謝されて、退院を見届ける”

この瞬間のために、大学病院の医師の存在はある。
まさに「医師冥利に尽きる」ってのを、肌で実感する瞬間だ。

しかし、それ以上に、今回、最悪“死亡退院”の、
覚悟をしていたオレにとって、このハッピーエンドは、まさに奇跡だったんだ。





じつは、
オレ自身も、この病棟を去る日が近づいていた。

さっき書いたけど、ここ「自愛堂医大」での研修(=見習い)は、あと数ヶ月で終了するんだけど…
あと数日で、重症患者ばっかりだった、
今勤務してる「消化器内科」病棟から、新たに、
関連病院内の「神経内科」の病棟への“異動”(=オレの最後の研修生活)が決まっていたんだ。

お世話になったわが師「金沢先生」とも、
戦友?で後輩の「南」のヤツとも、サヨナラしなきゃなんない。

結構ツライけど、
“研修”って制度上、コレばっかりはどうしようもない。

徹夜ばっか、重患(重症患者)ばっかの、激務、激務しか思い出がない、相当キビシかった「消化器病棟」だけど…ココを去ると思うと、ナンだか、ひどく名残惜しい。

やっぱ“住めば都”って、ホントなんだな。






それから…


数日後の、ある晴れた日……


オレは無事、病棟の仕事を終了し、
最終の申し送りを終え、早めに病院を出て駐車場へ向かった。

新しく職場(戦場?)になる、
“最後”の“研修先”の“関連病院”へ、クルマで荷物を移動するためだ。


こんな日の出ているまっ昼間のうちに、
病院の外に出るなんて、何日…いや何週間ぶりだろうか。


病院専用の駐車場は、
坂道を下りた表通りに面した所にあった。

見ると、
病院前の通りの両側の「サクラ並木」は“満開”だった。

それはもう、見事なくらいにね。


ほとんど病院に
「カンヅメ」だったオレは、そこで初めて気がついたんだ。

「あれ、季節がかわってる、春だ…」って。






すぐ後ろで、車の止まる音が聞こえた。

「江畑先生よぉ!」


振り返ると、
そこには配送用のトラックに乗った、あの「オジサン」の笑った顔があった。


職業=トラック運転手…って聞いてたけど、
実際、トラックに乗っているオジサンを見るのは初めてだった。

金沢先生の外来診察を終えて、これから仕事に行くところ、らしかった。

「先生、おかげさんで体調いいよ。ホラ、こうして仕事にも復帰出来たよ。病院のみんなが一生懸命やってくれたおかげだよ!」

オジサン、生き生きしてる。
あんな死の縁をさまよった人には、とても見えない。

「うん。だけど一番がんばったのは、他でもない、当の本人なんだからさ。ちゃんと外来は通わなきゃあね。 まだまだ予断を許さない“肝臓”なんだから。 あと……また、もし今度、入院してきても…オレもういないからね!診てあげられないからね!!」

運転席のオジサン、ご冗談を…ってなカオをして笑ってる。


「それから…もう酒は絶対!ダメだよ。」 オレはクギを刺した。


「酒?」

オジサンは首を横に振った。

「酒はもうコリゴリだよ。ありがとう、先生たちはホント、神サマだよ! じゃあ。」



そう言うと、オジサンはアクセルを踏んだ。





ふいに 強い春の風が
サクラの木々を吹き抜け 無数の花びらが 青い空に舞った。


そしてそれは
淡いピンクのレースになり


小さくなってゆくトラックと
それを目を細めながら見送るオレとの間に


まるで 幕を下ろすかのように ゆっくりと降り注いできた。























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「ホーム“レス”ドクター」の、
“連続小説風疾患別医療現場暴露裏話的病棟日誌”


★★★『ハダシで逃げ出せ、こんな病院!』★★★
【第二弾】:『静脈瘤破裂 じょうみゃくりゅうはれつ』編 (全6話)

【病棟日誌:第二弾その1】---“酒”で死ねれば「ホント」に「本望」?---
【病棟日誌:第二弾その2】---ドクター・ブルボンの華麗なる日常---
【病棟日誌:第二弾その3】---対「静脈瘤」“連合軍”結成---
【病棟日誌:第二弾その4】---待ってください“成人式”まで---
【病棟日誌:第二弾その5】---ラストバトル---
【病棟日誌:第二弾その6】---桜舞い散る道の上で(最終回)---




★【キャスト】★

◆オレ
----------江畑 李下(えばた りか)自愛堂医大 研修医2年目
◆華麗なるドクター・ブルボン
----------林国原 華彦(はやしくにばら はなひこ)林国原財閥 御曹司
◆師匠のDr.カナザワ
----------金沢 健吾(かなざわ けんご)第五内科 消化器病棟 金沢班班長
◆ウェ〜のミナミ
----------南 義明(みなみ よしあき)自愛堂医大 研修医1年目
◆ホトケのDr.コボトケ
----------小仏 久仁夫(こぼとけ くにお)自愛堂医大 第一内科講師
◆一番上のDr.ツルガミネ
----------鶴ヶ峰 浩(つるがみね ひろし)第五内科 消化器病棟長
◆花子ソックリNs.(ナース)のヨドバシ
----------淀橋 富佐子(よどばし ふさこ)第五内科 消化器病棟看護婦長

◆肝硬変・静脈瘤破裂のオジサンと、その家族の方々

◆自愛堂医大 大聖堂病院(じあいどういだい だいせいどうびょういん)職員の皆さま



★【スタッフ】★

◆企画:  江畑 李下
◆製作:  田部 晃 【株:アイナレッジ】代表
◆総指揮: 江畑 李下
◆脚本:  田部 晃 &【株:アイナレッジ】『総合健康ドック』企画部
◆原作:  江畑 李下
◆編集:  田部 晃 &【株:アイナレッジ】メルマガ編集部


★【ロケ地】★

◆自愛堂医大 大聖堂病院 ほか






【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】 の “あとがき”


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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その5        ラストバトル                              (らすとばとる)


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いよいよ今回は、
あの「胃静脈瘤」に対する、オレらの、最後の“戦い”だ。


決戦当日の夕方、“小仏先生”と、“南”が、第1内科の『内視鏡(胃カメラ)セクション』から、オフィシャルグレーのカバーのかかった大きな塊(カタマリ)を、移動用キャスターに乗っけて、オジサンの寝てる「リカバリー・ルーム」に運んできた。

コレが、
ウワサの新兵器、「舶来品の内視鏡(胃カメラ)」か。


そのカバーをはずす。

……ナンじゃ?この“奇ッ怪”な“器械”は?

色も形も、“管”そのものは、日本製のものと比べて細いんだけど、つながってる「吸引機」や「変圧器」、「光源」その他の本体部分が、通常の倍くらいデカい。

新兵器を構え、
操作する第一術者は、1内(いちない=第1内科):ホトケの「小仏先生」、
補佐=第二術者は、わが5内(ごない=第5内科):オレの師「金沢先生」、
オレ=江畑は、硬化剤入りのハリ付き極細クダを構えていつでも準備万端、
研修医の「南」はそのオレの補助、
病棟長の「鶴ヶ峰先生」も総監督としてスタンバイしている。

そして、ナース(看護婦)、テクニシャン(技師)側も、淀橋婦長ら、われら5内のメンバーに加え、1内から内視鏡専門のスタッフが駆けつけてきている。

以上のような混成チームで、
いよいよ、オペ=新内視鏡的対胃静脈瘤硬化療法(!)が始まった。


オジサンは覚悟を決めたのか、“サトリをひらいた”ような、穏やかな表情で、前処置(ぜんしょち:局所麻酔の点滴投与など)の準備を受けていた。

逆に、オレはというと、ハズかしい話だが、相当“緊張”していたんだ。

失敗したら、相当、高い確率で、“死”ってことになる。
この器械で、果たしてホントに止血なんか出来んだろうか?…ってね。

セデーション(=沈静用のクスリ)の点滴を、ウデの静脈に落とす。それは数秒で効果があらわれ、オジサンはウトウトとし始めた。


「それでは、挿入します。」

小仏先生と金沢先生が、
まず、アナ空きマウスピースをくわえたオジサンの口に管を入れる。
それは、すぐに食道を通り抜け、胃の奥のポジションまで無事に届いた。

いつも、
ここまではスムーズに行くんだけど、問題なのはこっからなんだ。

小仏先生が、ゆっくり内視鏡を反転する。
ティーチング・スコープ(=内視鏡:胃カメラの“二股ソケット”)を握った金沢先生が、慎重にアタリを探る。

「いた、小仏先生、アレです!」

内視鏡(胃カメラ)の視界に、
ドス黒い血液を垂らしている“静脈瘤”が、その姿を現した。

今まで、さんざんオジサンを、そしてオレらを苦しめた“真犯人”は、その青黒くでっ張った“グロテスク”な姿を、内視鏡(胃カメラ)のライトの明かりにサラしていた。

今は幸い、わずかな出血でおさまっているようだ。が、すぐにでも大出血を起こすかも判らない、“時限爆弾!”だ。

小仏先生が、
スナイパーのように手首の微妙なスナップを利かし、狙いを定める。動きが止まる。

どうやらエモノをとらえた様だ。

金沢先生が言った。「よし、挿入。」

オレと南は、極細のクダを、内視鏡(胃カメラ)のサイドの穴に入れた。
エッジをきかせた管に添うように、ゆっくり、挿入を続ける。

「ストップ!」

ハリ付き極細クダは、
その先端をヤツのハナ面(ズラ)に突き出したようだった。

金沢先生が、オレからゆっくり極細クダを受け取る。
小仏先生が、もう一度、内視鏡(胃カメラ)を慎重に固定し…


「いきます!」
そう言って金沢先生は、ハリ付き極細クダを、静脈瘤の一点に突き刺した!

そしてすかさず、オレに叫んだ。
「いまだっ、江畑っ、インジェクション!」

オレは指示された量の“硬化剤”を、極細クダの根元から一気に注入した。

「この静脈瘤ヤロウめ!コレでも喰らいやがれ!」オレは心の中で叫んだ。


オジサンの顔が、苦悶にゆがむ!


「硬化剤」の静脈瘤への注入、ってのは、
患者本人にとっては、いくら安定剤で意識をモウロウとさせていても、“相当な痛み”を伴うモンなんだ。(←この治療に従事した医者“だけしか!”知らない事実。)


一瞬、静寂が走る。


「O.K、よし、いいぞ!」 Dr.小仏が言った。

「出血していない、この調子だ。」


場所をずらして、固定する。
そして、再び内視鏡から出た極細クダを、静脈瘤に突き当てる。

Dr.金沢が言う。「江畑、硬化剤!」
オレは「こん畜生め!」ってキモチを込め、再度、薬剤を注入した。


Dr.小仏が言う。
「…よし、順調だ! 次の箇所!」



そんなプロセスを、何回も何回も繰り返すうち…


あの青光りしていた静脈瘤は、
徐々にその隆起(デッパリ)をなくしていき、
ドス黒い出血も、やがては認められなくなっていったんだ。



何分?…いや何十分?…経っただろうか?

静脈瘤は消えていた。


終わった。 なんとか無事に終わったんだ。


汗ダラッダラ状態で、
白衣の下がビッショリだったオレは、
ここでやっと、みんなの顔をグルッと見る余裕が出来た。

全員、極度に疲労してるんだろうけれど、その顔は満足感で輝いている。
金沢先生が、満面の笑みを浮かべて小仏先生と握手してる。
南のヤツは、また床にヘタリこんでいる。

オレは早速、
控え室に待機している奥さんと娘さんに報告に行った。

「依然、予断を許さない状況ですが、1つのヤマは、どうやら超えたようです。」

そして、リカバリー・ルームに戻り、麻酔の醒(さ)めかけたオジサンに言った。

「やったよ、血が止まったよ。」

曖昧(アイマイ)な意識の中で、
オジサンは涙を流していた。ベッド脇に来た奥さんも娘さんも泣いていた。
オレらは勝った。

ついにあの “イマイマしい”胃静脈瘤に勝ったんだ。


ヘタバってた南のヤツが、思い出したように言った。

「みなさん、確か、ドクターズ・ラウンジにビールがありましたよぉ、みんなでグッといっちゃいますかぁ?うぇ〜…」

「いいね、賛成!」 「早速、乾杯といこうか?」

…って、
みんな、疲れを忘れて盛りあがってんのはケッコウなんだけど、

オイオイ!
オレだけ“酒”飲めないってえの! 下戸(ゲコ)だっての!!!
































アレ?


……どこだココ?


「ドクターズ・ラウンジ(医者の休憩室)」の天井が見える。


ゆっくりと起き上がる。 …ガランとした部屋……
目の前の机の上には、スポーツ新聞や、ビールの缶、コップ、柿ピー、せんべい、スナック菓子、チョコレート、スルメイカ、菓子パン、ポテトチップ……なんかが、アッチャコッチャ、キッタならしく散乱している。


どうやら、オレは、
ここ「ドクターズ・ラウンジ」のソファで寝たいたらしい。

時計を見る。 アりゃ、もう9時だ。

そうか…あのオジサンの治療が、大成功に終わって、オレらは、ココ(ドクターズ・ラウンジ)へ来て、プチ宴会騒ぎをやってて、皆んなで大盛り上がりしちゃって……オレは例によって、酒ダメなんで、全然飲まなかったけど、過労気味だったんで、結局、今まで寝ちまったんだろう。

ふと気がつくと、反対側のソファには、南のヤツが、ドテ〜ッってな感じで、熟睡してる。

…んっのっかっ〜…ぴっしっ〜やっすっう〜〜っっつう〜
……ってな具合で、まったく…ホントにコイツ、罪のないネガオだ。

班長の金沢先生や、1内の小仏先生の姿は無かった。
たぶん、オレと南をそのままにして、帰ったか、あるいは、医局(いきょく:医者のツメ所)あたりで、また忙しそうに仕事をしてるんだろう。

さぁ、今度は、あのオジサン、全身状態をもっともっと良くして、栄養付けさせて、他んトコにまた静脈瘤とかの合併症がないか、今のうちにチェックしておいて…

オレが、
あのオジサンの今後をアレコレ考えていると…

ガチャン!と、扉が開き、


「…ア? 江畑せんせぃ…?」


ここドクターズ・ラウンジに、あの“ブルボン林国原”が、ひょっこり現れた。

例の“内科学会の準備”とやらで、
おおかた、ナレない居残り仕事でもナサってるんだろう。


「…キミ、まだいたの?ボク、例の学会の準備、ナカナカ進まなくってねぇ…」

そう言いながら、
ソファに座ってるオレの隣に、ドッカと腰を下ろした。


「…そうそう、ボクの患者、あの“吐血オジサン”、助かったんだってねぇ、イヤおめでとう。ウンウン……だけど…う〜ン…正直、チョッと迷惑…かなァ〜…ナァーんてね。…あの患者、退院したら、またボクの外来で、見なきゃいけないんだよねぇ…」


オレは口を真一文字に閉じ、黙っていた。


「…でさぁ、またまた吐血なんかしちゃって、また入院…かな? で、その時、ボク、診るの、またチョッと遠慮したいナァ…だからさぁ、江畑せんせぃ、キミの班、また受け持ってくれないかなぁ?…その時までキミがこの病棟で研修、やってればねぇ……イヤ〜冗談冗談!ジョークだってば!…」


例の、キグライの高そうな?コロンのニオイが、あたりに充満しはじめた。


「…キミはエライ!休みも返上して、患者診るなんて、大したもんだよ!江畑せんせぃ…だけどね…正直申し上げるとさぁ…そもそも、“内科の病気”ってのはさ、残念ながら…完全には、なおんないモンが、多いのさ。ココ“消化器内科”は、ガンや肝不全ダラケだし、 “腎臓内科”は、結局、透析(とうせき)だし、“神経内科”は、アリャ医者が診断だけして満足する科であって、結局、治療といったらリハビリとステロイド投与、だけだしね…」


ブルボンのクセのある声が、「ドクターズ・ラウンジ」に響きわたってる。

「…唯一、内科のなかで、マトモなのは、“循環器内科”かなぁ?……え? だって、心臓止まっちゃって、緊急入院した患者、けっこう助かって、オモテ玄関から退院していくでしょ?ところがだよ、他の内科病棟なぁんて、どうせ再入院か、裏口退院(=死亡)ってのが、かなりの数、いるよねぇ?…」


机の上に、誰かの飲みかけの、
ぬるいビールが、大きめのマグカップに半分ほど注いだマンマになっている。


「…この消化器病棟をゴランよ。月に何人の患者が入院してきて、そのうち何人の患者が死んでるんだい?こんなステルベン病棟、マッタク、なんのための入院施設なんだかネェ…ボクら、やる気なんか無くなっちゃうよねぇ。ホントはキミもそうなんでしょ?…あんなお先マックラな患者、押し付けられて、実はムッとしてたんじゃないの、江畑せんせぃ?」


オレの耳には、
ブルボンの戯言(ザレゴト)が遠慮なく注ぎ込まれて来る。


「…だからさ、結局さ、内科のなかで、“循環器内科”の医者だけが“エリート”なんだよね。ボク、今、内視鏡(胃カメラ)やってるけど、そのうち医学博士号とったら、循環器のほうに移って“血管内視鏡”を学ぼう、って思うんだよ。少なくとも、こんな病棟には残ってない事だけは確かなんだよね。…」


オレの鼻には、
ヤツのコンクな(=濃度のコい)香水が浸入してきている。


「…で、ホントはボク、この“消化器病棟”にいるようなニンゲンじゃあないんだよね。こんな病棟、患者と家族の別れを演出する、セレモニー(儀式)の役割しか成してないんじゃぁないの?もう死亡宣告するのも、死亡診断書かくのも、イヤでも慣れちゃったしねぇ…ホント、まいっちゃうね。」


オレの目には、
気の抜けたビール入りマグカップが写っている。


「…結局、あのオジサン、サヨナラの儀式が、チョッとばかり伸びたに過ぎないんじゃないのかな?…いずれ、だれかが看(み)取ることになるんだよねぇ。肝硬変って、5年はもつけど、10年はもたない、って、ボク思うんだけどねぇ…あの人、あれは今年中にまた再入院のパターンだよねぇ、きっと。」


オレは、
おもむろに手を伸ばし、ビールの注がれたマグカップを掴(つか)んだ。


「…エ? アレ? 江畑せんせぃ? ねぇ……?」


ブルボンの言葉を無視し、
オレはそのマグカップに口をつけ、イッキに中身をノドに流し込んだ。


「…ア!…キミ、飲めないんじゃなかったの?……」


なまヌルい“琥珀色の液体”は、アルコールを全然受け付けないオレの食道を、痛みと熱をともなって通過し、オレの起きがけの胃を直撃した。


「…キミキミ、大丈夫かな?…飲めない人がそんな飲み方すると、あのボクの患者、肝硬変吐血オジサンみたいになっちゃうかもよ?…ハハハハハハ…」


そう笑いながらブルボンは、
オレの右肩に、自分の左手をトンと無遠慮に乗せた。


その瞬間、


オレのココロん中で、何かの「タガ」が“パッキン!”とハズれた。


「…まぁまぁ、キミ、そうムリしないで…」

オレは、右肩に掛けられた、
ブルボンの左手首を、オモイッきし!逆関節をキメるようにネジリあげた。


「…キ、キみょりゃありててったたたたたぁ…!!」


フイをつかれたブルボンは、
目を大きく見開いて、まるで化けモンを見るようにオレを凝視した。


オレは構わず、もう片方の手で、ヤツの、鳥のハネで出来た、ご自慢のケバケバネクタイを掴(つか)んで、立ち上がりざま、ムリヤリ天井に突き上げた。


「…ごぐびゅっつつ…げゲら…!!!!!!」


ヤツの身長は、自称「170cm」、それに比し、オレの方は「190cm弱」だ。 必然的にヤツは足が届かなくなる。アワレなオボッチャマは、お気の毒に、必死に背伸びをしてイラっしゃる。

(自称170って言ってるヤツは、たいてい170なんかネェんだよ!)


まるで、ネクタイでのハングマン(つるし首)か、正月アメ横のアラマキジャケ状態のブルボンの耳元に、オレは、低く、ゆっくり、噛んで含めるように、こう流し込んだ。

「ブルボンよ…あんましオイタが 過ぎると“お尻ペンペン”どころじゃあ済まなくなるぜ…。」

そう言って、
オレは、ヤツのハデハデネクタイから手を離した。

同時に、ご自慢のサラサラな御髪(オグシ)が乱れ、
顔がサーモンピンクに変色したブルボンは、ソファにぼてっと崩れ落ちた。


「…エ、江畑あッ…ごぶ…き、キミゃ〜…研修医のブンザイ……ウば…」


あれ? コイツ、まだ元気じゃん。

ブルボンの“生きのよさ”を確認したオレは、
オレを睨みながらソファでゲホゲホ咳き込むヤツの背後にすばやく廻り込み、左手で左肩関節を前から絡(から)め取る様に、後ろ手にシめ、右手を顔の前から頚動脈〜アゴにまわし、左後頭部あたりで両手首をガッチリとロックした。


やや無理な体勢からの、
片羽顔面締め(かたはがんめんじめ)、
正式名称:チキンウィング・フェースロック、っていう必殺ワザだ。

チキン(卑怯モン&根性ナシ)の、
コイツにゃ絶好の“サブミッション”(=関節技:関節を極める荒技)だろう。

ヤツの顔面に走ってる三叉神経 第二枝 および 第三枝を、
オレの右腕の骨(=トウ骨)が圧迫し、左肩関節と顎関節も同時に極まっている。

「…はかァが……ま……らガ……ラあ〜!……ばぁア………!」


ミリギリッと、顎関節が、鈍い音をたてて軋(キシ)む。
ビルグビッと、左肩関節が、悲鳴をあげて撓(シナ)る。
「......げエぇ!べ〜…〜れ…ゥげ…〜…!!!」


その体勢のまま、
オレは再度、ブルボン林国原の左耳に、ゆっくりと囁(ささや)いた。

「オメーは、よく“ボクの患者ぁ”、“ボクの患者ぁ”言うけどなァ、あのオジサンは、もうオレらの患者なんだよ。ワカってんのかぃ?…」


「…えゲゥ…〜…ぁ〜ごェ…!!!!!」


「あのな、ニンゲンの価値ってぇヤツはだな、親からもらったモン、全部、カラダから取っ払って、あとに何が残るかで決まるんだぜ。んで、オメーにゃ一体、ナニが残るんって言うんかな? エ? ぶるぼんちゅわん?…」


「……ゥ…………べ!!!!!!!」


何にも気づかないで眠り続ける“南”の「寝息」と、
バタ足状態でモガく“ブルボン”の「声にならない悲鳴」と、
ブチ切れて、怒りに燃える“オレ”の「オセッキョー&荒いハナイキ」が、

ガラ〜ンとした、
夜の「ドクターズ・ラウンジ」に、響きわたっている。


ブルボンのサーモンピンクの顔面は、だんだんドス黒く変色し始めた。
これが医学的に言う、「チアノーゼ」っていう、O2=サンソ不足の状態だ。

さらにもう少々、シメ続けると、確実に、「意識レベル300=昏睡(こんすい)状態」になっちまうだろう。オレはここで自分の両手首のロックを解除した。

ブルボン坊っちゃんの「キャッチ・アンド・リリース」ってワケだ。
オレの「サブミッション地獄」から開放されたブルボンは、
床に“女座りで”ヘタリ込み、カラダをマルめて激しく喘(あえ)いだ。

極彩色ネクタイの毛は毟(ムシ)り取られ、ワッペン付白衣はシワだらけ、アルマーニ?のブランドおズボンにはホコリがつき、大量のアブラ汗と鼻水が溢(あふ)れ、ヨダレが糸を引いて垂れまくり、涙イッパイのその目は半分、飛び出て充血している。


「…ブぁ〜!!…げよげよゲヨ…ごボ……!!!ら…!!!!!!」


ヤツめ、アゴが左に1cmほどズレてやがる。いいツラだ。
そして左手は、まぁ、アレじゃ、当分使いモンにゃナランだろう。


「…江ばふぁっ!ホンなほとをふぃて、ハバでふむとおもふなひょっっ!」


アンだってぇ?

ンな、フニャフニャ言ってたってよ、
あに言ってっだか、サッパシワカンねぇなぁ。
それにしても、アレっほど“シめ上げた”のに、まだチョイ元気あるよなぁ…
オメーの生命力は、チャバネゴキブリ並みかぃ?…

ホンじゃ、次は、しゃがみ込んでるコイツの“大泉門”
(だいせんもん:アタマ=頭蓋骨の頂点にある、骨の合わせ目のところ)に、全体重かけたオレの30cmスニーカーのカカトでも落としたろっかなぁ……

…ってなことを思いつきながら、
顔面紅潮状態のオレは、フラリとソファから立ち上がった。


「…アふ、ぶェ〜っ!!!…」


ヤツは、アゴを右手で押さえ、
草食動物のようなマナザシでオレを見ながら悲鳴をあげた。


「…ぶぉ…ボうりょふ、ハんふぁいっっっっ!!!…」


意味不明なオタケビをあげ、
ブルボン林国原は、「ドクターズ・ラウンジ」から、ホウホウのテイで逃げていった。


オレはヤツを追っかけなかった…いや、追っかる事が出来なかった。

天井がグルグル廻ってて、
ドウにか、かろうじて立っているのが精イッパイだったんだ。

イカン、
今度はオレの意識が遠のいてきた。

やっぱ、酒なんていう慣れないモン、イッキ飲みなんかしちゃダメなんだな、カラダ全体が、風呂に入ってるようにマッカッカだ。

オレは、
そのままアオ向け状態で、バッタリとソファに倒れこんだ。

耳もとで自分の心臓の音が、アルコールの副作用?で、ハヤガネのように脈うっている。自分の吐く息が、熱くってしょうがない。


学生時代、夏休みに、沖縄・石垣島でダイビングをやったとき、
海ン中から、上にある水面をみて、太陽がユラユラ、ゆらいでいたのがキレイだったけど、…いま、天井にある「ドクターズ・ラウンジ」の丸い蛍光灯が、そん時のオヒサマのようだなぁ…


ナぁんか、気持ちイイやぁ……も〜…ド〜にでもナリやがれってェの……
オレは、そのままズブズブと、
“無抵抗”のまま、“無意識”っていう海の底にゆっくりと沈んでいった。


次回、
いよいよこのシリーズは最終回!

デハマタ!

by 江畑(医学博士、内科医)



★次回予告★
【病棟日誌:第二弾 その6】(最終回)
桜舞い散る道の上で
( さくらまいちるみちのうえで )




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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その4         待ってください“成人式”まで                (まってください“せいじんしき”まで)


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「肝硬変、胃静脈瘤破裂」のオジサンに対し、
「第1&第5内科連合軍」が結成された、ってところから、今回はスタートだ。


あのオジサンの元、外来主治医、華麗なるドクター・ブルボン、林国原(はやしくにばら)は、それから一度も、オジサンの寝てるリカバリー・ルームに、顔を出さなかった。

「ボク、今度の内科学会総会の準備があるんで、とぉっても忙しいんですよぉ。」…って、周囲の連中には言っていた、らしい。


↑この内科学会総会(ないかがっかいそうかい)
噛みクダいて、ってか“ブッちゃけ”て、ワカリやす〜く説明すると…

内科の医者だけが、テンコ盛りに集まる、年に1度の“アカデミック”…というより、“マニアック”な全国大会があって、そこで自分の“お医者さま”としての“おべんきょう”の努力の成果、つまり“けんきゅう”を、目のコエた、何百人の、御同業(=いしゃの研究オタク)のミナさまに“お披露目”して、ハクをつけましょう!…ってぇなモンなんだ。
(オレも後に西都医大第五内科に移ってからコレには何回も出た、モトイ、出させられた。)


まぁ、このブルボン、
自分が、この宇宙の中心の“なるしすとちゃん”で、
自分以外で好きなモノは?の質問に、「鏡!」と言って憚(はばか)らない、
趣味が「健康&医療」で…つまり、自分自身のカラダを、より素晴らしく保つために?“医者”っていう職業を「ヒマツブシ」でやっている…

…なんてぇなヤツだったから、
医師としての倫理&モラルなんぞ、ハナっから在るワキゃねぇな、ってオレは思っていた。

なんせ、コイツときたら、“いしのもらる”以前に、世間一般でいう、
“ジョーシキ”ってぇヤツが、広範囲に!“欠落”“欠如”していたからね。

ご幼少のミキリは、ルイ・ヴィトン製の「高級三輪車」で遊んでたけど、自転車には乗った経験がなく(“ざますメガネ”かけたママ=ハハオヤが危険だからと禁止令出してた)、飼ってたカブト虫の餌には、夕張メロンやっちゃってて、自分ちの電話番号を、自分で暗記してなく(回線が多すぎるのか、必要ないのかシランけど)、「マツモトキ■シ」を、国会議員とカン違いしてて…

コンなんに、
“イッパン常識”なんつーモンを求める方がムリっしょ?


かの“マリー・アントワネット”が、パンすらも食べることの出来ない、飢えた民衆の怒りを耳にしたとき、「パンが無いのなら、ケーキを食べればイイのにぃ〜」と言って、さらに怒りの火にアブラを注いだ…ってなオハナシがあるそうだけど、

このブルボンに、
医者としての「リンリカン」なんかを理解させるのは、

“病原性大腸菌O-157”っていう“バイキンちゃんたち”に、
“微分積分”を教え込むより、たぶん難儀(ナンギ)に違いないのだ。


さて、マジメな話…

このオジサンの患(かか)っている、
「アルコール性の肝硬変」っていう、かなりマズイ病気…

今までこのメルマガでも、オレが、サンザン危険性を指摘してるけど、
本当に、オレら医者サイドにとっても、患者さんサイドにとっても、“この病気”だけは!自覚症状がない分、油断してて、コジらせると、本当に!手遅れになっちまう危険性がある、ヤッカイなシロモノなんだ。


20年弱、医者って商売をやってきた、
オレの個人的な(勝手な思い込み?)感想なんだけど、

◆「“糖尿病”の末期」と、
◆「“アルコール性肝硬変”のナレのハテ」…

この2つは、“最も悲惨な病気”のベスト10の上位には、必ず!入る(?)んじゃないのかなぁ?って、オレ確信してるんだ。


肝臓って、すんごい“タクマしくて”“強い”んだけど、
トッカエが効かない臓器、って、【カルテNo.12】んトコで書いたよね?


たとえば、
「人工腎臓(いわゆる透析)」や、
「人工心臓」なんてのは存在するけど、
「人工肝臓」なぁんて、聞いたことないでしょ?

もし、人間の肝臓ひとり分と同等の機能をもつモノを人工的に作る…としたならば、
『工業地帯のプラント一個分!の規模の、膨大な数の精密機器』が必要なんだそうだ。

ウラを返すと、肝臓が、人間の恒常性(こうじょうせい=フツーであり続けること)を保つにあたって、いかに必要不可欠な、重要な臓器か、ってこと、わかってもらえるかな?
(【カルテNo.12】「たくましすぎるのが欠点なんです」参照)
ここで、読者の皆さん、
もしかして、こんな疑問もってんじゃないだろうか?

「なんで外科的な処置(=つまり手術)をやらないんだ?」って。

結論をいうと、こういう「肝硬変」みたいに、肝臓が、かなり痛んでる患者サン、ってのは、全身がすんごいリスクをかかえているから、手術なんて、とてもムリなんだ。

キッタハッタの“手術”なんてな場合、“肝硬変の患者サン”ってぇのは、
血小板(けっしょうばん:血ン中に入ってる、血を止めるモノ)が、フツーの人の、何分の一かに激減しちゃってるんで、まず、出来ないんだ。

(専門用語で、“凝固系機能”の低下 ぎょうこけいきのうのていか、という。)

やりたい手術などの処置が、アレも出来ない、コレもダメ、っていう、ハッポーふさがりな状態になるんだ。全く、“重度の肝障害”ってホント、オッカナイんだぜ。


ホンじゃ、それこそ、
「無制限にジャンジャン!“輸血”をすればいいんじゃあナイか?」って?

実はそれもダメなんだ。

あのね、“輸血”ってえのは、「異種タンパク いしゅたんぱく:自分以外のタンパク質」を、体ン中に、大量に入れる、ってこと、なんだよな(自己血輸血は別ですよ)。

だから、多かれ少なかれ、“拒絶反応”は出現してしまう。

もっとも多い症状は「発熱」だ。
ただでさえ体力のないこのオジサンは、ソレだけで、結構参っちまう。

また、さらにムリな輸血をつづけると、
身体のアチラコチラの臓器が痛むこと、だってありえる。

一番痛むのが…なぁんと「肝臓!」なんだ。

他人の血液、っていう、異種タンパクを、
なんとか害のないモノにしようとして、肝臓がガンバル!ってことなんだ。

だからオレらも無理は出来ない。このオジサンにとって肝臓にこれ以上、負荷(オモニ)をかけることは、ソレこそ命取りになりかねないからね。


そんなわけで…

オレらは、今後の“治療方針”を説明すべく、
オジサンのファミリー(家族の方)を病院に呼び出した。

これ、いま俗に、「インフォームド・コンセント」って言われてるモノだ。
「患者サンとその家族に、病状の説明を、納得いくまで説明してサシあげる」っていうヤツ(さすがに皆さんコレはご存知ですね?)。

もっとも、その当時はそんな語句はまだなく、
単に「ムンテラ(口頭による説明)」っていう呼び方だったけどね。


あのオジサンの奥さんと、娘さんは、病室のリカバリー・ルームの脇にある、カーテンで仕切られた、小さな控え室のイスに、静かに座っていた。


「どうも、主治医の“金沢”です。で、コチラ、研修医の“江畑”と“南”、この3人でご主人を診させて頂いております。」

金沢先生がこう切り出すと、亭主(=オジサン)の酒グセに、今までサンザン苦労してきたらしい、この奥さんは、おびえたような、あきらめたような表情をして、オレら3人に力なく挨拶をした。

金沢先生とオレと南は、
このままではオジサンの全身状態が悪く、何もしなければ、いずれ失血死は免れないこと、新しいタイプの内視鏡(胃カメラ)を使うこと、失敗した場合、最悪、“死亡”という、相当のリスクを覚悟しなければならないこと…

...などなどを、その奥さんに、全部話して差し上げた。

看護疲れがピークに達してる(であろう)、その奥さんは、

「わかりました、ただ、その最後の治療、とやらは、是非、今度の“成人の日”以降にしてくれませんでしょうか? オトウチャンに、この娘(こ)の晴れ姿をみせてやりたいんです。」

…って頼んできた。

なんでも、ここにいるオジサンの一人娘は、今年“成人式”を迎えるらしかった。

「酒で死ねれば本望だァ〜!」
って、強がっていたあのオジサンも、やっぱり人の親だったんだな。



そして1月15日、奥さんが、晴れ着をきた娘さんを連れて、リカバリールームに寝てるオジサンを見舞いに来た。


オジサンは、相変わらずベッドに固定され、

新鮮血輸血を投与され、
尿道用バルーンを挿入され、
S.Bチューブハナに突っ込まれ、
ハナから出た管をオモシで引っ張られ、
酸素(フェイス)マスクを顔に付けられ、
何本もの24時間持続用の点滴につながれ、
Aライン(動脈血採血用の留置針)まで挿入され、
自動血圧計、心電図モニター、自動酸素分圧測定機器
(パルスオキシメーター)なんかを、目イッパイ装着され、

……っていう、管ダラケ、針ダラケ、薬ダラケ、精密器械ダラケの、
全く気の毒な状態だったけど、意識だけはシッカリ、ハッキリしていた。

そして、“一人娘の晴れ姿”を、
見た瞬間から、ぼろぼろ、ぼろぼろと、泣き始めたんだ。

それを見ていた、まわりのナースたち数人も、もらい泣きしていたが、オレは今まで貯まった極限の疲労と、間近にせまった最後の勝負のことで頭がイッパイだった。


オジサンは、涙とハナ水と血の混じったヨダレを垂らしながら、オレの手を握り、振り絞るようにこう言った。


「江畑せんせぇ…ドウにか、ナンとか、ナリませんかねぇ……何とぞ、お願いいたしますよ……だけど、もうイイかなぁ………この娘(こ)のこんなキレイなカッコ、見れただけでも、幸せかなぁ…………」


ベッド脇の奥さんは、
ハンカチで涙をぬぐってる。娘サンも泣いている。

オレは、それを黙って聞いてるしかなかった。


“絶対大丈夫!まかせて下さい!”
なぁんて、とてもとても言える状況じゃあなかった。


むしろ、“今のうちに、何かご家族の方に言い残しておく事はないですか?…”ってな、
医師として不謹慎な?助言をせにゃならんレベルの病態だったんだ。


「あの…外来の先生、あぁ、林国原(はやしくにばら)先生…あの色白のお若いせんせい、あのヒトが、いつも“ダイジョウブですよ、ヘーキですよ、心配ありません。”って、言ってくれてたんで、ツイツイ、酒の量が増えちゃって…もうチョッと、気をつければよかったかなぁ……」


すると、ベッドの脇の奥さんが、

「あのせんせい、オトウチャンがイロイロ訴えても、モノゴシは柔らかそうなんですけど、ナンだか忙しそうで、ホントにだいじょうぶですか?って質問すると、ちょっと怒った、迷惑そうな口ぶりになりましたんで、コチラもあんまり話せなくなって…ねぇ……」

なんて、
キキズテならないことを言ってきた。


今の“外来での話”って、
真偽のほどは定かじゃないけど…あのブルボンのヤツ……

オレ、いままで冗談で、このオジサンの監督責任は、アイツじゃねぇか!って勝手に想像して、怒ってたけど…ナァるほど、そんな、エエコロ加減な、御座なり(オザナリ)な? 等閑(ナオザリ)な? 外来を、ヤローやってやがったのか…そうか、そうだったのか……


金沢先生には、この件を報告して、
もし、万が一、この患者サンが、運良く回復して、退院!?したアカツキには、絶対、金沢先生の外来に通わせよう、そうしよう、あのブルボンに任せちゃ絶対ダメだ…

イヤイヤ、ンなこたド〜でもいい、それ以前に、死ぬか生きるか、っていう、今現在の、この難局をどう乗り切るかが、最大の問題だったっけ……


オレは、突然、

オレの大嫌いな酒をこよなく愛し、ハメを外して飲みすぎて吐血し、結果オレの年末年始休暇を奪い、ベッドにガンジガラメに縛られて、オレの目の前でココロから反省して、必死に命乞いをして涙を流してる、この「肝硬変&静脈瘤破裂オジサン」が、急に気の毒になった。

「何とかしてやらにゃ……」って、心から思った。

ソレまでも、オレ全力で、このオジサンの治療にあたってたけど、
この人に、こんな感情を抱いたのは、正直、この日のこの瞬間が初めてだった。
オレの、そん時のキモチ?とやらが、

医師としての、患者を助けたい純粋な“心”だったのか、
ブルボンに対する、一種のレジスタンス(抵抗)だったのか、
医療技術や経験、知識の向上のための、単なる自己満足だったのか、


オレ自身、
詳しくはワカンないし、よく憶えていない。

たぶん、恐らく、それらヒックルめて“全部”だったんだろうけれど。


オレらは、奥さんから、
「手術承諾書 しゅじゅつしょうだくしょ」へのサインを頂いた。

コレ、「たとえ、今度の内視鏡(胃カメラ)での手技が失敗し、ご主人が亡くなっても、家族はイッサイ文句を言いません…」っていう、一種の「念書 ねんしょ」のことだ。

これを受け取ったオレらは、リスク無く、思いっきり手術に専念できる…ってぇ事じゃなく、家族の方が、ご主人の命を、オレら“受け持ち医”に預けます、何とぞよろしくお願い致します…ってぇ意味合いのモノなんだ。

コレで、あの“胃静脈瘤”との最終決戦の準備は、“すべて”整った!

今回はここまで! 待て、次号!


デハマタ!
by 江畑(医学博士、内科医)




★次回予告★
【病棟日誌:第二弾 その5】
ラストバトル(らすとばとる)





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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その3       対「静脈瘤」“連合軍”結成 (たい「静脈瘤」れんごうぐんけっせい)


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年の瀬に出現した強敵「胃静脈瘤 いじょうみゃくりゅう」に、どう立ち向かうか…
ってところから、今回はスタートだ。


オレ(=江畑)は、あれからずっと、家に帰っていなかった。
イヤ、正確には、とてもじゃないが、帰る時間と気力なんて無かったんだ。

イロイロ残務があって、それをコナしている最中に、例の「大酒豪 肝硬変 胃静脈瘤破裂 大量吐血」オジサンが、入院…ってか、あの“ドクター・ブルボン”林国原(はやしくにばら)に強引にオシツケられて、それからもうテンヤワンヤ、右往左往状態、だったからね。


だから、この「自愛堂医大 大聖堂病院」の、ドッカしら“寝られる場所”をさがして、カッテに野宿(?)してたんだ。

風呂は、救命救急部のシャワーを使ったり、下着は、オペ着(おぺぎ:手術室にドッサリある、滅菌された白やグリーンの衣類)をコッソリくすねたり(あとで戻しましたんで)、
食事は、検食(けんしょく:患者さんのチェック用の食事)を食べたり、
寝床は、薬剤保管倉庫の床や、外来のソファ、輸血部の机の上、なんかに、付き添いサン用のバスタオルや毛布を敷いて、ポケベル(懐シ!)握り締めて寝ちゃったり…

…って、まるで野戦病院だよな。
「ホーム“レス”ドクター」のヘンリンはこの頃からあったのかもね。
(【カルテNo.6】恐怖の“ジューン・ブラッド”参照)


あの「肝硬変 吐血オジサン」だけど、応急処置で、出血は最小限に食い止められていた。

内視鏡(胃カメラ)での、
「硬化療法」がダメだったのに、その“応急処置”って、一体何だって?

それは、“胃静脈瘤 いじょうみゃくりゅう”
からの出血を止める、ユニークな器具にご登場願ったんだ。


「ソーセージ型」の風船の先に、
「球形」の風船をつなげたような、ナンとも奇妙キテレツな格好をした「チューブ」…

『正式名称:ゼングスターケン・ブレイクモア・チューブ』、

略称:S.Bチューブ」っていうモンなんだけど(医療関係者諸氏、ご存知かな?)


これをシボめた状態で、ハナのアナから突っ込み(かなりツラい)、食道〜胃に入ったら、中に空気を入れて、2つの風船をフクラまし、外から一定の力でひっぱって、その風船で、出血源を押さえて止血する……

っていう、マッコトに“原始的な方法”で、止血してたんだ。

この「S.Bチューブ」で押さえてるけど、ナニぶん、「硬化療法」を行なっていないんで、ジワジワと、例の「胃静脈瘤」からは出血が続いていた。

で、血がまたウスくなるから、ほぼ毎日のように輸血をする。
そして、口から吐かない分の血は、口と反対側の、肛門、=オシリのアナ=食べモンの出口…から、大量に出ちゃうことになる(これを“下血”げけつ:便に血が混じる事、という)。

血の混じった、真っ黒なウンコ(ってぇか、この場合、ほとんど胃で酸化され変性した大量の黒い血!)って、皆サマご存知ナイだろうけど(知る必要ナイよ)、一種、異様な“臭気”をハナツんだ。

オレは、ハキ気をモヨオしながら、その確認をし、採血して、貧血の度合(血のウスさ)を調べて、また輸血する、しばらくたつと、またまたオシリから大量に下血する。そして採血して、また輸血する、また下血…また輸血……

…ってえのの繰り返しの日々だった。



ソンなコンなで、
ナンや知らんうちに、正月の「さんがにち」が明けちまった。



1月4日、ウチの病棟班の班長、
一番上(指導医=オーベン、という)の“金沢 かなざわ 先生”と、
一番下(研修医=ネーベン、という)の“南 みなみ”の2人が、正月休み明けで戻ってきた。

さぁて、ヤットこさ、
オレ(=江畑)の休みが来たぞ!バトンタッチ! っていう、当初の予定…

と、行きたいトコだったけど、
予定は、あくまでも予定で、未定?なんであって…

“胃静脈瘤破裂”…なぁンてな「重症患者」を、研修医の立場で、年末の緊急入院の時から受け持っている(モトイ、無理ヤリ受け持たされている)、オレの場合、この病棟のシキタリ、ルールにのっとって、そのまま出勤(修行)し続けなきゃナラン事に、決定したんだ……
トドのつまり、オレ(=江畑)は、年末年始の“休み=ナシ”になっちまったんだよ!

それが確定したオレは、かなりムスッとしながら(=スネながら?)ナースステーションで仕事をしてたんだけど、何にも知らない病棟の看護婦サンたち(彼女らは、完全交代制)は、

「江畑せんせい、ご熱心ですねぇ、いっつも病棟にいますねぇ。」
「先生は、いつ寝てるんですかぁ?」
「お正月、どうでした?」

なぁんてな、ノンキな事を言ってくる始末で、中には、

「江畑先生、シッカリお休みとれたんでしょ?イイですねぇ。じゃ、仕事初めに、チョッと、あたしのこの点滴チェックと薬の確認、手伝って下さらない?」
とか頼んでくる、ハナハダ勘違いナースも若干名いたんだよな。


後から聞いたハナシだと、あの“ブルボン林国原”が、かるいざわ?の別宅へ行く前、「鶴ヶ峰病棟長」や、「淀橋婦長」、各病棟班の班長のドクターら、上の連中全員に、

「皆さまっ!“研修医:江畑”に、正月休みを与えないで下さいネッ!コレも研修の一環ナンですから。“若いうちの苦労は、買ってでもしろ”、って言うじゃないですか、ねェ?」

ってな事を助言?していった、らしかった。


「しょーがつ休みをあたえないで下さい!」…って、
「サルにエサを与えないでクダサイ!」、みたいなニュアンスで言いやがって、しかも、
“わかいウチのくろうは、かってでもしろ”?…てめクソ、その“苦労”、売ったるから、軽井沢からココに戻って来やがれ!…って、オレは、マジ、ムナクソが悪くなった。


さて…

わが班の班長、「金沢 健吾 かなざわ けんご」先生
(34歳:既婚)は、中堅ドクターで、内視鏡(胃カメラ)の専門家で、
多少病棟でウイていた、
群れるのが苦手な一匹オオカミ?のオレを、親身になって指導してくれていた。

そのドクター金沢、休み明けで、充電完了!ってな感じで、

「江畑、シンドかったなあ、ご苦労さん!サァて、この患者どうすっかな!」

なんて、気合バッチリで、頼もしい。


研修医1年目の「南 義明 みなみ よしあき」
(25歳:独身)のヤツは、中肉中背、丸顔の新人で、

「うぇ〜、江畑せんせぇ、ウチの班、重症入ってきたんスかぁ〜うぇ〜。」

なぁんて、イツもの口グセ、
“ウェ〜”を連発し、ったく、コッチの気も知らないでノンキなもんだ。


オレは毎日の休みナシの激務にフラッフラだったが、ヤットコさ、これでウチの班の総メンバーが揃った、みんなが戻って来るまで、このオジサンを持ちこたえさせたぞ、これで“胃静脈瘤”を止血して、あとは万々歳だァ…

…ってホッとしていたんだ。



しかし…
事態はそうカンタンには解決しなかった。



その後、金沢先生やオレや南が、
何度となく内視鏡(胃カメラ)を入れて、「硬化療法」を試みても、うまくいかない。


出血でよく見えない、
内視鏡がうまく操作できない、
硬化剤入りの細いクダが先に進まない、
等のアクシデントに阻まれ、手技を途中であきらめ、また「S.Bチューブ」をハナから突っ込んで、オモシで引っ張って固定...っていう、いつもの応急処置で終了……

ってなことを、オレらは何度も繰り返していた。


オジサンは、ハナからの「S.Bチューブ」が、固定のためにいっつも、起きてるときも、寝てるときも、常に引っ張られているのが、相当、苦痛みたいで、

「イタイ、イタイ…」って、うめき声をいつも上げていた。

主治医として何とかしてあげたいのはヤマヤマだが、チョッとでもその「S.Bチューブ」をゆるめると、大量出血 → ヘタすりゃ失血死!っていうことになるから、コッチとしても仕方がなかったんだ。



正月明けから、すでに数日が経過し、

さすがの内視鏡(胃カメラ)のプロ、オレの師匠、
“金沢先生”も、このオジサンの“胃静脈瘤”の手ごわさを素直に認めるしかなかった。


金「江畑、こりゃヒトスジナワではいかんなぁ…」
江「金沢先生、このマンマじゃ、先が見えないですよ…」
金「ところで、ファミリー(家族)には何て説明してんだ?」
江「はぁ、“かなり厳しい” って、ムンテラ(説明)してますけど。」
南「江畑せんせぇ、ホント、年末タイヘンだったんですねぇ、うぇ〜」
江「南よ、オメェがコタツで紅白見てるとき、オレは、オジサンの血まみれウンコの処置してたんだぜ!」
南「ヤダなせんせぇ、僕んチ、コタツありませんよ〜、うぇ〜」


オレらが、ドクターズ・ラウンジ(医者のツメ所)で、“肝硬変オジサン”に対する、ミニ・ミーティングを行っていると…

「イヤイヤ、皆さん、明けましてオメデトーございます。で、ドンナ具合でしょうかぁ?ボクの例の患者?」


あの“ブルボン林国原”が、ピンク色の顔をして、ドクターズ・ラウンジに入ってきた。

ヤスミあけで、完全復帰したらしいが、恐らく、軽井沢のお別荘で、スキーざんまい?だったんだろう、雪焼けしたけど、浅黒くならずに赤ら顔になるオハダの体質、らしい。


「ハイ、これミナサマにおみやげ、ウチで作った、酵母パン、とおってもエスカァ〜ゴに合うんですよ。ボク、ここ数日、お三時は、いっつもガ〜ィック・エスカァ〜ゴだったんですよォ。」

って、無神経に、“オジサン”の採血(さいけつ)データやカルテなんかの置いてある、オレらの机の上に、ウス茶色のデカイ紙袋をデンと置いてきた。


“ガ〜ィック・エスカァ〜ゴ”…ってぇのは、たぶん、
“かたつむりのニンニク炒(いた)め”の事なんだろう。オレは、毎日午後三時のコイツ(=ブルボン)のハラん中が、デンデン虫でイッパイなのを想像し、ムシズが走る想いがした。


「で、あの患者、いうなればターミナル(末期)ですから、結構シビアでしょうねぇ、ホントにご苦労サマです。だけど、硬化療法、ソレほどまでにムズカシイ手技、ですかァ?」


黙って聞き流していた、わが金沢班長、
イケシャーシャーと暴言をヌカすこの若(バカ)ゾーにカチンときたらしく、

「林国原先生、ご意見がおありなら、一緒にこのヒト、受け持ちます?元々、外来主治医はキミでしょうし、ね?」
と、侮蔑のマナザシで言い放った。
オレの師、金沢先生も、どうやらこの「ブルボン林国原」には、いい印象を持っていないらしい。

「イヤイヤ、金沢先生の内視鏡テクには、及びませんから、オマカセいたします、ではボク、内科学会の用意がありますんで、これで。」

ブルボンは、アレ、ぼく、もしかして、おジャマかしら?的な表情になって、ソソクサとドクターズ・ラウンジから去っていった。


オレは、コイツ(=ブルボン)の、
「弱いモン」にはメッポー強く、「強いモン」にはコメツキバッタ…っていう、
典型的なヒキョーもんキャラが、どうにも我慢ならなかった。

もしも、金沢先生の一言がなく、
ヤツがそのままココ(ドクターズ・ラウンジ)に居座ったら、

またいつもの、
軽井沢別荘政界財界芸能界大物来客話、
高級外車日替買替下取年間数十回車検代約数百万円話、
自宅居間改築費数億クリスタルサロンカラオケ遊戯部屋落成式記念行事話、
なんてな、
「林国原コンツェルン自慢大会」がエンドレスにオッ始まるに決まってるのだ。



アイツ(ブルボン)は、
多分、オノレのウナるほど金に塗(まみ)れた“境遇”を、
命の限り!自慢するため“のみ”に、この世に生を受けたんだろう。


ヒトが、他人に“怒り”の感情を抱(いだ)く…
ってのを、心理学的に分析すると、「相手の無神経、鈍感な行動、言動によるもの」に対し、ハラが立つのが殆(ほとん)ど、らしい…って、どっかの心理学者が言ってたけど…

無神経が白衣を着てるような「ブルボン林国原」は、これからも、“周りの他人を腹立たせる”人生を歩むに違いない。オレは心底そう思った。



…で、それからも、
オレらは、このオジサンの静脈瘤の止血に、最大限の努力をしたんだけど…


何度も手技(硬化療法)が失敗するたびに、
オレら3人(Dr.金沢、江畑、南)はその場にヘナヘナと、ヘタり込むほど疲労困憊し

(コレマジです。本当に!床に全員座り込んじゃうんだぜ!)、

同時に考えて、考えて、考えぬいた。
なんか必ず他に、方法があるはずだ、って、必死になってね。


そんな時だった。

金沢先生が、突然、
「そうだ、1内(いちない:第一内科のこと)の小仏(こぼとけ)んとこの“アレ”でやる、って手があるかも。」ってつぶやいた。


わが「自愛堂医大病院:第1内科」は、
ウチら第5内科と同様、消化器専門の内科があって、“内視鏡セクション”も充実していた。

その1内の“小仏久仁夫(こぼとけ くにお)”先生、ってのは、わが班長、“金沢先生”の同期で、アメリカのフレズノ大学医科部に留学経験のある、内視鏡の専門医だった。

そのウワサの、
最近、開発された、まさに最新の内視鏡(胃カメラ)ってぇのを、カンタンに説明すると、通常の内視鏡よりも、細く、柔らかかったんだけれども、日本のメーカーの内視鏡とは、手技も使い勝手もまったく!違う、「オートマの国産車」と、「マニュアルの外車」以上の差があったんだ。
こんな慣れていない未知の機器を、今回のような重症患者に、はたして使って構わないんだろうか?危険は無いんだろうか?どの程度のリスクがあるんだろうか?全く想像がつかなかったんだけど…

オレらは、ワラをも掴む思いで、1内の小仏先生にコンタクトをとった。

金沢先生から、“肝硬変オジサン”の話を聞いた小仏先生は、
「わかりました。むずかしい症例ですが、アレを使ってやるだけやってみましょう。」って言ってくれた。

こんな他科(たか:他の科、ウチら第五内科のこと)の、“胃静脈瘤”なぁんてヤッカイな患者の場合、少々ためらうのがフツーだろうけど、さすが、人格者で?名高い、“ホトケのコボトケ” 先生、フタツ返事で、協力を承諾してくれた。

これで、「第1&第5内科連合軍」が結成された。
このチームで、あのオジサンに最後のトライをすることになったんだ。



今回はここまで! 待て、次号!


デハマタ!
by 江畑(医学博士、内科医)



★次回予告★ 【病棟日誌:第二弾 その4】
待ってください“成人式”まで 
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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その2       ドクター・ブルボンの華麗なる日常            (どくたー・ぶるぼん の かれいなる にちじょう)


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前回、【病棟日誌:第二弾 その1】で、
「肝硬変 かんこうへん」のアル中オジサンが、クソいそがしい年末に緊急入院してきた…しかしコッチ(病院側)は、イカンせん「手ウス」…ってところから、今回はスタートだ。


前回も書いたけど、この緊急入院の「肝硬変の吐血オジサン」の、本来の!受け持ち(=主治医)の、「ドクター・林国原(はやしくにばら)」は、トックのトウに、“年末年始やすみ”に入っちゃって、で、オレらの(臨時)の班が、受け持つハメになっちまってた。

今ごろ「林国原(はやしくにばら)」のヤツ、ニューカレドニアか、タヒチか、ハワイあたりの海岸で、アロハだのイロハだのと楽しげに騒いでるんだろうな、オレの苦労も知らんで…って、オレは、自分の運の悪さを、大いにナゲくしかなかった。

この「林国原」っていう医者、オレの2つ上の先輩だったけど、現役で「自愛堂医大」に入学 → 卒業してて、かたや、オレ(=江畑)は、人一倍!浪人してたんで、年は、実はオレのほうが1つ上だった。

で、この「“年下 & 先輩”ドクター・林国原」、
ダレが付けたか、わが「消化器病棟」内でのあだ名は、“ブルボン”。

クッキー、ビスケット、なんてな、
“甘〜い”イメージじゃなく、“ブルジョアのボンボン”、“大富豪の若サマ”の略称なのだ。


コイツの実家、ってぇのが、ナンやら、ドデカい輸入雑貨かなんかの会社をいくつも持っている、ケタ違いの“大大大金持ち”で、オヤジだかオジイだかが、この「自愛堂医大病院」の“理事長”が、“事務局長”だかナンだかの役員をやってて…

毎年、ン千万(ン億?)の寄付?補助金?を大学病院に出してて、「特殊疾患研究棟」なんてぇなオーギョーな建てモンを、病院のま横にぶっ建てちゃってて、(その建築物、「林国原会館」、ってなウラの名称がある)…

東京都内の超!一等地に、「ン千坪」の!お屋敷があって、別荘が、国内外に数箇所あって、自分でもマンションを何棟がタワムレに!持ってて、月々の家賃収入が、ン百万あって……


Dr.ブルボンを取り巻く、「超!ブッ飛んだ非常識な環境」…とやらを、解説するには、あまりにも時間とページがなさ過ぎるんで、ヤッカミ、ネタミ、ソネミを誘うお話は、このくらいにイタシまして……


さて、オレと、病棟長=「鶴ヶ峰(つるがみね)先生」2人の、“臨時の病棟班”は、例の「肝硬変」のオジサン(=トラック運転手)を、病棟のリカバリー・ルーム(R.R)に入院させ、さっそく、「吐血 とけつ」の処置を行なった。



ココで、読者の皆さま、「肝硬変」を拗(コジ)らせた患者サンが、

ナンで、
どうして、「血を大量に吐く」のか、ご存知かな?


【カルテNo.12】---たくましすぎるのが欠点なんです---
の解説んトコで、肝硬変の「合併症 がっぺいしょう」には、主に3つあるって言ったよね?

【1】「食道静脈瘤の破裂 しょくどうじょうみゃくりゅう の はれつ」
【2】「肝臓ガンの合併 かんぞうがん の がっぺい」
【3】「肝性昏睡 かんせいこんすい」

「江畑よォ、“かんこうへん”を、ホッタラカシにするとだなぁ、最期は、「血ィ吐きまくって死ぬ」か、「癌ダラケになって」死ぬか、「頭に毒がマワって」死ぬか …ドレか、究極のセンタクをせにゃナランのだよ。」

なぁんて、かなりヒドイ、ランボーな事言ってた、
オレの先輩ドクターがいたけど、コレ、けっこうマトを得た意見なんだ。


今回の「トラックのオジサン」の、
合併症は、上記【1】の、「食道静脈瘤の破裂」だった。

この「食道静脈瘤の破裂」
ってぇモンが、ナンで起こっちゃうのか?…の、カンタンな説明をすると…

酒なんかの飲みすぎで、「肝臓」がイタんで、「肝硬変 かんこうへん」になっちゃうと、「肝臓」自体がさらに、ダメージを受けて、“硬く”変質しちまう。 すると、カラダ全体から肝臓に流れ込んでくる血の圧力(←門脈圧 もんみゃくあつ という)が、しだいに上昇してしまうんだ。

で、その上がった「門脈圧」は、どっか、他の場所に、そのチカラ(=圧)を逃がそうとする。そん時に、まず、その被害を被(こうむ)る?のが!「食道 しょくどう」 にある 血管(静脈)なんだ。

で、「食道の静脈の圧」が上がってくると、その静脈がゆっくり、だんだん“ハレて”きて、「静脈瘤 じょうみゃくりゅう」、すなわち、「静脈のコブ」が出来てきて、最後は、ついにコラエ切れずに“破裂”し、結果、“洗面器何杯分”!という「大量の吐血」をしてしまう

…っていう、(カンタンにいうと)、そういうプロセスをたどるんだ。

この「食道静脈瘤」の治療法は何か?
答えは、内視鏡(=胃カメラ)による「硬化療法 こうかりょうほう」だ。

「こうかりょうほう」…

英名:スクレロセラピー、って呼ばれてるモンで、内視鏡(=胃カメラ)を口から入れ、食道にある、「ハレ上がった静脈瘤」に、特殊な薬物を注入し、カタメてしまおう、っていう手技のことなんだ。

まぁ、台風で増水して、決壊寸前の川の岸辺に、自衛隊が「土のう」を積み上げて、水が溢(あふ)れんのを防ぐだろ? アレとおんなじ、そうやって「静脈瘤からの出血」をセキ止めよう、っていう方法なんだ。


しかしこの「硬化療法」、まことに残念ながら!
「根治療法 こんちりょうほう:完全に治す方法」じゃあないんだ。

「静脈の圧」は、依然!高いマンマだから、しばらくすると(いつかはワカンないけど)、また別の場所の「静脈」がハレて、静脈瘤になって、で、ホオっておくと、再びソコがヤブて大出血して、そして、またまたそこに「硬化療法」をおこなう……

っていう、
一種の「イタチごっこ的治療法」なんだ。


オレと、病棟長の鶴ヶ峰(つるがみね)先生は、ただちにこのオジサンに、内視鏡をつっ込んで、出血のモトである「食道静脈瘤」に、「硬化療法」を施行した。

で、その効果は、
すぐに現れて、出血は“一応”止まったんだ。

ナンで“一応”かって?だって、さっき書いたけど、また次、どこの「静脈瘤」が、いつ破裂!するか、誰にもわかんないんだからね。

で、その応急処置は完了した…ってコトだったんだけど、
そのオジサン、スンごい量の吐血をしたらしく、血の濃さをしめすHb(血清ヘモグロビン濃度っていうモノサシ)が、普通の人の約“半分”に減っちまってたんだ。(【カルテNo.2】“貧血”の項 参照。)

で、オレらは、オジサンに、
緊急の「輸血」を大量に施行し、こうして、貧血はなんとか改善されたんだ。



そして……


次の日(12月29日)から…
オレ(=江畑)の、年末年始もクソない!地獄のような日々が始まった。


例のオジサン、
その日の朝、さっそくまた吐血したんだ。しかも1回目より大量に!ね。

オレと、病棟長の鶴ヶ峰(つるがみね)先生は、緊急に、2回目の内視鏡(=胃カメラ)をやったんだけど、今度は、なにぶん出血量が多すぎて、ノゾいてみてもマッカッカ!ナニがナンやらさっぱりワカらなかった。

その後、出血がだいぶ収まったところを見計らって、再度、内視鏡(=胃カメラ)をトライしたんだけど、おかしなことに、今度は肝心の「出血源」が見つからない。どこを探してみても、破裂している「食道の静脈瘤」なんて認められなかったんだ。

「もしや?」と思って、オレと鶴ヶ峰先生、「内視鏡(胃カメラ)」を、胃のかなり奥のほうまで進めて、クルッと180度、反転したんだ。 こうすると、普段見えない「胃の入り口」を、胃の奥から“逆方向”にながめるカッコになる。

すると!

あったんだ、“新たなる”出血源が!

その正体は、「胃」の入り口近くにある静脈が、圧をうけて静脈瘤化(?)し、そこが破裂した、っていう、発生頻度の低い、「“胃”静脈瘤の破裂」…っていうヤツだったんだ!
「 い じょうみゃくりゅう の はれつ 」…
鶴ヶ峰先生も、オレも、目の前がマックラになり、頭をかかえちまった。

ナゼかって?

ここ、“胃静脈瘤”の血を止める=「硬化療法」を施行する、となると、「内視鏡(胃カメラ)」を反転、つまり折り曲げながら、同時に、正確に、薬剤を、その“胃静脈瘤”に注入する…っていう、すんごいムズかしい、ヤッカイな手技になっちまう、ってことなんだ。


当時の「内視鏡(胃カメラ)」は、現在のモノみたいに、細くも、ヤワらかくもなく、また、電スコ(デンスコ:電子スコープのこと)のような、モニターT.Vもつながってなく、直視(ちょくし:直接目でのぞく)タイプだったんで、180度、反転して、狙いを定めて、薬剤注入!…そんなトンでもない“芸当”なんて、到底ムリだ!…って思われたんだ。

ピッチャーが、バッターに構えて、ふりかぶって、思いっきり身体をひねって、160kmのタマを、真後ろのセカンドに全力で投げ、内角ぎりぎりのストライクをとる!?…ってな、「野茂のトルネード投法」「イチローのレーザービーム」なんかよりスゴい「超人技」を、本番一発でやんなさい…ってぇのと同じ?くらいのムズカシサ、だったんだよ。


「鶴ヶ峰先生、どうしましょうか…」
「いやぁ、江畑、結構シビアな(=キビシイ)状態だなぁ!」

オレらが、「オジサン」のベッドのあるリカバリー・ルームから、ボーゼンとしながら出てきた時、一瞬、場違いな、芳(かぐわ)しい“香り”がオレの鼻をついた。


「アラ、林国原(はやしくにばら)先生、ご出勤は“お正月あけ”からじゃなかったんですか?」

大助・花子にクリソツの、「淀橋(よどばし)婦長」の声を聞いたオレが振り向くと…

そこには、鳥のハネで出来た? 極彩色のケバケバ状のネクタイを締め、白衣の胸元に、家紋入りのオレンジと金色のワッペンを縫いつけ、ナンかの貝?の化石 で出来てる、っていう、キミョーなカフスボタンをした、 “吐血オジサン”の外来主治医の!
「ドクター・ブルボン」=林国原(はやしくにばら)が立っていた。

「イヤ〜、チョッと早めに帰国したんだけど、今日は、病院に用事があって戻りました。またこれから軽井沢(=別荘)のほうに出かけるんですけどね。ところで、ボクの患者、緊急入院したんですって?」

「ブルボン林国原」は、疲労困憊気味のオレと鶴ヶ峰先生をチラッと見ながら、その特徴あるサラサラヘアーを、左手の細い指でカキ上げた。

さっきの芳しい?ニオイの正体は、多分、ご自慢の「おフランス」あたりで買ったオーデコロン?なんだろう。


「林国原先生、あの患者、肝硬変で、“胃”静脈瘤を併発(へいはつ)しちゃってて、今日の朝、それが破裂しちゃってさぁ、どうにもお手上げなんだよ。」

病棟長の鶴ヶ峰先生がそう言うと、ブルボンは、

「あらァっ? マーゲン(=胃)のバリックス(=静脈瘤)ラプチャー(=破裂)ですかァ…!そりゃ一大事ですねェ…うんうん、大変大変…で、受け持ち医はドナタですか?」…

…なんてな事を、ホザいて来やがった。

コイツ、何スットボケてるんだ?
この「酒飲み吐血オジサン」正真正銘、オメェの外来患者だろうが?

「消化器内科病棟」所属のドクターは、自分の外来受け持ち患者が「緊急入院」した際は、盆暮れ正月、ゴールデン・ウィーク関係ナシ! ヨッポドの事情、例外がない限り、その医者自身が受け持つ…ってのが「暗黙のルール」になってて、みな、文句も言わずに従っていたんだ。

ところが、鶴ヶ峰病棟長は、

「あぁ、今、“江畑と私”で、臨時に受け持っているんだが、休みが明ければ、江畑の班、全員揃(そろ)うし、江畑の班の班長=「金沢(かなざわ)先生」、丁度、内視鏡(胃カメラ)の専門だから、一切まかそうと思うんだが…」

ってな、耳を疑うような、信じられない事をオッシャった。

「ソウですね、私もそれがベストだと思います。」

そう言うと、ブルボンは、リカバリー・ルームに行き、ベッドで、グッタリと目を閉じているオジサンに向かって、大きな声でこう言った。

「もしもしぃ〜、外来医の林国原ですぅ。ワカルかな?ワカルよねぇ? 今はねぇ、コチラの江畑せんせいたちが、診てくれてるからねぇ。だけど、アナタは、ボクの患者である事には、違いないからねぇ、ご心配なくぅ!」


コイツ、言ってることが矛盾してるんじゃネェか?

「自分の患者」、っていう認識があんなら、ナニもこれから「かるいざわ」なんか行かんでもいいだろ? オメェの別荘なんて、イツでもソコにあるんだから、それより責任もってこの「肝硬変」の患者の治療にアタれってぇんだよ!


「じゃ、江畑先生、ボクの患者さん、ヨロシクね。良いお年を。アデュー!」

あンだって?
オメェの元、外来患者の非常識な行動のせいで、コチとらイラン苦労をしてるんだ!監督責任はオメェにあるんじゃネェの? ンなのに、オレに言うコトバが、「よいおとしを、あでゅ〜」だと?

(後年、世界的な指揮者、小澤征爾(おざわせいじ)氏の甥で、T大卒で、
「ボォくぅの子猫ちゅわぁ〜ン!」なんてな口調のミュージシャン、小沢健▲(●ざわけんじ)、通称「オザケン」ってぇのが、T.Vの歌番組に登場したとき、オレ、この「ブルボン林国原」を思い出した。)


オレは、鶴ヶ峰病棟長に、この「吐血オジサン」の受け持ち医の交代を申請しようか…って悩んだけど、研修医(=ミナライ)のブンザイで、そんな事言えるワケなかったし、「江畑、何事も研修医の時期は、勉強になるぞ!」なぁんて、カワされそうだったし…
何より「ブルボン林国原」の実家が、わが自愛堂医大の“タニマチ”的な存在だったんで、淀橋婦長も、鶴ヶ峰病棟長も、ナンとなくブルボンを、“ハレモンにさわる”かの如(ごと)く、特別扱いをしてる雰囲気が、オレにも以前からナンとなく解ってたから、結局、何も言えずじまいになっちまったんだ。

そんなオレの、「ガテンがイカンけど、納得せざるを得ない」…っていう、ストレスだらけの心理状態なんて、ナァんも解ってない、例のオジサンは、ベッドの上で、アオ白い顔をしながら、オレに力なくこう呟(つぶや)いた。


「あ〜、江畑せんせぇ、でしたっけ?…お世話になりますなぁ…スンませんなぁ…だけど、ド〜しても、“酒”だけは、やめられませんナァ…ハハハァ……」

オジサンよ、

アンタ、好き勝手に酒ガバガバ飲んで、体コワして、結果、オレのキチョ〜な年末年始の休み、チャラにしようとしてんだぞ、オイ!

当時、医者として未熟モンだった?オレは、世間シラズな「ドクター・ブルボン」の外来から来た、この「肝硬変オジサン」を、どうしても許すことが出来なかったんだ。


今回はここまで!

待て、次号!


デハマタ!
by 江畑(医学博士、内科医)


★次回予告★ 【病棟日誌:第二弾 その3】
対「静脈瘤」“連合軍”結成 
( たい「じょうみゃくりゅう」“れんごうぐん”けっせい )



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【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その1       “酒”で死ねれば「ホント」に「本望」?          (“さけ”でしねれば ほんと に ほんもう ?)


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「この“一杯”のタメに“生きてる”なぁ〜…ッ!」

グラスの酒を、思いっきり!イッキに飲み干した後、ココロの底から湧き出てくる、こんなセリフ…一度でいいから、オレも言ってみたい。

以前、【カルテNo.8】、【カルテNo.12】などのコラムでも書いたけど、オレ(=江畑)は、酒が“ゼンゼン”飲めない。

もし、オレが酒を一杯、口にした日にゃ、アルコールって名前の「毒」が、カラダん中をグルングルン、マワリにマワっちゃって、吐くか、気分悪くなって倒れるか、寝ちまうか、のドレかになっちまうんだ。

これは、オレが、「ダラシない」、「つき合いが悪い」、「ミズくさい」…んじゃなくて、
オレのカラダん中で、「アルコールを分解し、無毒化する酵素 こうそ」ってぇのが、“先天的”に、“遺伝子的”に、足りないのが原因で、日本人にはワリといる「酒が全くダメなタイプ」、俗に言う「下戸 げこ」ってぇヤツなんだ。

(酒で顔が赤くなるのを、専門用語で「オリエンタル・フラッシュ」という。オレは全身がマッカッカになる。)

ごく、タマぁに、飲める連中と一緒に居酒屋に行く機会があっても、盛り上がるのはソイツラだけで、こっちは酒の肴(サカナ)ばっか、ガバスカ食うか、ウーロン茶ガブ飲みしてクダをまくしか、する事がないんだよな(しかも勘定はワリカンだし…)。

時々、飲める人がウラヤマしい…って思うことも正直あるよ。「コイツら酒の力を借りて、騒いで、ストレス発散できて、いいなァ。」…ってね。

だけど、「アルコール性の肝障害」なんかの患者が、オレの勤める病院に担ぎこまれるたんびに、「あぁ、酒飲めなくてよかったのかも…」って感じるのも事実なんだ。




あれは、オレが“自愛堂医大 じあいどういだい”を、留年もなく無事?卒業し、「医師国家試験」も、無事?合格して、一応、医者になり、そのまま、医科大に付属してる、「自愛堂医大 大聖堂病院」で、「研修医 けんしゅうい」…つまり“医者みならい”を始めて、はや一年半…「医者2年目」の、正月を迎えようとしていた、暮れも押し迫った、12月28日の、夕方近くのこと……

オレの所属する、院内の「消化器内科 しょうかきないか」病棟に、エマージェンシー・コール(緊急連絡)が入った。


「えぇ、えぇ……あの…主治医の“林国原(はやしくにばら)”せんせいは…今、年末年始のお休みに入っておりまして…はぁ……いや……今、この時間、病棟には、“研修医の先生”しかおりませんが……」

その電話に出た、
病棟婦長サン(びょうとうふちょうサン:一番上のナース)の、会話を聞いてるかぎり、

この病棟に所属の、オレの先輩、「ドクター“林国原(はやしくにばら)”」の、「外来受け持ち患者」のダレかが、ナンやら、状態を悪くして、救命救急センターに担ぎ込まれた、らしかった。
その、漫才の「大助・■子」の「花■」に似てる“病棟婦長サン”、病棟のナースステーションで、カルテ整理をしてたオレ(=江畑)のほうを見て、

「江畑先生、今、“救命センター”から連絡なんですけど…“林国原(はやしくにばら)先生”の受け持ちの、外来の患者さんが、大量吐血(たいりょうとけつ:スンごい血を吐いた)で、来てるんですけど…正月体制で、“林国原先生”お休みで、いらっしゃらないんで、その患者さん、江畑先生の班に受け持ってもらう、ってことで、宜しいですね?…」

なんてな事を、済まなそうに頼んできた。


「ヨロシ〜ですね」…ってオッシャられても、ンな、「研修医2年目」の身分のオレが、
「ヤです。」なぁんて言えるハズもなく、「オレの班」は、多分、イヤ絶対、間違いなく! この「重症患者」を、年末の、あと3日で「おおみそか」だ!ってな、日本全国、ワサワサしてる、コンな時に、受け持つハメになっちまった…ってぇことなんだ。

(「研修医の日常」っていう“リフジンな世界”?は、
【カルテNo.6】で、既にお話ズミですんで、是非ご参照下さいな。)


実は、オレが世話になってる(研修してる)、この「消化器内科」病棟、「大聖堂病院」内でも、ユビオリの!「ステルベン病棟」だった。

「ステルベンびょうとう」……

“医療関係者”なら、この言葉聞いただけで、ソレこそ『ハダシで逃げ出したくなる』…と思うんだけど、いかがでしょ?

「ステルベン」ってぇのは、医学用語(ドイツ語)=で「死」「死亡」の意。
(【カルテNo.24】「水虫」んとこで解説済。)

つまり、「患者が死亡する確率!」が、この病院内で、いっちばん!高いっていう、恐怖のセクション? エリア? で、それこそが、わが「消化器内科 しょうかきないか」病棟だった、ってぇ事なんだ。

あ、コレ、「医者のウデが最低だから!」…なんじゃなくて、あんまりにも入院患者が「重症疾患」ダラケ…つまり「重い病気」の人がテンコモリすぎて、ウラ口から退院なさる(=死亡退院のこと)患者サンが、結果的にかなり多かった…ってぇ意味だから、ナニトゾ誤解のなきようにお願いしますね。


で、さらに悪いことに、当時、オレの所属している病棟の班は、「ドクター3人」体制で、

◎「班長=中堅ドクター」
◎「研修医2年目=江畑」(←オレ)
◎「研修医1年目=後輩」…………っていう“構成”だったんだけど、

その上=「先輩」と、下=「後輩」の2人の医者、
ハヤバヤと正月休み体制に入っちゃってて、わが班には、なんと「まん中のオレ1人」…

…じゃ、いっくらナンでもココロぼそいんで、プラス、「病棟ドクター」の一番上、「病棟長(びょうとうちょう)のオエライ先生」ってのが、オレを「臨時指導」してくれている…っていう、ナンとも不安定な状態になってたんだ。

(「読者の皆さま、年末年始は、大学病院は手ウス、医者の数は半分なんだよ…」って、以前、【カルテNo.25】「胆石 たんせき」んトコで書いたよね?)


で、その「大量に血を吐いた」っていう患者サン、救命センターから、応急処置だけして、わが「消化器内科」病棟に、予定通り移されてきて、「オレの班」…

…ってか、オレと、「病棟長のオエライ先生」=「鶴ヶ峰(つるがみね)先生」っていうんだけど…そのオレら2人の臨時「ニワカ班」が、予定通り、受け持つ事になったんだ。


その緊急入院の人、50代の男性で、ウチの病院に入退院を数回繰り返し、後、外来に通院していた、「職業=配送トラックの運転手」サンの病名は、

◆「肝硬変 かんこうへん」で、
◆「食道静脈瘤 しょくどうじょうみゃくりゅう」も合併している、とあった。


このヒトの ◆「肝硬変」の原因は、「アルコール性」。

よ〜するに、アル中の「飲んだくれ」のオジサンが、アンマリにも度をこして飲みすぎて、結果、肝臓をボロボロに壊しちゃった…ってこと。(←運転手なのに!)。

つね日頃から、医療関係者にその「酒マミレ」の生活態度を注意されても、そのオジサン、「酒のない人生なんてマッ暗、酒で死ねれば本望だァ!」が、口グセの、「病識 びょうしき(病気に対する認識)」=0(ゼロ)!「反省の色」=全くナシの、ブラックリスト入り「超!問題患者」だったんだ。



さて…皆さん……


冬山に登山なんかしてて、遭難して、救助隊に助けを求める、って、よくあるよねえ。
(つい先日もあったな、大学の登山部の学生が遭難しかけた、ってのが。)

アレ、ちょっと納得いかないんだなあ、オレ。


だってさ、例えば、客船かなんかに乗ってて、航海中に、
アクシデントで大海原に放り出されて、“救助求ム”ってぇんなら、十分理解できるよ。

だけど、「冬山登山」って、ヘタすりゃあ命を落としかねない、っていう、トンでもない「リスク」を自ら承知でトライするんでしょ?

なら、「万が一、遭難の際は、救助の費用を全額負担いたします。」
とか、「遭難しても助けは結構です、ご迷惑は決してかけません。」

みたいなのを“一筆”書いてから、登るべきだよなぁ。いかがでしょ?オカしいかな?この考え方?

「冬山が俺を呼んでいる〜」…って、勝手にキケンな山登ってって、最後に救援隊をお呼びになる、ってのは、イカガなモンなんでしょかねぇ?

何が言いたいのかって?

「アルコール性の肝障害」って、まさに!この「冬山登山」と同じなんじゃないの?

例えば、氷の上を歩いている人に、
「そっち行ったら氷、ウスいから、アカンってば!」って注意してんのに、
「うるせぇ、ホッとけや!」なぁんて、サンザン「無視」してて、

で、案の定、氷が割れて、冷たい水につかっちゃって、そういう危険な目にあった時になって、初めて、「お〜い、ツメタイよォ〜、助けろよぉ!」なぁんて、ムシが良過ぎないかい?ってぇこと。

「人間、好きなモンで死ぬってぇのは、ウラヤマしい、ベストな死に方なんだよな、江畑っちゃん」…って、前、オレの先輩ドクターが言ってたけど、

今回の「緊急入院の肝硬変オジサン」も、「酒で死ねれば本望!」
ってタンカ切ってんなら、べつにコッチだって、オタクの「飲酒」止めないって!

だけど、ソンだけの「覚悟」がオアリならさぁ、体調崩そうが、血を大量に吐こうが、どんなコトが起ころうが、すべて自分で「処置」しろよ、ましてや病院なんか絶対来んなってぇの!

…ってな気持ちに、正直なってたんだ。

まぁ、ソンなこと、当時、大学病院内で、オレみたいな「研修医2年目のグリーンボーイ」?が、口に出来るハズも無かったけどね。


このオジサン、青白い顔をして、

「先生、俺どーなんのかなあ、死ぬのかなあ……」

って、真っ赤になった口を押さえながら、オレに不安そうに尋ねてきた。

そりゃあそうだろう、
今まで経験したことのない、ハラの底からの大量出血なんだからね。
…ってところで紙面が尽きた。

待て、次号!

デハマタ!
by 江畑(医学博士、内科医)




★次回予告★ 【病棟日誌 第二弾 その2】
ドクター・ブルボンの華麗なる日常
(どくたー・ぶるぼん の かれいなる にちじょう)



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★ INDEX (= もくじ) ---------------------------★『ハダシで逃げ出せ、こんな病院!第二弾』(6話完結)★


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★「ホーム“レス”ドクター」の
連続小説風疾患別医療現場暴露裏話的病棟日誌


元:“医学博士”、現:“野良医者”の 御存知、【ドクター江畑】が描く、初の書き下ろしエッセイ!魍魎(ちみもうりょう)の闊歩(かっぽ)する、マチガイだらけの医学界。クスリという名の劇薬を、あたり構わず撒き散らし、みんなで隠す手術ミス、コウベを垂れないアホ医者はびこる、そんな「大学病院」という名の、トンデモワールドに、若き日の“野良医者” =ホーム“レス”ドクター:「江畑 李下」が、読者の皆様をお連れ致します! お楽しみに!


◆【病棟日誌:第二弾】 『静脈瘤破裂 じょうみゃくりゅうはれつ 編

酒をこよなく愛する「トラックの運ちゃん」が、大みそかの「自愛堂医大 大聖堂病院」救命救急センターに緊急入院! その瞬間から、オレ(Dr.江畑)の“正月休み”は消滅した!命の火は「愛娘」の“成人式”まで、持つのか、はたまた悲劇の結末か? 絶望の我々“医療スタッフ”を救う、究極の「新兵器」とは?…


【病棟日誌第二弾その1】---“酒”で死ねれば「ホント」に「本望」? ---
【病棟日誌第二弾その2】--- ドクター・ブルボンの華麗なる日常---
【病棟日誌第二弾その3】---対「静脈瘤」“連合軍”結成---
【病棟日誌第二弾その4】---待ってください“成人式”まで ---
【病棟日誌第二弾その5】---ラストバトル---
【病棟日誌第二弾その6】---桜舞い散る道の上で(最終回)---
【病棟日誌第二弾“不明熱”編】 の “あとがき”


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2007年02月21日

★【第10節】------『お得意の“第2志望”は、自愛堂(じあいどう)医大でした…?』


オレ:江畑をアワレだなぁ...と思ったら、ココをクリックしてクレぃ! → 
1日1回、クリックしてくれると、生きる希望がワキます。いつも応援アリガトウ...↑



『え? オレ(=江畑 李下)が、“野良医者”になったワケ…? それはねぇ……』



旧:【これでアナタも病院イラズ!ネコでもわかる医学知識集】
新:【野良医者のカラダとココロとオカネに効く非常識健康法】

の著者である、野良医者“エバっちゃん”が、自分の過去を、
現在の状況を、そして未来への展望を……すべてアライザライ残らず
ブチマケる、壮絶衝撃必笑自叙伝!


(気のお弱い患者サンは、↓以下ご遠慮願います。ブッ倒れても知りません?)



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はじめての方は、コチラ ⇒ 野良医者=江畑の自叙伝「 INDEX:もくじ」
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★【ご注意】
以降の記述は、●パーセントが、「ノンフィクション」で構成されております。

★【免責事項】
以降の記述により生じる損害・トラブル等については、著者=ホームレス・
ドクター:野良医者 江畑=エバっちゃん および「株式会社アイナレッジ」は、
一切の! 責任を負いませんのでアシからず。



============================================



★【登場人物】

◆オレ…「江畑 李下(えばた りか)」 元:医学博士…現在、野良医者
◆オヤジ…「江畑 帝(えばた みかど)」 人格者のカリスマ医師 その真の姿は?
◆おフクロ…「江畑 リョウ子」 心臓病を患(わずら)う、薄幸な?専業主婦
◆妹…「江畑 ケイ子」 両親をささえるケナゲな娘 現在、美容院を経営





★【第10節:その0】------『第9節(前回)までの オサライ …』


オレのオヤジ=「江畑 帝(みかど)」は、「カリスマ内科医」・「紳士」・「生き仏
サマ」…っていう、“オモテ”のカオと、「希代のギャンブル狂」・「カネに関し
てドンブリ勘定」…っていう、トンでもない“ウラ”のカオを持っていた。
オレら家族は、その事実を ずっと何十年にも渡って見て見ぬフリをし続け……


また 一方、不治の病(心臓病)のおフクロ=「江畑 リョウ子」は、多大なる
ストレスの中、長男であるこのオレに過度な期待をすることで、日々のウップ
ンをはらす、激しい「過干渉」のオンナに 次第に変貌していき、幼少時のオレ
は、その期待や要求に、ムリヤリ答えさせられる毎日を強いられていたが……


従来のサボリグセと、運の悪さ(?)がタタり、結局 二流高校を卒業後、医大
受験に失敗し、多重浪人にまで落ちこぼれ…ついに家庭内暴力まで勃発!一時
は医大受験をあきめろといわれたが、予備校講師らのアツい指導により、徐々
にマトモな成績が取れつつあった、そんなオレに いよいよリベンジの時が…?




★【第10節:その1】------『4つに絞られたオレの志望校…?』


昭和53年の冬…おフクロ=江畑 リョウ子の腹立たしい“逆ケツタタキ”と、
オヤジ=江畑 帝(みかど)の、「もうチョッとガンバレ的ことなかれエール」
に後押しされて、ドーしようもない多重浪人アホ受験生のオレ=江畑 李下に
とっての、恒例の?受験シーズンが、またまた近づいてきた。


今回の医大受験で、オレが受ける医科大学は、首都圏にある、オレのオツムの
程度に合った…つまり偏差値のテゴロな、↓以下の医科系の大学に決定した。


「自愛堂(じあいどう)医科大学」
「梅林(ばいりん)大学 医学部」
「協亭(きょうてい)大学 医学部」


この私立医大の3校は、入学試験日が「2月の上旬」に集中しており、オレは
正直、この3つのどれかにヒッカカってくれさえすりゃあ、そりゃもうメッケ
モン!…くらいの軽〜い気持ちでいた。


しかしコレらは、あくまでも「 第2 or 3 or 4志望 」の医大であって、
オレの目標は、あくまでもオヤジの出身校の、ご存知 私立医大の雄(ユウ)…


「西都(にしみやこ)医科大学」 だった。


歴史が「頭大の医学部(頭大:理科3類という)」なみに旧(ふる)く、かの“陸
の王者”「京王大学」の医学部と並び称され、大都会東京のド真ん中に鎮座する、
老舗(しにせ)の私立医大である、この「西都(にしみやこ)医科大学」…


オレが(←あくまで当時!)ココロから尊敬し、信頼していたオヤジ=江畑 帝
(みかど)の、出身校であり、由緒正しき この一流医大の、ハレて後輩になる
事ができたなら、ソリゃどんなにシアワセだろうか…なぁんて事を、オレは
自分の実力をタナにあげまくって、ズ〜ズ〜しくも想っていた。


ちなみにその第一志望=「西都(にしみやこ)医大」は当時、全国の医科大学
ん中でも、入学試験日が「3月の下旬」…っていう、いっちばん受験日が“遅
い”部類の医大に属していた。


コレにはちゃんと理由があって…


「3月の下旬」ってぇのは、「頭大:理科3類」などの、国立の超一流医学部ら
と、受験日を、あえて!ワザと!重複させており、それにより、いわゆるヒヤ
カシ受験を出来るだけ排除し、優秀な受験生を徹底的に集める…っていう、い
かにも超一流私立医科大の、プライドある姿勢?を示すモン、だったのだ。




★【第10節:その2】------『受験、ガンバってくださ〜い…?』


そして、ついに…ってぇか、またまた、
多重浪人のオレにとって、恒例の! ン回目の本番当日がやってきた。


おムカイの秀才家庭教師=「武藤サン」にハッパをかけられ、万駄ヶ谷予備校
の名物講師、大石先生=オーさんからも「オマエはデキる、実力を出し切れ!」
とのありがたいオコトバを頂戴したオレは、まず、前述した第二志望以下の3
校の1つ…「協亭(きょうてい)大学 医学部」受験に向かった。


東京の伊田橋区にある、この「協亭(きょうてい)大学 医学部」、モヨリの国
鉄(=現在のJR)の伊田橋駅からバスで受験会場である大学に向かうのだが…


その駅前で、満面の笑みを浮かべた数人のニイちゃんらが、「受験、ガンバって
くださ〜い!…」と叫びながら、手に持ったチラシを、道行く受験生に片っぱ
しから配りまくっている。


大学受験が今回初めての初心者=つまり現役の連中は、ナンの疑いも抵抗もな
く、配られてるチラシをスナオに受け取り…ソレに目をやった後、一様に「フ
クザツ」な表情を浮かべている。


去年も受験場で同じ光景を目撃していた多重浪人のオレは、実はそのチラシの
“正体”を、もうすでに知っていたんで…「ガンバってぇ〜!」と言ってチラ
シ片手にエビス顔で近づいてくるニイちゃんらに対し…


オレは、186cmの長身をさらに背伸びさせ、かなり上のほうから、低いドスの
効いた声で、「…ンだ、ナンか用か?あァ!」的、メンチ切り&ガン付けで威圧
し、二イちゃんらを脅して?後ずさりさせ、決してそのチラシを受け取らなか
った。



読者の皆サマ…
この「チラシ」何だか、想像つきます?




コレ…実は、「予備校の新学期のパンフレット」!


つまり、受験に失敗し、浪人したアカツキには、ゼヒともわが「○×予備校」
に通って下さいねェ…っていう、トンでもない非常識な勧誘行為だったのだよ。


ずいぶん前、「ドリフの大爆笑」で、ご主人が瀕死の状態で、医者と看護婦と大
勢の家族親類が見守る中、いかりや長介扮する女房が、「アナタ、死なないでぇ
〜」と、臨終が近い亭主にすがって泣いている一軒家に、突然、葬儀屋のハゲ
ヅラ加藤チャンが上がりこみ、「亡くなったら、是非、ウチの葬儀社に!!サー
ビス満点、お安くしておきますんで…」って勧誘し、フクロ叩きにあう…って
いう、爆笑辛口コントがあったけど…

(↑このコント…先日 偶然!何十年かぶりに特別番組で再放送していた。)


本番前の受験生に、来季の予備校のパンフを手当たり次第の配りまくる…って
いう、この「○×予備校(←ドコのバカ予備校だ?)」の行為は、まさに“笑え
ないコント”以下の、最悪最低の、軽蔑・侮蔑すべき無神経行為だよなぁ?


「受験、ガンバってください!」だって?ココロにもねぇことイケシャーシャ
とホザキやがって!…って怒っても、まぁ、配っているバイトのニイちゃん方
は、あくまで時給いくらで働いているアルバイト的感覚で、受験生のデリカし
い?心情なんかは、決して察しはつかんと思うけど。(…このアホ○×予備校、
今でもまだコンなバカなチラシ配り、やってやがんのかな?)




★【第10節:その3】------『ついに!ついに!!リベンジ・マッチ本番…?』


ソンナコンナで、オレは受験会場の教室に入り、指定された机に荷物を降ろし、
イスに座り…そして周りの緊張気味の受験生らの横顔をグルッと眺めながら…
自分でも不思議なくらい、落ち着きまくっているのを、ハダで感じていた。


その理由は…


ココにいる、すべての受験生よりも何倍、何十倍も、オレは辛酸をナメてきた
し、ナニより何回も本番の受験を経験してきたし、オレにフィットした、予備
校教師や家庭教師っていう、サポーター、コーチ、トレーナーらとも巡りあう
ことが出来たし…


やることはすべてやった、ナぁんも悔いはない、コレでダメならもうドーにで
もなりやがれ…っていう、サトリの境地?を啓(ひら)いていたのか、はたま
たハッタリ的な自信?…さすがに今回オレは落ちるワケがない…っていう、一
種の自己暗示?みたいなモンかは知らんけど、ミョーに落ち着き?安堵感?が、
カラダ全身に漲(みなぎ)っていたんだ。


ほかの受験生諸君には悪いけど、オレは今回こそ、合格させてもらうよ、アシ
カラズ。まぁキミたちもがんばって下さい……なんちゅう、余裕すらもブッコ
いていられるほど、デンと構えている自分自身に少々驚いたりもしていたんだ。


目の前の机の上には、オレがこれまで苦楽をともにしてきた、ウス汚れたボロ
ボロのノートたちが、ウズ高く積まれている。前後左右の座席には、オレと違
い、緊張しきった受験の初心者たち?が、まるで判決を受ける前の被告人?の
ように、落ち着きなく座っている。


ほどなく、
問題用紙と解答用紙が配られ…


試験官の「はじめ!」の声と共にそれらを表にし、中身をザッと目を通して…



その瞬間、オレは確信した。 「勝った!」と。



そこに印刷されていた問題は、この数ヶ月間、オレが何度も何度も何度も!予
備校や家庭教師の武藤サンらと共に、シミュレーションを繰り返してきたモノ
ばっかりだったんだ。



「受験では、アタマのいい人間がいい点をとる」ことでは決してなく、

いかに本番当日まで、「暗記」しまくり、アタマん中に詰め込んだ膨大な知識や
ら記号やら公式やら単語やらナンやらをキチッと整理整頓し、受験テクニック
(不正とか、ヘンな意味ではない)をマンベンなく駆使して、1点でも多く、
指定された制限時間内に捥(も)ぎ取り、またケアレスミスによる減点=被害
を最小限に留めるように細心の注意を払いながら、大胆に、かつ繊細に回答を
効率よく構築していく…っていう、一種の「RPG=ロール・プレイング・ゲー
ム」なのだ…ってぇことに、オレは今回の受験で、やっと気がついていた。

(↑ナンだか、東大受験漫画「ドラゴン桜」みたいなフレーズ?だなぁ…)


そんなことも判らなかった、以前の「ほとんど白紙」の解答用紙事件?の頃と
は、まるで別人の“実力”を備えていたオレ…あのころの「自分の学力をわか
りたくない、アホな自分」は、もうそこには微塵も存在してはいなかった。




★【第10節:その4】------『サクラ満開と、第一志望ドロップアウト…?』

「協亭(きょうてい)大学 医学部」受験終了後、連日で次の「梅林(ばいりん)
大学 医学部」の受験、また翌日、そのまた次の「自愛堂(じあいどう)医科大
学」の受験…という…

ムッチャクチャとも言える強行スケジュールを、ナンとかコナしたオレは、フ
ラッフラになりながらも、それぞれの結果に、確かな手ごたえを感じてはいた。



で、その数日後…



ナンと!上記の、3校

「自愛堂(じあいどう)医科大学」
「梅林(ばいりん)大学 医学部」
「協亭(きょうてい)大学 医学部」

とも…すべて「合格通知」を!いただくことが!出来たのだった。



コレ、「 サクラ サク 」なんてぇなモンじゃない、

♪チャンチャカチャンチャンチャチャンカチャンチャン〜のケータイ着信音で
オナジミ、一発屋の「小梅太夫(こうめだゆう)の狂い咲き日記」同様まさに
「合格ザクラの乱れ咲き」状態だったのだよ!(小梅太夫、知らんか、皆んな?)


実はオレ自身、その3つの合格を聞かされたとき、まぁ確かに本番中は手ごた
えはあったけど、まっさか!ずべて!オッケーだなんて!!!…コレ、オレ本
人としてはチョイ意外な結果だったんで、今一つピンとこなかったんだけど…


あの、オレの両親…

紳士で、善人(しかし“ウラ”のある)の、オヤジ=「江畑 帝(みかど)」と、
不治の病持ち&罵声浴びせまくりのトンチキおフクロ=「江畑 リョウ子」
の2人の喜びようっていったら…


まるで「盆」と「正月」と「クリスマス」と「夏休み」と「冬休み」と「ハロ
ウィン」と「独立記念日」が、イッショコたんに訪れたような、ソリャもう大
騒ぎ、ドンチャン騒ぎのアメアラレだった。


特に、あんなにオレに対して、浪人時代の後半、「医学部をあきらめろ」とサン
ザンっぱら、暴言のカギリを吐いていた、おフクロは、ガラリと程度を変え、


オレの父方の「江畑(えばた)家」、オレの母方の「安堂(あんどう)家」
っていう、親戚中、さらに友人、知人連中に、オレを吐き捨てる際のダミ声と
はウッテ変わった、2オクターブくらい高く、ビブラ〜トを効かせた大声で、


「えぇ、えぇ〜…オカゲサマで、ウチの長男の...はい医大…受験した3校…
すべて合格いたしました、これで一安心です、はい…はいはい…〜〜〜.」ナン
てぇな具合で、自分の周囲の関係者諸氏に、自宅の電話を掛けまくり、オレの
医大合格を通達しまくっていた。



そんなお祝い騒ぎに、多重浪人から、やっとのことで卒業?できるメドがたち、
すっかり気を良くしたそんなウカレ気味のオレに、あと数日で、オレの第一志
望…オヤジの母校=「西都(にしみやこ)医科大学」の受験が控えていた。



で…

正直言っちゃうと、



情けないハナシだが…この3校の合格の喜び、興奮で、実は「西都(にしみや
こ)医科大学」受験に対するテンション、モチベーションが、スッカリ、ガッ
クリと、落っこっちゃってたんだよな、オレ。


「ナンだ、ダラシない奴だなぁ!」…と言うナカレ。


「西都(にしみやこ)医科大学」を受験するにあたって、オレが合格した上記
3校とは違い、「一流国立大学医学部」並みの実力あるヤツラが集う、トンでも
ない連中を相手に戦い抜くパワーが、もう気の抜けたその頃のヌケガラのオレ
には残っていなかったのだ(…と言いながら前年はよくもまぁ受けたよなぁ…)。



ソンナコンナで、その事情を家族に話し…

オレの医科大学入試は、この時点で、ゲーム・オーバーとなった。


戦績は、「4戦中 3勝 1棄権」…
コレはオレ自身にとっちゃ、充分すぎる結果だった。



で、その合格した3校ン中から…

当時(あくまで当時!現在ではない!)偏差値が最も高く、かつ入学金、授業
料の最も安い、「自愛堂(じあいどう)医科大学」を、オレはチョイスした。




★【第10節:その5】------『自愛堂(じあいどう)医大って、ナンだ…?』


この「自愛堂(じあいどう)医大」…当時はめずらしいキリスト教系の私立の
医科大学で、学内にちゃんと教会もあって、牧師さん?神父さん?(ドッチだ?)
も、講師として宗教学???なんつーモンを教えたりもする、らしくって…


まぁ、今 現在は、日本古来からある八百万(やおよろず)の神サンの存在を信
じていたいなぁ〜と思ってるオレ(←けっして「新興宗教カブレ」じゃなく、
あらゆるモン=万物にカミサマが宿っていればいいなァ…という程度)だけど、


その当時は、ホトケさまもイエスさまもよく区別がつかん、決して信心深いと
は言えないバチアタリ人間?だったんで、「医師免許」が取れるんなら、医大は、
もうドコだっていいよなぁ…っていう、誠に安直な考え方を持っていた。

(注:オレ=江畑は、当時〜今現在まで、「特定の宗教」を持っておりません。)


私立医科大学は、皆サマご存知のとおり、入学金&学費がシャレにならんほど
高額で(…とくに、新設ホヤホヤの私立医大で、しかも医師国家試験合格率の
悪い…つまりダメ医大ほど、ね)、


そのカネを捻出する側の「オヤジ=江畑 帝(えばた みかど)」にとっちゃ、東
京都:杉奈美区の東尾木窪(ひがしおぎくぼ)に念願の自宅を建てたばっかり
だったんで(第7節参照)、オレの合格した3校ンなかで、一番学費の安い、こ
の「自愛堂医大」に決定した…ってぇ経緯(イキサツ)があったのだ。


しかも、この「自愛堂(じあいどう)医大」…構成されている講師、教授、助
教授陣のほっとんどが、かの!オレの棄権?挫折?した、元:第一志望=「西
都(にしみやこ)医大」からの出向組?!で…


ナンかまるで、この2校=兄弟校か、あるいは「自愛堂(じあいどう)医大」
=プチ「西都(にしみやこ)医大」…みたいな雰囲気が実はあったワケで…
まぁ、そう思っているのは、「自愛堂(じあいどう)医大」のほう、のみで、「西
都(にしみやこ)医大」にとっちゃ、「ハナも引っ掛けない」ってぇか、「眼中
にない」状態だったんだろうけれど。


(ラグビーの「早稲田vs明治」=「早明戦(そうめいせん)」で、明治が、ス
ンゲェ早稲田に対し、ライバル心ムキダシにするのに、早稲田側は、さほど意
識はしちゃいない、ってぇのに、どっか似てるかも(…明治出身のラグビー部
OBの方々、スンマセン)。




★【第10節:その6】------『初登場!…妹の“江畑ケイ子”…?』


で、晴れてオレは、「自愛堂(じあいどう)医大」に入学手続きをし、
ようやく暗く辛く苦しい浪人時代に、ヤットコさピリオドを打つことが出来た。


当時、私立高校1年だったオレの妹「江畑 ケイ子」は、
「兄さん、ホントによかったねぇ…」って、涙目で心から喜んでくれた。


丁度、2月14日のバレンタインデーが近かったんで、この妹=ケイ子は、こ
のフガイない兄のオレに、「合格おめでとう」の手紙付きの、手作り妹チョコ(イ
モチョコ?)を、プレゼントしてくれた(…あともう一人、おフクロ=江畑 リ
ョウ子も、まぁ一応「母チョコ」を恵んでくれたけど)。


今にして思えば、オレの「自愛堂医科大合格」を、スナオに純粋に、ナンの打
算もなく心の底から喜んでくれたのはこの妹=ケイ子だけだったかも知れない。


ちなみに、オレが都立高校=(岩仏丼高校がんぶつどんこうこう=第5・6節登
場済み)で、手痛い失敗をしていた経験から、オレの両親は、この妹=ケイ子
だけは、「都立」でなく、「私立」の高校に通わせ、オレと同じ失敗=テツは踏
ませないように、細心の注意をはらっていた。


このケイ子は、いままでも、そしてこの先も、「オレ」と、「おフクロ=江畑 リ
ョウ子」の間のイザコザ、コゼリアイ、争いに頭を悩ましていて、「オヤジ=江
畑 帝(みかど)」に頼まれては、しょっちゅう二人の仲介役をかって出てくれ
る、心やさしい妹だった。



数年後…

この彼女=妹ケイ子は、「美容師免許」を取り…


「オヤジ=江畑 帝(みかど)」の診療所=東京 二本橋 宝町(たからちょう)
にある「江畑クリニック(第3節登場済み)」の ちょうど、ま隣りの場所に、
「ヘアサロン・ケイ」っていう美容院を開業することになる。



しかし…



それから四半世紀後の現在、あの忌まわしい事件=オレら家族が没落→わが江
畑家=一家離散を余儀なくされた、例の「大大大アクシデント」以降…その純
粋な妹=ケイ子とも、行き違いや誤解、トラブルなどが度々生じちまって…



その結果...
オリアイが非常に悪くなり、

今 現在…ほぼ絶縁状態なのは、オレ自身としては、ナンとも残念なんだけどね。






そんなワケで……



★第一幕★
オギャアと誕生→ド貧乏→二流校→多重浪人→ヤットの事で医科大入学 編 

【第1節】〜【第10節】…コレにて終了。まことにオツカレサンでした。




『次回予告』


★第二幕★
コンなハズじゃなかった 幽閉の日々!「自愛堂(じあいどう)医大生」 編

★【第1節】------『サッソク“出鼻”をクジかれてしまいました…?』





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2006年12月18日

★【第9節】------『医大受験を“あきらめろ”と言われてしまいました…』


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『え? オレ(=江畑 李下)が、“野良医者”になったワケ…? それはねぇ……』



ご存知【これでアナタも病院イラズ!ネコでもわかる医学知識集】の著者であ
る、野良医者“エバっちゃん”が、自分の過去を、現在の状況を、そして未来
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★【登場人物】

◆オレ…「江畑 李下(えばた りか)」 元:医学博士…現在、野良医者
◆オヤジ…「江畑 帝(えばた みかど)」 人格者のカリスマ医師 その真の姿は?
◆おフクロ…「江畑 リョウ子」 心臓病を患(わずら)う、薄幸な?専業主婦
◆妹…「江畑 ケイ子」 両親をささえるケナゲな娘 現在、美容院を経営




★【第9節:その0】------『第8節(前回)までの オサライ …』


オレのオヤジ=「江畑 帝(みかど)」は、「カリスマ内科医」・「紳士」・「生き仏
サマ」…っていう、“オモテ”のカオと、「希代のギャンブル狂」・「カネに関し
てドンブリ勘定」…っていう、トンでもない“ウラ”のカオを持っていた。
オレら家族は、その事実をずっと何十年にも渡って見て見ぬフリをし続け……


また 一方、不治の病(心臓病)のおフクロ=「江畑 リョウ子」は、多大なる
ストレスの中、長男であるこのオレに過度な期待をすることで、日々のウップ
ンをはらす、激しい「過干渉」のオンナに 次第に変貌していき、幼少時のオレ
は、その期待や要求に、ムリヤリ答えさせられる毎日を強いられていたが……


従来のサボリグセと、運の悪さ(?)がタタり、結局 二流高校を卒業後、医大
受験に失敗し、多重浪人にまで落ちこぼれ…ついにDV=家庭内暴力まで勃発!
しかし、カリスマ予備校講師らのアツい指導により、徐々にマトモな成績が取
れつつあった、そんなオレにあのおフクロから、またトンでもない発言が……?





★【第9節:その1】------『“いしゃ を やめろ”の 真意とは…?』


「りっくん!アンタ “医者”目指すのヤメて “マンガ家”になんなさい!!」


多重浪人当時、おフクロとソリが合わなかったオレは、自分の部屋に自家製の
カギ!を作り、さらにツッカイ棒をドアにハメ込んで固くロックし、他人が入
れないように小細工をしていたんだが…


例によって、理性でなく感情で行動するウチのおフクロ=「江畑 リョウ子」は、
不治の病に侵されているとは、全く想像出来ないほどの“フルスロットルパワ
ー”で、オレのコサえたチョーツガイ付きのドアなんぞ、いともカンタンに突
き破り、アゼンとして部屋ん中にいるオレの前で、続けざまにこう言い放った。


「りっくん!アンタはねぇ、結局、才能が無かったの!! わかる?? 」


はァ…?ナニ言ってんだ…?
ヒトの部屋のドアをムリやりコジ開けやがった挙句に、このオバハンは?


それにしても、オレ(=江畑 李下)のことを、相変わらず「りっくん」って呼
ぶの、イ〜カゲンにヤメてくんねェかな? オレはもうハタチ(20歳)、犯罪を
犯したら新聞なんかにドウドウと名前なんか載っちまうトシなんだからさぁ…


「所詮はお医者サマを目指すようなウツワじゃなかったのよ、アンタは!!!」


イカン、コイツ目がイッちゃってる。

こういう場合は、シカト=完全無視するに限るんだけど…それにしたって、一
体何なんだ? その“おいしゃさま”っていう、医師至上主義的なイイマワシは?


「万駄ヶ谷予備校の模擬試験でもチットも成果が上がんないし…それで解った
の!アンタには、医者の才能が無いってことが!ソレよりも、絵の才能を伸ば
す事が大事だ、って、やっと理解したのよね…わかる?!」



この、おフクロの言う、
オレに元来備わっている?“絵の才能”について、なんだけど…


オレは、幼少時から、あの2人の親たちとは違って、絵ゴコロがあったらしく、
(健康三昧ブログ=イラスト集参照)


小学校のころ描いていた、赤塚不二夫や長谷邦夫のパクリである、オリジナル
のギャグマンガは、クラスメイトから結構受けていたし、ガキの絵の展覧会な
んかでも結構、賞とか取ってて、オレの作品がT.Vに出たこともあったし…


さらに、高3の現役時代は、受験勉強ソッチノケで、当時まだ普通のアニメー
ターで、「東映動画(株)」を辞め、「(株)日本アニメーション」に移籍したば
っかりの、若き天才動画作家=「宮崎 駿(みやざき はやお)」氏や、「大塚 康
雄」氏 、「森 康二」氏 なんかのオッカケ(?)をやっていて…

(まさかその四半世紀後…あの裏方だった ミヤさんの、俗称「宮崎アニメ」が、
超有名になり、果てはアカデミー賞まで取っちまうなんて、ホントにビックリ!
時代は変わりました…イヤ〜しっかしオレって「先見の明」があるなぁ!)


だから、決して絵を描く…って行為は、決してキライじゃなかったんだけど、
まさかコレを天職にしよう! コレで喰っていこう! なぁんて大ソレたことは、
当時オレ自身は、当然 コレッぽっちも思っちゃあいなかった。


「あのね、アタシね、オトウサン(=江畑 帝)と話し合ったんだけど…オトウ
サンはもうチョッと様子を見ようって、相変わらず仰(おっしゃ)るけど、ア
タシは、もう潮時だと思ってんの!物事には“あきらめ時”ってのがあるわけ
よ、ねぇ、わかる???」





★【第9節:その2】------『ヒツジとチーターの徒競走って…?』

おフクロの、マシンガン一斉掃射のような「戯(ザ)れ事」は、まだまだ続く。


「アタシは、アンタはチーターだと思ったけど、ヒツジだったのよ、わかる?」


オイオイ、
また例によってスッ飛んだ、支離滅裂なことを言い始めたぜ、この人。


「あのね、ヒツジに、チーターと同じスピードで走れ、っていうのが、土台ム
リな話なの。チーターにはチーターの役割があるし(←?)、ヒツジは草を食べ
るのが仕事なの(←??)。だから、アンタは、医者じゃなくって、アンタの好
きなマンガ家になるのが向いているの。だから、今から充分間に合うから、ど
っかの美大へ入りなさい(←???)。…わかる?」





……って、ワカルかぁ !!!




ナンじゃい!! 

そのワケわっかんない、独自の理論の展開はァ…?!!!


そのアンタの言う「ヒツジ」とやらに、性格がヒン曲がるほどムチうって、
「チーター」のように走れ!走れ!と急(せ)かしたのは、一体ドコのドイツ
なんだよ!


だいたい、医科大に入る偏差値がないから、マンガ家になるために、美大へ入
れ…って、考え方が、モロ「短絡思考(たんらくしこう)」だろ? 難易度や地
位や名誉や肩書きをランク付けすると、「漫画家<医者」…ってぇコトなのか?
チョッと待てや、ホントにそうなんか?????


医者なんてモンは、年間「ン千人」っていうレベルで、世の中に生まれる職種
であって…ソレに引き換え、第一線で売れてる 有名マンガ家サン…ってぇのは、
せいぜいもって、全国で「ン十人」だろ? 正直、売れてる ってぇか、喰える
有名マンガ家になる確率は、医者なんかになる確率よりも…はッるッかッに!
低いんじゃあネェの?


あと、「才能=絵がケタ違いに上手い」だけじゃなく、当然「運」も必要だろう
し…コレ、ヘタすりゃ世界の最高学府「ハーバード大学」を卒業するよりもナ
ンギな事なんじゃあねぇのか? 有名マンガ家になるプロセスってぇのはさ?


それから、有名マンガ家さんたちは、必ずしも美大なんかを卒業しちゃいない
んだって。アラレちゃんや、ドラゴンボールの「鳥山 明」氏は、名古屋大学の
経済学部だし、あの亀田のヤ▼ザ親父にケンカを売った、「やく みつる」氏は、
早稲田の商学部、GU-GUガンモや、ギャラリー・フェイクの「細野 不二彦」
氏は慶応の法学部……どのセンセイ方も、オレなんかよりもはるかに高いレベ
ルの大学に通っていらっしゃったんだ。


そしてキワメツケは、かの鉄腕アトムやブラック・ジャックの「手塚 治虫」御
大…ナンと国立の大阪大学医学部出身で、医師免許や博士号なんかも取得して
いる、まさに秀才なのだ!


そんな事実を知ってか知らずか、医学部に入る偏差値が足りない、っていう理
由から、「医者」じゃなくって、「マンガ家」に志望変更、だから「美大」へ入
れ…って…それ“偏見”以外のナニモノでもないんじゃネェのか?「マンガ家」
サンたちや、「美大」の学生サンに対して、大変失礼な発言じゃあネェのかい?


なんでそんな風に、思考が“バイパス”されちまうかなぁ?もう少し、ご自分
の言霊(コトタマ)を、ご自分の中枢神経で、ジックリ熟考して…そっから
自分の口を経由して、世の中に出せゃ、あぁ?


ムカッパラの立ったオレは、目の前のおフクロに対し、例によってまたその
ヘンにある手頃なモンでも投げつけたろか!?…って思ったんだけど…コン
なんとマトモに付き合っちゃ、自分のレベルが下がらぁ…と思いとどまり、
シカト=無視をし続け……ま しかし、ココロん中では、精一杯のボリュームで、


「うるセェな!下がれ ヒカえろ 妖怪ババァ、受験勉強のジャマなんだよ!」

って、怒鳴っていたんだけど。


コレ読んでくれてる、読者の皆サマ。自分の母親と、意思の疎通がはかれない
…ってぇのは、ナンともムナしく、ツラく、実に不幸なことなんですよ。





★【第9節:その3】------『オヤジの反応と、オレの怒りのラストスパート…?』


で、この「突然、目標=医者 → マンガ家 変更」の件を、おフクロと話し合っ
たっていう、当のオヤジに聞いてみた。最近やっと受験勉強にエンジンがかか
ってきたオレだけど、医大受験をあきらめるべきか否か…って事をね。


オヤジ=「江畑 帝(みかど)」は、いつもの草食動物のような ご面相で、


「う〜ん……医者って職業は、“医は仁術から”っていう言葉があるように、
世の為、人の為になる、実にやり甲斐のある職業なんだから…私もいままで
医者になって色々あったけど、その“医は仁術から”を本当に、日々実感しな
がら、この仕事を続けているんであって…もうチョッと医大受験、あきらめな
いで頑張ってみてはどうかなぁ……ふむ。」


と、その当時、オレが“人格者”“理解者”“尊敬すべき人”…と思い、慕い、
信じて込んでいた、その通りの返答をしてくださった。


なるほど、オヤジは、口ではハッキリ言わんけど、オレに医科大に行って欲し
いんだなぁ…やっぱ、あのおフクロと違って、この尊敬するオレのオヤジは、
オレを見捨てずに、暖かく見守ってくれてるんだなぁ…と、オレはオヤジの
引止めの言葉?に、感動すら覚えていた。


で、オヤジは、今から考えると オレに対する単なるエール?応援?のつもりな
のか、全くもってウソだらけのデタラメ千万のことを、最後にこう付け加えた。


「イヤイヤ、医科大ってのは、入るのが相当難しいんだなぁ、入るのが。一回
入っちゃったら、それこそ専門的な勉強をチョコっとやって、スイスイと進級
して…アッというまに国家試験になって…ソレに受かって、すぐ“医者”に
なれるんだから、まァ今が一番ガンバリ時なんだだから、入学しちゃえばラク
チンなんだから、もうちょっと受験勉強やってみなさい、いいね?……ふむ。」


さらに、後年判ることだが、このオヤジが、自分の後継ぎとして、どうしても
オレを医者にさせたかったのは、「医は仁術」=「疾病(しっぺい)を治療し、
仁徳を施す術」という、地位も名誉も肩書もある職に付かせたい…という思い
がある一方で…この、崇高な希望?とは、まったくもって別の“ある思惑”…


とても「仁術」とはかけ離れた、非人道的なプロット…つまり、オヤジ自身の、
“カネ”の損得勘定のために、オレを医者に仕立て上げ、そのオレの職を いわ
ゆる道具として利用する…という驚愕の真実を、当時、オヤジに絶大なる信頼
を置いていた、ハタチ前の 無知で無能なオレは、当然 知るヨシもなかったが。



それ以降、オレはオヤジの 「声無き期待」に、絶対に答えるために、またあの
おフクロを絶対に見返すために...「スミマセン、マイリマシタ」と、キャンと
言わせてやりたい…っていう一心で、とにかくまるで、“ツキモノ”がついたか
の如く、必死に、それこそ寝る間を惜しんで、受験勉強に勤(いそ)しんだ。


で、コレ不思議なモンで…いままで、おフクロにサンザンっぱら「勉強しろォ、
勉強しろォ」…と言われてきた“反動”ってぇか、“反発”で、この「医大を目
指すな!」っていう、おフクロの逆エール(?)は、オレを意地でも!イヤで
も!勉強するような精神状態に駆り立てる結果になった。


実はコレ、人間のヒネクレたココロをウマ〜く突いたウラワザ?的効果なのだ。


例えば、「この件、チャンと言わなきゃダメ、正確に伝えなきゃならないんだか
らね!」なんて言いつけられたんだけど、途中で、ドッカに立ち寄って、バカ
ッ話をして、ついつい忘れちまう…なんてな事もよくある一方で…

「コレは言っちゃいけませんよ!秘密だから、絶対喋っちゃいけないよ!」
なぁんて、強く強く言われると……ナンとなぁ〜く“言いたくなる”っていう、
心理状態って、人間誰でもよくあるでしょ?


今から考えると、あの手のヒラを返したような「医大を目指すな!」の一言は、
あのおフクロの、オレに逆にハッパをかけるための、一種の誘導作戦?陽動作
戦だったんかな?…って、思えてなくもないんだけど(まぁソンな事はないか)。




そして、ついに、またまた、

多重浪人のオレにとって、恒例の! 「ン回目の受験シーズン」がやってきた。



『次回予告』

★【第9節】------『お得意の“第2志望”は、自愛堂(じあいどう)医大でした…?』






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2006年12月13日

★【第8節】------『やっとのことで“恩師”にめぐり会えました…』


オレ:江畑をアワレだなぁ...と思ったら、ココをクリックしてクレぃ! → 
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『え? オレ(=江畑 李下)が、“野良医者”になったワケ…? それはねぇ……』



ご存知【これでアナタも病院イラズ!ネコでもわかる医学知識集】の著者であ
る、野良医者“エバっちゃん”が、自分の過去を、現在の状況を、そして未来
への展望を……すべてアライザライ残らずブチマケる、壮絶衝撃必笑自叙伝!

(気のお弱い患者サンは、↓以下ご遠慮願います。ブッ倒れても知りません?)


============================================

はじめての方は、コチラ ⇒ 野良医者=江畑の自叙伝「 INDEX:もくじ」
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★【ご注意】
以降の記述は、●パーセントが、「ノンフィクション」で構成されております。

★【免責事項】
以降の記述により生じる損害・トラブル等については、著者=ホームレス・
ドクター:野良医者 江畑=エバっちゃん および「株式会社アイナレッジ」は、
一切の! 責任を負いませんのでアシからず。



============================================



★【登場人物】

◆オレ…「江畑 李下(えばた りか)」 元:医学博士…現在、野良医者
◆オヤジ…「江畑 帝(えばた みかど)」 人格者のカリスマ医師 その真の姿は?
◆おフクロ…「江畑 リョウ子」 心臓病を患(わずら)う、薄幸な?専業主婦
◆オーさん…「大石先生」 万駄ヶ谷予備校のカリスマ「化学」講師 オレのココロの師?




★【第8節:その0】------『第7節(前回)までの オサライ …』


オレのオヤジ=「江畑 帝(みかど)」は、「カリスマ内科医」・「善人」・「生き仏
サマ」…っていう、“オモテ”のカオと、「希代のギャンブル狂」・「カネに関し
てドンブリ勘定」…っていう、トンでもない“ウラ”のカオを持っていた。
オレら家族は、その事実を見て見ぬフリをし続け……


また一方、不治の病(心臓病)のおフクロ=「江畑 リョウ子」は、多大なるス
トレスの中、長男であるこのオレに過度な期待をすることで、日々のウップン
をはらす、激しい「過干渉」のオンナに変貌していき、オレはその期待にムリ
ヤリ答える毎日を強いられていたが……


ほんのチョッとのツマヅキで、高校受験に大失敗し、「エセ・スパルタ二流校」
の「岩仏丼(がんぶつどん)高校」を、最悪最低の成績で卒業後、従来のサボ
リグセと緊張感の無さがタタり、結局、多重浪人にまで落ちこぼれ…ついに、
DV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力)ザタにまで発展?して……





★【第8節:その1】------『コレって、まるであの トム と ジェリー …?』


あの一件…

19歳、多重浪人、ニート? & プレ・ヒキコモリのオレ=江畑 李下が、くち
ウルサい おフクロ=江畑 リョウ子に、DV(ドメスティック・バイオレンス=
家庭内暴力)っていう「狼藉 ろうぜき」をカマした事件…


あん時の詳しい状況を説明すると…


オレが振り上げた「木製の座椅子」を、頭上で察知?したおフクロは…硝子(ガ
ラス)をツメで引っかくようなカナキリ声をアゲながら、文字通り「脱兎のご
とく」自らのポジショニングを瞬時に変え…

よ〜するに、心臓病患者にはとても見えないほどの身のコナシで、自らの体を
翻(ひるがえ)し…オレが振り下ろした座椅子攻撃を、スンデのところでかわ
して、難を逃れた…ってぇワケだった(その代わり座椅子の方は、その一発で
コナゴナになり、使いモンにならなくなったけど)。


そのおフクロからオレの暴発!を聞いたオヤジ=江畑 帝(えばた みかど)は、


「 暴力はいけないなぁ〜… 暴力は〜〜〜〜〜……  ふむ。 」


…ってぇな、“ コトナカレ〜 コトナカレ〜 ”の雰囲気マルダシの、草食動物
のようなご面相で、またいつものオキマリ文句を繰り返すのみだった。


まぁ、例によって、「メンドウなことが大キライ」「カネにならないヤッカイ事
には手と口を出したくない」性分のオヤジの「“裏の”性格」からしてみれば、
オレの多重浪人生活なんかは、黙って静観?傍観?しているしか、他にスベが
無かったんだろうけれど。


しかし、それから後も、おフクロはショーコリもなく、なんか事あるごとに、
オレの怠惰な浪人=ニートってぇか、ヒキコモリ生活を口ギタナく非難し、


それに怒ったオレが機関銃のごとく!反論すると、すかさず自分のミミを両手
で塞(ふさ)ぎ、「アワワワワワワァ〜〜〜〜〜」と、自分のダミ声でオレの声
を聞こえなくして シカトする…っていう、古典的なアザトい手を使いやがり…


その腹立たしいアクションに、オレがブチ切れて、再び手を上げようとすると、
まるで牛若丸のようにヒラリと身をかわし、罵声を残して自室へ逃げ戻ってい
く…っていう、激しくキタナい行為を、何度も何度も何度も!繰り返していた。


ナンか、アメリカTV漫画:ハンナ・バーバラの「トムとジェリー」のような
憎み合い?…イヤイヤ、あのネコとネズミのアニメは、2匹ともキャラがカワ
イイし、主題歌のとおりに「仲良くケンカ」してるんで(←あァ、年がバレる)、
微笑ましいなァ、で済むんだけど、


ウチ=江畑家の場合は、怨念&アグリー(醜さ)マルダシの非難合戦を、オレ
とおフクロとで、日々繰り返していたんで…そんなおフクロの存在自体、当時
はオレにとっちゃ不愉快極まりなかったし…


また一方で、「コイツは、あんなにオレが危ない目に合わしてんのに、このオレ
に対する態度を改めるとか っていう、学習能力が全く!ナイんかなぁ…?」っ
て、オレ自身としては、おフクロに、もうアキレかえりまくっていたんだけど。





★【第8節:その2】------『医大の受験科目を、さてドーしましょ…?』


ソンナコンナで、江畑家がオレの多重浪人を期に荒れはじめていたころ...
いつもの「万駄ヶ谷予備校」で、オレは、ホント、タマタマ、偶然に、ある
「化学」の授業を、ヒョンなことから、モグリで受けることになった。


当時、オレの受ける医科大に必要な受験の教科は、
「数学」「英語」そして「理科2科目」の、計4科目であった。


そのころ、「数学」は、オムカイの頭大志望のスーパー浪人生=「武藤サン」(第
7節登場済み)の、実力ゼロ学生のオレに対する、地道なマンツーマンの指導
の効果もあって、オレの成績はユックリ、ジックリと上がりつつある最中だっ
たし、


「英語」に関しては、当時の受験生のバイブル本「試験にでるA単語」や、「試
験にでるA熟語」に加えて、カンタンな辞書マガイ?の単語全集を、一冊マル
ゴト暗記しまくる、っていう最終手段を講じていったんで(…今思うと、最も
効率の悪い学習法!)まぁ、最悪ナンとかなる算段?はついていた(と思う)。


で、残る「理科」の「2科目」なんだけど、


医大受験の場合、「理科」は、
「物理」「化学」「生物」の3科目から、2科目選択することになっていて…


オレはいままでの「自分の失敗してきた、かつての受験」では、「物理」&「化
学」を選択していたんだけど…どうやら自分には、「物理」のセンスがナイんじ
ゃないか…?って、遅まきながら気がつき、結局 理科ン中でも、もっとも暗記
教科?に近い!「生物」をあらためて とり直し…


「英語」の学習法とまったく!同じ、この「生物」っていう教科も、ただひた
すらオレは“暗記”を繰り返し、かつ、医大の過去問を解きまくり、結局丸ご
と全部憶えちゃう(まぁ、コレも暗記だ)っていう、チカラワザを駆使してい
たんだけど…


問題なのは、残る「化学」…


イオンとか、エステルとか、ベンゼンとか、アルデヒドとか、カメノコとかが、
ズラ〜リと並ぶ、まるで暗号を解くようなその授業は、オレにとっちゃ「英語」
や「生物」なんかの、ただヒタスラ「暗記」をしまくる、っていうツケヤキバ
的学習では、とうてい済まない難題ダラケだったのだ。





★【第8節:その3】------『カリスマ予備校教師オーさんとの出会い…?』


で、その偶然受けた「万駄ヶ谷予備校」での「化学」の授業…

講師は、「大石先生 おおいしせんせい」…
受験生は、親愛と尊敬の意を込めて、「オーさん」と呼ぶ、その有名講師(情報
にウトいオレは、当時ゼンゼン知らなかった)の授業が始まって、まもなく…


オレは、
まるでイリュージョンを体験しているような不思議な感覚に包まれた!


とにかく ソレは、オレのアタマん中に、「むずかしい、むずかしい…」と、
ずっと思っていた、化学式が、記号が、法則が…自然と入りこんできて…そし
て自分の記憶のヒキダシに次々に整理整頓され、しまわれていくのを、ハダで
(脳で?)実感した瞬間だったのだから!!!


この、「大石せんせい=オーさん」は、悩める受験生に「化学」というものが、
いかに魅力ある教科か?から始まり…ユーモアとギャグをフンダンにおり混ぜ
ながら、生徒をイッキに自分の授業に引き入れ…受験本番で1点でも多く奪
取?するためのノウハウ=いわゆる受験テクニックを、受講生に懇切丁寧に教
えまくり、


「“カユいところ”“だけ”に 手が届きまくる」っていう、オーダーメイドの受
験マニュアルが、受験生自らして、自然と出来上がっちゃう…っていう、まさ
に当時のオレにとって、奇跡の!希望の!救いの!「神」だった。


オレの卒業した、「岩仏丼(がんぶつどん)高校」(第5&6節登場済)の、ブツ
ブツ呟(つぶや)く口調で 難解な授業をさらに複雑にし、毒性のある硫化水素
の芳(かぐわ)しい香り漂う 化学室に1日中引きコモり、そのクセ 登下校時
には 排気ガスよけの 自前ガスマスク を着用する…っていう、うすらハゲジジ
イの「家松(いえまつ)」っていうド変態教師とは、「月」と「スッポン」、
「ダイヤモンド」と「コークス」、「未来少年コ▼ン」と「宇宙戦艦ヤ▼ト」
ほどの、ウンデイの差があったのだ。


今でいう、カリスマ予備校教師のハシリだった、この大石先生=「オーさん」、
とにかく授業中に笑っちゃうことばっかりおハナシして下さるんで、聞いてる
コッチは、イヤでもその内容を憶えちゃう。


例えば…オレのニガテだった、元素周期表「0族」の覚え方…

「ヘンな(He)ネェ(Ne)ちゃん、歩いて(Ar)くる(Kr)よぉぉぉぉ!」
(He=ヘリウム N e =ネオンAr=アルゴン Kr=クリプトン)…って、毎回
コンな具合。



現在、オレが医療情報や、医学知識を、毒舌とユーモア、ギャグなんかを交え
て、皆サマ方にご紹介申し上げるのは、バラエティ番組のファンであると同時
に、この浪人時代の、化学の「オーさん」の、オモシロイ授業に 多分に影響を
受けてるせい、なのかも知んない。


「いい指導者...優秀なコーチ、優秀なトレーナーがいないと、自分の学力を
100%発揮できない」…っていう、ヤッカイな体質 をもっていたオレ(第6幕
解説済)は、この「オーさん」との出会いで、俄然「化学」に対してヤル気が
出てきて…


当時、席順が決まってなく、早いモン勝ちで座席が決められていた「万駄ヶ谷
予備校」の、その「オーさん」の授業を最前列で聞くべく、朝イチの授業の際
には、明け方の!始発に乗って(←山の手線を何周もしていた愚行とは大違
い!)、まだ空いていない教室の前で、折りたたみイスに座り、授業開始をひた
すら待つ…っていう、


まるでアーティストのライブに並ぶ熱狂ファンや、正月の福袋目当てに 朝も
ハヨから行列を作る、オバチャン連中のような(?)アツい受験生に変貌して
いったんだ。





★【第8節:その4】------『カルテNo.34救命救急の復習です…?』

ココで、以前のメルマガ「カルテNo.34救命救急」の完結編に書いた、
この千駄ヶ谷予備校の化学の講師:「大石先生」=「オーさん」の授業んトコを
↓以下に抜粋しておきますんで(熱心なファンの皆サマなら、憶えてるよね?)。



↓ココから ===============================================


■【危険なドライバー?ベスト3】■■■■■■■■■


「交通外傷 こうつうがいしょう」…つまり"クルマの事故でのケガ"ってなヤツ
で、3次救急=救命救急センターに担ぎこまれるヒトを診るのは、ほとんどが
外科や整形外科…って、皆サマ思われがちだけど…


「救命救急科」をローテーションしてる(=廻ってる)オレら内科医、なんか
も、結構、ニワカ手術!を手伝う事もあるんだぜ。


オレ、西都(にしみやこ)医大病院にいたとき、腎不全(じんふぜん:腎臓の
働きが1/10くらいに落ちちゃった状態)の患者サン、なんかを「緊急透析 き
んきゅうとうせき」(=人工腎臓の処置)する際、かなりオペ室(手術室)に何
度も何度もムリヤリ入らされて…結局、オレが病院中で、一番、手術手技がウ
マくなっちゃった…なんてぇなコトも以前、あったんだな。

(今の「ホーム"レス"ドクター:野良医者」ぶりからは想像もつかんでしょ?)


さて…コレ、昔っから言われてるフレーズ、ってか、言い伝えなんだけど、
クルマ運転してるヒトに聞いた、「危険なドライバー」のベスト3、ってぇのは、
以下の3つなんだそうだ。ご存知かな?


『 一ヒメ、二トラ、三ダンプ 』 (いちひめ、にとら、さんだんぷ)


コレの意味は、



◎ 一ヒメ (いちひめ)………"女性ドライバー"のこと
◎ 二トラ (にとら)…………"飲酒運転"のこと
◎ 三ダンプ(さんだんぷ)……"ダンプカー"等の大型車のこと




以下、詳しく説明していきましょか?




◎ 一ヒメ (いちひめ)………"女性ドライバー"


文字通り、女性のドライバーのこと。ナゼかしら、女性、ってぇのは、運転が
男性よりもヘタ。これは紛れもない事実でしょ?


「空間認知能力」ってぇのが、男性より劣ってる…ってな脳生理学?の分析結
果?がある、そうだけど…チョッと前、『地図の読めない女』ってタイトルの
本があったでしょ?アレと同んなじ理由、なんでしょうかね?(あくまでも
"一般論"ですよ!)


オレ、西都医大の草加アリーナ病院近くで、タクシーに乗ってたとき、ワキか
らきたクルマが、オレの座席近くに、横から突っ込んできたことがあったんだ。


幸い、オレ、チョイ衝撃を受けただけで無事だったけど…フテッくされながら
運転席から降りてきた、そのクルマの運転手…50半ばくらい?のオバハンで、
オレのタクシーの運チャンと(客のオレ、シカト状態で)、相当な時間、道のま
ん中でモメてたなぁ。


ま、言うまでもなく!ハジライ、ミサカイ、ウエストの全っっったく無い、
「典型的、おッばッさッんッッッ」!…だったけどね。


さらにヒデぇのになると、右にウィンカー出して、左に曲がるオバハンドライ
バーもいるんだぜ(オレ自身が目撃したもんね)。


参考:医学的に、これを左右失認(さゆうしつにん)という。脳血管障害とか
で起こる症状で、右と左の区別が付かない状態。こういう患者サンに、医者が
「右手で、左の耳を掴(つか)んでみて下さい。」…って指示すると、たいてい、
右手で右の耳を触ってしまうのだ。


(女性ドライバーの皆サマ、「運転ヘタ」ってぇのは、あくまでも一般論です
んで、クレッグレも!ノークレームで御願いイタシますね……ソコのオバハン、
怒っちゃダメですってば!)




◎ 二トラ (にとら)…………"飲酒運転"


これは言ワズモガナ…ですな。酩酊状態(めいていじょうたい=ヨッパラって
る、ってぇこと)で運転するなんて、ソンなん論外でしょ。


幹線道路沿いの「ドライブイン型居酒屋」?みたいのがよく地方なんかにある
けどさ、アレ、帰りは全員、"飲酒運転"して帰ってくださいませね…ってぇ事、
なんでしょかね?(アレ、出口んトコで一斉取締りやれば、ほぼ"全員"捕まっ
ちまうよな?)


酒も、ドが過ぎると、本当にオッカない!…ってぇことは、いままでサンザン
書いてきたから、ココでは割愛(かつあい)しますんで。




◎ 三ダンプ(さんだんぷ)……"ダンプカー"等の大型車


この「大型車」、説明するまでも無く、モロ"走る凶器"でしょ。
タイヤ外れてゴロゴロ転がっただけでも、ヒトが死んじゃうんだからさ。


これもオレの経験だけど、西都医大の港未来病院での(バカで無意味な→)
研究を終えて、夜中、首都高に乗ってたら…横の車線の大型トレーラーが、
けっこうハデにジグザグ運転してて、「ンだ?クヌ野郎!」…ってぇんで、追い
抜かしがてら、運転席をチラッと見たら、その運チャン、完全に"コックラコッ
クラ" してたんだよ!


オレ、あわてて車間距離あけたどさ…アンなんが大事故を引き起こして、
3次救命救急なんかに直行するんだろうな。あ〜コワイコワイ…



コレは、オレが医家大学受験に失敗し、多重浪人してるとき、「万駄ヶ谷予備校」
時代の恩師「オー先生」のエピソード、なんだけど…


予備校の授業中に、ナンだか憶えてないけど、さっきの「一ヒメ・二トラ・三
ダンプ」の話題が出て…そん時、教壇に立っていた、その「オー先生」が、こ
んなムズかしい?質問をされたんだ。


「キミたち、この 『…一ヒメ・二トラ・三ダンプ…』のなかで、もっとも
怖いのは、一体ドレかわかるかな?」


オレら生徒は、そりゃダンプ(大型車)だ、
いや、飲酒運転だ…それとも女性?…なぁんてイロイロ考えたんだけど……


その「オー先生」、得意気なカオをして、こうおっしゃったんだ。


「キミたち、洞察力ないなぁ! ソンなんで、来年の受験、平気かぁ〜!
…正解はね、『"女性"が、"酔っ払って"、"ダンプカー"運転してる 』ってぇ
のが、最高に怖いんだよ! ワハハハハ!……」


オレはこの最高にオモシロく、アツい先生のご指導のおかげで、受験科目の
理科(=化学)が大好きになった。 後、「自愛堂医大」に入学し、6年後、
オレが無事、卒業して医者になり、一言お礼を言いに「万駄ヶ谷予備校」に
伺(うかが)おうとした直前…


この恩師「オー先生」、ガンで亡くなられたんだ。もう十数年前の話だけどね。



結論。

皆サマ、『酔っ払いの女性が運転するダンプカー』が、もし、万が一、バックミ
ラーに写った際には、「QQ車」の時よりもすみやかに!迅速に!道をゆずりま
しょうね。


(以上、「カルテNo.34救命救急」の完結編より抜粋)

↑ココまで ===============================================





★【第8節:その5】------『医大受験を…あきらめろ…?』


さて…ガゼン!受験にノッてきた、ってぇか、テンションが上がってきた、
(↑遅いと言うナカレ)オレだったんだけど…


ある日突然、あのおフクロが、
オレの部屋に血相を変えて入ってきて、開口一番、こう言い放った。



「りっくん(←オレのこと)、アンタ、医者ヤメて、マンガ家になんなさい!」





『次回予告』

★【第9節】------『医大受験を“あきらめろ”と言われてしまいました…?』




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2006年12月04日

【病棟日誌第一弾“不明熱”編】 の “あとがき”


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◆【病棟日誌:第一弾】
『F.U.O=不明熱 ふめいねつ』編:



---【長い本文の後の“あとがき”】---



親愛なる読者の皆サマ、

著者のDr.江畑=エバっちゃんです。


長きにわたるご愛読、マコトにご苦労さまでした。


このノンフィクション…イヤイヤ、フィクションは、「まえがき」にも書いたけ
ど、オレが「西都(にしみやこ)医大 第五内科」に在籍して、中堅ドコロのド
クターだった頃のエピソードで、今から思い返すと、もう十年以上前の、スッ
カリ「昔話」と呼べるほどの大学病院ドタバタ物語…なのです。



ホンじゃ、さっそく、この「病棟日誌:第一弾ディレクターズ・カット版」の
特典、それぞれの「キャスト=登場人物」の“その後”の詳細を、以下に記し
ましょっか…




★【病棟日誌:それぞれの「キャスト」の“その後★



◆プリンス風林かざん
----------苛山 正義(かざん まさよし:苛山班班長)の、その後…



さて、「かざん」大先生…この一件?におけるオレ(=江畑)のココロが受けた
衝撃?なんてのは、当然、ヤツは知るヨシもなかったんだけど…ナンやら知ら
んが、オレ(=江畑)を自分の子分?仲間?とカンちがいしちゃった、らしく
って、その後、ことあるごとに、「エバっちゃん、エバっちゃん…」なんてな具
合に、オレは相当付きまとわれたんだ。オレのほうが年上なの、アイツ知って
たんかな?


その後も、相変わらず病棟、イヤ、第五内科の医者全員を敵に回して、イロイ
ロとトラブルを引き起こしていて、オレはずいぶん迷惑を被(こうむ)ったよ。
中でも、オレの新しい指導医(…キムタクと、格闘家の魔裟斗を足して2で割
ったようなイケメンドクター)と、病棟カンファレンス中、ど派手なケンカを
おっ始めちゃった時は、サスガに、うゎ…!こりゃ相当マズイ!…って思った
けど。

(↑この話、相当オモシロいんで、また改めてドッカで書きますんで、乞うご
期待!)


彼は、この数年後…オレ(=江畑)と同様、学位論文を書き上げて、医学博士
号をもらい、その後、西都(にしみやこ)医大:第五内科の医局を辞めて、故
郷の義布県にある実家に帰った、らしい。オレと違って、実家が、たしか由緒
ある大病院かナンかを経営していたんで、ソコを手伝ってんのかも知んない。
あるいは独立しているのかも。


一人娘の実穂チャンは、今じゃ、リッパな女子高生?あたりになってるんだろ
う。ああいう「かざん」大先生みたいな、若いころムチャクチャやってたのが、
結構いい「お父さん」になってるパターンって、実は多いんじゃないでしょう
か、ね…?




◆舎弟のわたみず
----------研修医 綿水の、その後…



オレの唯一の舎弟(しゃてい)?だった、研修医の綿水(わたみず)だけど、
本文にも書いたように、仁井潟県の関連病院に移って…その後まもなくアイツ、
西都(にしみやこ)医大に戻り、そのままココの「第一内科」に入局した…

つまり、オレの当時所属してた、「第五内科」には入らなかったんだな。オレの
勧誘がアマかったのかなぁ? 本人は当時、「すみません、江畑センセイ…」っ
て、やたら恐縮してたっけ。


それから数年後…オレが西都(にしみやこ)医大をヤメたあと、何かの用事で、
なつかしの西都医大の付属病院に行ったとき、ある病棟で丁度、第一内科の「教
授回診 きょうじゅかいしん」の真っ最中で…ソコで、久っさしぶりに、綿水の
姿を見た。主任教授のま隣にいて、患者のカルテなんかを説明してたんだ。


回診後、オレが声をかけると、アイツ(綿水)は、ビックリした様子で、「江畑
センセイ、お久しぶりです。」なんて、懐かしそうに挨拶してきた。「オマエも、
もう5年目くらいになるの?教授回診で教授補佐役?なんて、たいしたモンじ
ゃない?」…ってオレが言うと、「ヤだな江畑センセイ、僕、もう“10年目”
ですよ。」…ってのを聞いて、オレ相当!驚いちまった。オレの気づかない間に、
「時間」ってぇのは、そんなに過ぎ去ってしまいましたか、ってね。




◆むぎのはらサン
----------看護師 麦野原 嬢の、その後…



今回の、カゲの主役?である、「むぎのはらサン」…いゃ〜、オンナはオッカな
いね。ホント、見かけによらんモンなんだねェ〜…って痛感した今回の事件…
まぁ、イロんな意味で、いい勉強になりましたよ実際。


あとから聞いたハナシによると…この「ナース麦野原」、その後、かの「風林か
ざん」大センセイと別れたあと、ナンと!今度は、オレ(=江畑)の新しいネ
ーベン(=指導を受ける新米の医者)とつきあってた!…なぁんてな、トンデ
モ情報が、当時のオレをミミに入ってきたんだ。


そのオレのネーベン先生も、実は「妻帯者」だったことから、どうやら、この
「ナース麦野原」、妻子持ちの男性しか愛せない恋愛体質?らしい…ってぇこと
が判明した(=あくまでオレの独断&偏見による人物分析ですんで)。


そういや、病棟に、「憂いのある妻子持ち中年男性」が入院してくると、この「ナ
ース麦野原」、その都度、ソワソワ、ウキウキしていたっけ。特に、某・美人女
優と結婚してた、某・小説家(=個人情報保護のため、敢えて名を伏す…)が、
このVIP病棟に検査入院してきた時なんか、周りがビックリするくらい、マジ
狂喜していたもんな。


精神医学的に言うと、こういう女性ってのは、たいがい、極度の「ファザコン」
で、コレが病的なほど、妻子ある男性のみ=恋愛対象…ってなっちゃうらしい。
ソリゃ、当時のオレ(=江畑)なんかが、ハナも引っ掛けられないワケですよ。
このユガんだ恋愛体質…まぁ、気の毒…っちゃ気の毒な病態?なのかも知れな
いけどね。




◆オカマのトラちゃん
----------奥河原 虎八(おくがわら とらはち:VIP病棟長)の、その後…



このカマトラ先生、ホント、お世話になったなぁ。オレ(=江畑)が、あの事
件の直後、原因不明の高熱出して倒れちゃって、病棟が手薄になったとき、オ
レの受け持ち患者サン、「ドクターかざん」と一緒にフォローしてくれていたっ
け。


アレ?それって、オレ(=江畑)じゃなくって、「ドクターかざん」の為に、ヒ
トハダ脱いでくれてたのかな? まぁいいや。とにかく、見かけによらず、タヨ
リになるヒトです。


このオカマのトラちゃん、ヒトがいいモンだから、第五内科の雑用をいつもイ
ッテに引き受けちゃってて、それが重荷になっちゃって、よくストレスからく
る神経性胃炎を起こして、しょっちゅう自分用に処方された胃グスリを、医局
でイッキ飲みしてたな。「エバっちゃん、病棟長はタイヘンなのよぉ〜…」なん
て、シナを作りながらね。


風のウワサで聞いたトコロによると、今、第五内科の「次期 次期…」くらいの
教授候補、らしい(…ウソかホントか知らんけど)。オカマの医学部教授なんて、
相当にめずらしいんで、是非!ガンバってもらいたいモンです(…あと、もう
イイ年だけど、いまだに独身らしい…って、アっタリマエか)。




◆ゴナイのアラジョー
----------荒井 城太郎(あらい じょうたろう:第五内科主任教授)の、その後…



「ニッコリ笑ってヒトを切る!」…でオナジミの?この偉大なる将軍サマ、ゴ
ナイのアラジョーこと、-荒井 城太郎:第五内科主任教授は、数年後、オレ=
江畑が論文書き上げて、ココの医局をやめた、丁度同じ時期に、教授を退任し、
その後、関連病院の院長に「アマくだって」いった。


その際、次期教授の選出…ってぇのが、まぁ当然あったんだけど、このアラジ
ョー教授が自ら推薦した愛弟子の、「某:助教授A」と、ソレに対抗出馬した、
「某:助教授B」の、事実上の一騎打ち…っていうのが、ケッコウ大騒動にな
っちまって…


で、その推薦もらってない、「某:助教授B」、実は、オレ=江畑の臨床研究班
のボスで、さらにその「某:助教授B」の一派には、このエッセイに登場した、
ご存知「風林かざん」や、「オカマのトラちゃん」も入ってて、アラジョー教授
には内緒で、ヒソカに選挙活動をやっていた、らしい。


当時、オレ=江畑は、自分の学位論文(=医学博士になるための研究)に大イ
ソガシだったし、ソレ取ったアカツキには、サッサと辞めちゃう予定だったん
で、次期教授選の選挙活動ドコロじゃなく、一人「カヤの外」だったけど。



で、結局、
「某:助教授B」が、ナンと!勝利しちゃうんだけど…

まぁ…そのヘンは、イロイロあったんですよ、ホント、イロイロとね。(ページ
がないんで、このあたりのトンデモ話は、また改めて書きますんで、ね)。




◆オレ
----------江畑 李下(えばた りか)の、その後…



オレ(=江畑)は、この一件?の数年後…西都(にしみやこ)医大と提携?し
ている、土地義県:宇津野宮の、公立病院に左遷=よ〜するにトバされて…ソ
コで研究論文を書き上げて、学位論文=医学博士号をとったあと、サッサと西
都(にしみやこ)医大:第五内科の医局(いきょく)をヤメちゃったんで…


だから、その後の西都(にしみやこ)医大:第五内科の詳しいことは、正直よ
く判らない部分もあるんで、前述の部分には、多分に間違いがあるかも知れん
けど、ソコんトコロは、何卒(なにとぞ)お許しクダサイませ。


ま、西都(にしみやこ)医大:第五内科を脱北(?)したあと…オレは、晴れ
て自由の身になり、遅まきながらの「青春」を謳歌していたんだけど…

(↓ココからは、ご存知、いつものパターン)


数年前、大大大アクシデントにあった後…
オレが心から信頼し、尊敬していた、ある人物(=近しい身内)に、
モノの見事に!騙(だま)され、謀(たばか)れ、そして大いに裏切られて…
「カラダの健康」「ココロの健康」「オカネの健康」…この3つの健康すべてを
奪い取られ、

トドのつまり、オレは、「野良医者=ホームレス・ドクター」になっちまった…
なんてぇな事実は、親愛なるオレの読者諸氏ならば、もうトックにご存知です
ね?

(「その件をもっと詳しく教えろ!」…ってぇな声が、多く寄せられるんだけど、
コレ、今ある理由があって喋れないんだよなぁ。「大アクシデント」って何なの
か、その「身内」って誰なのか…いつかオレが“真実”を話せるまで、どうか
キナガにお待ちくださいませ。)




…というわけで、
オレの「病棟日誌:第一弾」はコレにて終了。オツカレさんでした。


さらに「病棟日誌:第二弾」も、ディレクターズ・カット版製作中ですんで、
コチラも大いに!ご期待下さいませ。


デハマタ!  by 江畑 李下(医学博士、総合内科医)



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【病棟日誌第一弾“不明熱”編】:その6          「病院の中心で、愛を嘆く」(びょういんのちゅうしんで、あいをなげく)


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今回の【病棟日記その6】で、いよいよこの『F.U.O=不明熱 ふめいねつ』編
は、最終回だ。長い間のご愛読、まことにありがとうございました。では早速、
本編スタート!




オレがあの「おじいさん」の家族からの電話を切った後、
丁度、その「ドクターかざん」が、医局(いきょく)に入って来た。


何か知らんが、イヤにウキウキしてやがる。


「いやぁ〜江畑先生、ステキな物をもらってしまったよぅ!」




その手に握られていた“モノ”を一目見た“瞬間”、オレは、自分の“心臓”が、
「致死性不整脈 ちしせいふせいみゃく」を起こさんばかりの衝撃に襲われた。



「江畑先生、ボクら、あのVIPのおじいさんが亡くなったり、ナンだカンだで、
バレンタインどころじゃ無かったよねぇ? で、さっき病棟に顔を出したら、
“先生、これ…”ってさぁ、やっと彼女からもらえたよぅ!」



ヤツが自慢気にオレに見せた、その物体…


それこそ、数日前、VIP病棟のナースラウンジで、
オレが見た、リボン付きの、赤と白の“細長い包み”だった。


「苛山(かざん)先生、それ…」

「あぁ、ネクタイさ。アイツ、ちゃんとボクの好みのを買ってくれたんだな。
全く、可愛いヤツだよなぁ。」


「それで…相手は…?」

「いやぁ、ノーコメントだよ。ボクは妻と娘を愛しているからねぇ。ただ、ボ
クの新しい“プリンセスちゃん”は、江畑先生のよく知ってるナース…とだけ、
ヒントを差しあげるよ。 あれ、バレちゃったかな?ファッハッハッハハッ……」




何という事だ!




「ドクターかざん」の愛人、 「蓼(たで)食う虫」の正体は…




あろうことか!




あの

おじいさんの受け持ちナースの!


あの病棟No.1の! あの働き者の! あの水野真紀似の! あの泣き虫の!






「麦野原さん」…だったのだ!!!











数週間後、木枯しが吹く寒い日の夕方、
オレはあの「おじいさん」の実家の法要に、一人でうかがった。



そん時、研修医の「綿水」は、規定の研修が無事終わり、オレと別れて、
次の勤務先の、仁井潟県にある関連病院に「人事異動」された直後だったし、



あの「麦野原さん」には、



迷ったけど…  オレ、結局 声を掛けられなかったんだ。




その「実家」ってのが、目ン玉飛び出るほどの、超“大御殿” だった。


一代で、大企業を築きあげた苦労人の証、って事なのか、まさに絵に描いた
ような“豪邸”が、暮れなずむ街の一角に、静かに建っていた。



「江畑先生、よくいらっしゃいました。」って、家族の方に“歓迎”をされれば
されるほど、オレは恐縮した。


だだっ広いリビングを通り、仏間に通されると、金色に輝く立派な仏壇があり、
その中に、写真になったあの「おじいさん」の笑った顔があった。


オレは、
その遺影の前で手を合わせ、心ん中で、語りかけていた。

「オレら、もしかして、あなたを苦しめただけ、だったんですか?」
「あの病院、あの病室は、あなたの最期の時を迎えるのに、ふさわしい場所、
だったんですか?」…


もちろん、そんな問いかけに答えてくれるはずもなく、写真の「おじいさん」
は、ニッコリ笑ったまんま、ローソクの明かりに揺らいでいた。




線香をあげ終わり、帰ろうとすると、「先生、おじいちゃんの思い出の写真、見
ていって下さいな。」って、家族の人が、“大きなアルバム”を見せてくれた。

そこには、病室(VIP個室)に入院している「おじいさん」と、その家族や親
戚、見舞い客、それから、病棟の医者、ナース、スタッフ達、等の“スナップ
写真”が、たくさん収まっていた。


「オレ」や、
今はもういない「綿水」の写真も、そのアルバムの中にあった。


もちろん、
オレの班の班長、「ドクターかざん」の写真もね。


「おじいちゃんが入院したてのころは、雰囲気がよかったですよねぇ。でも、
後から、江畑先生の上司の、“苛山(かざん)先生”がいらした頃から、何だか
ねぇ...」


そんなこと、今さら言われても、オレには何も言えなかった。




その中に、あの「麦野原さん」の写真があった。


彼女は、いつもと変わらぬ、聖母サマのような微笑みを浮かべて、車椅子に
座ってる「おじいさん」と、2ショットで写っていた。



家族の人が、微笑みながら溜息をつき、そして、しみじみと言った。


「この“麦野原さん”には、おじいちゃんも私たちも、本当にお世話になりま
した。 気立てが良くて、やさしくて、本当にいい看護婦さんです。明るくて、
美人だし、よく気が利くし、こんなすばらしい娘さんがウチの家族の誰かと結
婚でもして、この家にお嫁にでも来てくれたなら、どんなに幸せでしょうかね
ぇ…」


「あのさぁ! その“かざん”と“麦野原”の2人、付き合ってるんだぜ!
しかも不倫なんだぜ!!」


オレは、そのコトバを飲み込むのに必死だった。




用意して頂いたタクシーに乗り、自宅に向かう車中で、オレは突然、原因不明
の“吐き気”に襲われ、夜の環状八号線で、何度もタクシーを止めて、ドアを
開け、吐きまくった。



それから、三日三晩、
40度近い“高熱”にうなされ、自宅療養を余儀なくされた。



大学病院を休んだのは、
後にも先にもこの時の「一回」だけだった。



え?

熱の原因?


いまだにわからない。



原因が、未だに解らない、“熱”…






ん?



アレって、






もしかして…「F.U.O=不明熱」?











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



★「ホーム“レス”ドクター」の
“連続小説風疾患別医療現場暴露裏話的病棟日誌”

◆◆◆『ハダシで逃げ出せ、こんな病院!』◆◆◆
★【F.U.O不明熱 ふめいねつ】編 (全6話)

【病棟日誌第一弾その1】---“U.F.O”? No!“F.U.O”! ---
【病棟日誌第一弾その2】--- 風林“苛山”着任!---
【病棟日誌第一弾その3】--- BINGO!! We did it! ---
【病棟日誌第一弾その4】--- プリンス“かざん”、不倫す ---
【病棟日誌第一弾その5】--- 予期せぬ“退院”---
【病棟日誌第一弾その6】--- 病院の中心で、愛を嘆く---



★【キャスト】★

◆オレ
----------江畑 李下(えばた りか)
◆プリンス風林かざん
----------苛山 正義(かざん まさよし:苛山班班長)
◆舎弟のわたみず
----------研修医 綿水
◆むぎのはらサン
----------看護師 麦野原
◆オカマのトラちゃん
----------奥河原 虎八(おくがわら とらはち:VIP病棟長)
◆ゴナイのアラジョー
----------荒井 城太郎(あらい じょうたろう:第五内科主任教授)

◆F.U.O(不明熱)のおじいさんと、その家族の方々

◆西都医大 港未来病院
(にしみやこいだい みなとみらいびょういん)職員の皆さま



★【スタッフ】★

◆企画:  江畑 李下
◆製作:  田部 晃  【株:アイナレッジ】代表
◆総指揮: 江畑 李下
◆脚本:  田部 晃 &【株:アイナレッジ】『総合健康ドック』企画部
◆原作:  江畑 李下
◆編集:  田部 晃 &【株:アイナレッジ】メルマガ編集部


★【ロケ地】★

◆西都医大 港未来病院 ほか




★次号予告★ 【病棟日誌第一弾 あとがき】



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【病棟日誌第一弾“不明熱”編】:その5          予期せぬ“退院”(よきせぬ“たいいん”)


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前回の【病棟日誌その4】のラスト、ポケベルが鳴って、受け持ち患者さんが
“急変(きゅうへん:症状が急激に悪化すること)”した、って連絡を受けた
ところから、早速スタートだ。


オカマのトラ先生(奥河原病棟長)の話によると、“急変した患者”、ってのは、
なんと!あの例の「おじいさん」だった。


F.U.O(不明熱)で入院し、椎間板炎の治療で症状改善し、退院間近だった、
あの「おじいさん」が、急変!?


一体何が起こったのだ!?オレは愛車(9年オチ昭和58年製 アズキ色
TOYOT▲ マー●供砲鬟屮暖瑤个靴董病院に向かった。


病室にスッ飛んで行くと、丁度、当直だった奥河原トラ病棟長、そして先に着
いていた研修医の綿水(わたみず)が、必死におじいさんに心肺蘇生(しんぱ
いそせい:心臓マッサージなどの救命処置のこと)を施していた。


「原因は?」汗ダクの綿水から心臓マッサージを替わったオレが聞くと、奥河
原トラ病棟長は、「わからん!とにかくボスミン(強心剤)を1アンプル打て!」
と、大きな声で怒鳴った。(オカマの「奥河原トラ病棟長」は、“超”緊急時に
は、“男”に戻るんだ。)


夜勤ナースからの報告によると、どうも夜、何かを食べていて、誤嚥(ごえん:
誤って気管にモノが入り窒息すること、誤飲:ごいん、と同義語)したらしい。
高齢の患者によくあるパターンだ。だけど、よりによって、何もこの「おじい
さん」が、って気持ちが、オレん中で渦巻いた。


遅れてドクター苛山も来た、
家族は泣いている、
「どうかお願いします!」って叫んでる、
緊急の点滴がいくつもぶら下がる、

「イノバン全開!メイロン追加!」
夜勤ナースが、入れ代わり立ち代り、病室を出入りする、

血圧がふれない、
「カルチコール、ワンショット!」
モニター上の心電図は、心マ(心臓マッサージ)をやめると、フラット
(拍動がない)の状態になる、

「DC用意!250Jでチャージ!」
綿水の抱えるアンビューバッグ(人口呼吸の際に使う、“ふいご”のような道具)
だけが、規則正しく、正確に、血の通わない肺に空気を送っている…





結局、


数時間後、その「おじいさん」、亡くなってしまった。





死因は、

恐らく「誤飲による窒息」。


なんで、どうして、“恐らく”なのかって?
死因を確定するためのゼク(病理解剖)を、家族が拒否したからさ。



「もうこれ以上は結構です。先生方はよくやって下さいました。本当にお世話
になりました。有難うございました。」って、ご家族の方々は言ってくれたよ。


「オレ」と、「奥河原トラ病棟長」、「ドクター苛山」、「研修医 綿水」の4人は、
ナースステーションで、しばらくの間、動けなかったな。いままでの数週間は、
一体何だったんだろう、ボーッっていう感じでね。



こうして、この「おじいさん」は、
思いもよらない残念な形で、「死亡退院」していったんだ。




亡くなった次の日、前夜のことを、何も知らないで出勤してきたナースの
麦野原(むぎのはら)さん、「おじいさん」が亡くなった、って事を聞いて、
泣いて泣いて、その日は仕事にならなかった、らしいんだ。


ホントは、それじゃナース失格なんだけど、やさしい麦野原さんらしい
エピソードだな、って思ったよ。




この「おじいさんが死亡退院」っていう報告は、当然、外来主治医である、
あの「“荒井”第五内科主任教授」にもお知らせしなきゃならない。

オレはますます胃が痛くなった。


以前、ある先輩ドクターが、こんなことを言ってたっけ。

「おい、エバっちゃん、あの荒井教授にニラまれたら、この医学界じゃ生きて
いけんぜ。」


また、別のある先輩は、「江畑、アラジョー教授の“ウラ稼業”、知ってっか?
コレだぜ。」って、ひとさし指で、自分のほおにナナメ線をひいてたなぁ。


さらに別の先輩ドクターは、「あのアラジョーの目をみろよ、ありゃ“4人”
くらい、確実に埋(う)めてるぜ!」


…なんて、皆さん、口々にオゾマしいおハナシを、マコトシヤカにおっしゃっ
てたんだ。(オレ、その恐ろしいエピソード、大学病院ヤメるまで、トラウマに
なりました。)



しかし結局、アラジョー教授は、やや不満足そうな表情をしていたけど、「まぁ
残念だが、仕方がないね。」ってな感じで、一応は納得して下さった(ように、
オレには見えた)。


だけど、その下の“助教授の先生”(←教授の補佐=次期教授?)ってのが、
「受け持ち班のドクター3名!“荒井教授”がチャンと納得されるような報告
書を書いて、提出したまえ!」

…なんてムネのことを言ってきた。



え?

それって、

「報告書」って名の、いわゆる「始末書」ってこと?


オレ、自己弁護する気はサラサラなかったけどさ、このおじいさんが、残念な
結果に終わったのは、いわゆる不可抗力的な部分が殆どなんじゃないのか?

ナンでオレらが「始末書」なんだ?



…って思ったけど、当然、口には出さなかった。

もし、教授グループに逆らえば、「横浜みなとみらい地区」あたりの再開発区域
の地中深くウメられる!…かも知んなかったからね(“5人目”なんて絶対イヤ
ですんで)。



奥河原トラ病棟長は、「まぁ…江畑っちゃん、仕方ないわねぇ、班長の“かざん”
くん、研修医の“綿水”くんたちと、よく相談しなさいね。」なぁんて感じで、
頼りねェ…っていうか、病棟長のお立場としては、ごくごく“アタリマエ”な
コメントをおっしゃった。



で、その“かざん”は、ってぇと、

「ボクは途中からの参加だったから、この方の病態の全部を把握していないん
だなぁ。入院時からの経緯がワカるのは、江畑先生、キミだ。キミがこの報告
書、書きなさい。綿水クンは研修医だしね。うん、やっぱりキミがいい。」

って、コッチが意見言う間もなく、一方的にこの残務(=始末書書き)を押し
付けてきやがった。


「クヌ野郎ゥ! スットボケた、ネムッたいことヌカシやがって、いっぺん
“キャン!”ってイわしたろか!?」…っていう“怒りのマグマ”が、オレ
ん中で臨界点寸前!になった。


綿水(わたみず)のヤツが、「ドウドウ」、ってぇな感じで、オレのタヅナ、引
っ張ってなかったら、マジ、この「かざん」のヤローに飛びかかり、オレの
十八番、「ビクトル投げからヒザ十字固め」っていう必殺技を、ヤツにホンキで
食らわしていた、かも知れない。




それから数日後の、病院当直の夜、オレが医局(いきょく:病棟とは別にある、
医者の詰め所)で、「内科学会」用の自分の研究データの整理をしていると、
外線(院外からの電話の呼び出し)が入った。

出てみると、あの「おじいさん」の家族の方からだった。


「江畑先生、その節は大変お世話になりました。実は今度、故人の法要がある
ので、是非、自宅にいらして下さい。」って申し出だった。


オレは、結局この「おじいさん」を生きて、“退院”させることが出来なかった、
申し訳ないんで、遠慮したい、って言ったら、「それでも、線香の一本でもあげ
ていって下さい、お願いします。」って譲らない。


「解りました。うかがいます。じゃあ、上司の“苛山(かざん)先生”にも
声をかけておきます。」…ってオレが言ったら、「いやぁ、あの先生はちょっと、
ご遠慮願いたいんです、何卒、お願い致します。江畑先生と、綿水先生、それ
に看護婦さんの麦野原さん、のお三人で結構ですから…」

…って言われちまったんだ。


オレが電話を切った後、丁度、その「ドクターかざん」が医局に入って来た。


なにやら、意味深な、
ニンマリ、ってな感じの“笑み”を浮かべながら…



次回、
いよいよこのシリーズは「最終回」。
乞うご期待!



★次号予告★【病棟日誌その6】(最終回)

「“病院”の中心で、愛を“嘆く”」
(“びょういん”のちゅうしんで、あいを“なげく”)




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2006年11月29日

【病棟日誌第一弾“不明熱”編】:その4          プリンス“かざん” 不倫す(ぷりんす“かざん” ふりんす)


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※はじめて の かた は コチラ ... ⇒ 「INDEX:もくじ」の トップへ


前回の【病棟日記その3】、やっと「不明熱」の原因がわかり、治療も順調、
ってとこから、今回はスタートだな。


あの例のおじいさん、順調に回復していたが、我が班の受け持っている、「重症
患者」さんたちは、当時、他に何人も(常に10人以上!)いたんで、オレら
は、決してヒマじゃあなかった。

「ドクターかざん」の暴走は続いていて、オレは、あっちこっちの病棟で、
ナース達スタッフに、「江畑先生、あんなのの下で、よくガマンしてるねえ。」
「よく怒んないねえ。」…てなことを、いっつも言われていた。


あるナースなんか、オレの顔をシゲシゲと見ながら、「先生って、スゴイねぇ、
絶対、他のドクターたちとイザコザをおこさないもんね。あたし江畑先生の
そんなとこ、尊敬するなぁ…」なぁんて言われたこともあったんだ。



ここで、読者のみなさん、こんな疑問、抱いていないだろうか?


「おい!ドクター江畑よ、オトナシイぞ! 」
「今のホーム“レス”ドクターぶりからは想像できないぞ!」
「ナンだ、オモシロクないぞ!…」       


…なぁんて事をさ。



あのねぇ、


「地位」も「名誉」も「財産」も、
「プライド」も「定職」も「家」も「クルマ」も
「カラダの健康」も「ココロの健康」も「オカネの健康」も、


ぜ〜んぶ!無くした、

住所不定、携帯電話不所持の、“日雇い労働”で、ギリギリ、メシ食って生き延
びてる、スッカラカンの、スッテンテンの、ナガレモンの、ヒトリモンの、
ハズレモンの、野良医者=ホーム“レス”ドクターの、“現在の”オレなら、
(【カルテNo.0】「ホーム“レス”ドクター颯爽登場!」の項 参照…)


「ザケンじゃぁねぇよ!バァロォが!」ってな具合で“チャブ台”でもナン
でも、ひっくり返しちゃって、ケツまくりまくっちゃう、かもしんないけど…


その当時(約十年前)は、所属してる教室(西都医大:第五内科)に、オレの
「シッポ」(=いわゆるドクター生命)をガッチリ!シッカリ!バッチリ!握ら
れてた状態だったんで(参考:そのへんのエピソードは、後日別の「病棟日誌」
にでも書く予定)、

そんなムッチャクッチャな、自分のタマシイのおもむくままに…なんてぇな事、
絶対に出来ない立場、だったんだよ。(オレも若かったんだよな、解ってくださ
いな。)


この「かざん」と、「他のドクター」のあいだの、“スイス”共和国みたいな(?)
中立の立場、ポジションをキープする、ってぇのが、結構、っていうか、非常
に!タイヘンだったんだ。

オレがもし、「その他大勢のドクター」側につくと、
ドクターかざんと「治療方針」とかが対立しちゃいそうだし
(なんせ受け持ち患者さん、人質にとられてる、みたいなモンだから)、

「ドクターかざん」側につくと、全病棟(病院?)中のドクター連中、
すべて敵にマワしそうだし…オレなりに、相当に!神経を使ってたんだ。


このころから、オレ時々、“腹痛”をおぼえ始めたんだけど、ハラん中に、
胃or十二指腸潰瘍なんてぇのも、もしかしたら出来かかってたのかも知んない。
(「かざん」のヤツ、ピロリの耐性菌よりタチ悪し!)



…で、激務の毎日に加え、「ドクターかざん」のシリヌグイで、テンテコ舞い
だった、そんなオレの耳に、なんやら、ミョ〜な“ウワサ”が流れてきた。



かのデコボコ王子、「ドクターかざん」が、病棟のナースや、テクニシャン
(臨床検査技師)のおネエさん達を片っ端から“口説きまくって”いる…
っていうハナシだった。



オレは最初、それを聞いたときに、


あの、プリンス“かざん”が?  風林“かざん”が、“不倫”!?


なんだか、下手なゴロあわせじゃあるまいし、
…んなアホな!…って、一笑にふしていたが、ある先輩Dr.達からの、

「おい、お前んとこの班長の“かざん”ってヤツ、以前配属されてた飛田鷹山
の病院で“不倫”してた、って知ってるか?…アイツこの病院でもヤルんかな
ぁ?!」…ってな、マコトシヤカな情報を耳にして、改めて「ホンマかいな?」
って考えてみたんだ。



“ドクターかざん”は、妻帯者だし、

「コレ、ムスメの実穂、ミホちゃん、カワイイでしょう?ホラ!」ってな感じ
で、幼稚園に通う自分の愛娘の写真を、オレも、研修医の綿水(わたみず)も、
看護婦の麦野原(むぎのはら)さんも、何度も、何度も、何度も! ムリヤリ!
見せられたことがあったし、(元々バカで、ついでに親バカ?)なぁんか、普通
に家族を大事にしている、ってぇ印象しかオレは持っていなかった。


それと、第一、たとえヤツが女好きで、ノベツマクナシ口説いていた、とした
ってさ、低身長 & 首なしズングリムックリの外見 & あの“性格”じゃ、女
性のほうが相手にしないだろうよ、


まぁ、「蓼(たで)食う虫も好きずき」っていう諺(ことわざ)があるけど、
あの、トンデモキャラを愛する“マニア”がいるなんて、とても信じられなか
ったんだ。



で、何でも、後から聞いたウワサによると、


ヤツ(かざん)の、落トシの!テクニック?ってのは、例の、オレは名門一族
の出だの? サラブレッドだの? プリンスだの? で、世が世なら、自分は、名
門、苛山家(かざんけ)の若サマだ、なぁんてアホなことを吹聴して、ボクは
プリンス、キミはプリンセス……ってな、ヘンな汗かいちまうような、身体中
がムズガユくなりそうな、訳わからんことクッチャベって、ネチッこく口説く、
らしいんだ(!)。



コンな、完全に、オツムテンテンな!この「暴走プリンス:かざんせんせい」
の、阿呆マル出し!な、“クドキ文句”で、オトせる女性?って、この病院、
いや、この世の中にホントにいるんかぁ? オイオイ?…って思っていたんだ。




ところが、だ!



ど〜も、「いる」らしいんだな…その“蓼(たで)”を食う“虫”がさ。


なんだか、「“ドクターかざん”と女性が歩いてんのを見た」とか、「愛車のビー
エムに、どこぞのオネーちゃんを乗っけてた」、なぁんて噂がひっきりなしに聞
こえてきた。


オレは病棟のナースステーションで、自分の書いたカルテを眺めながら、ニッ
コリ(ニンマリ?)としている渦中の!「ドクターかざん」の横顔をマジマジ
と見ながら、

(へぇ〜、この“変人プリンス”に、“愛人プリンセス”ねぇ…)なぁんて思っ
てしまった。


どうせ、「かざん」本人は、そん時ゃ、「嗚呼、ボクの書くカルテは完璧で、美
しい…」なぁんて、ウットリモードでナルシスティックに、悦に入ってたんだ
ろうけれど。


そんで、あの“奥河原トラ病棟長”が「ドクターかざん」の書いたカルテを手
に取り、コレ見よがしにオレに言うんだ。


「江畑っちゃん、見て! この“苛山”クンのカルテ!いつ見ても見事よねぇ…
アンタも少しは見習わなくっちゃねッ!」ってな具合で、相も変わらず“カマ
っけ”タップリに、自分の後輩の「かざんくん」をホメちぎってる。


いっつも、コッチがヘキエキするくらいに、あんまし熱烈に語るんで、ホント
「カマトラ病棟長(Dr.奥河原)」、と、「プリンスかざん」この2人、マジで、
デキてんじゃぁねえか?…って、オレ本気で勘ぐっちゃったな。

(想像するだけで“逆流性食道炎”にナリそうだ、オえっぷ!)


ただ、「カマトラ病棟長」の言うとおり、この「プリンスかざん」、
“日ペンの美子ちゃん”の例文なみに、字“だけ”は素晴らしかったな。
(★「江畑先生、タトエが古すぎます!」:株アイナレッジ編集部注)


それに引き換え、オレなんか、カルテに、“読めるモンなら読んでみろ!”って
な象形文字!を、よく書いては「ナース達」や、「カマトラ病棟長」にしょっち
ゅう文句言われてたもんな。


ちょうど巷(ちまた)は「バレンタイン・デー」間近、ってこともあって、
「やぁ、今年の2月14日は楽しみだなぁ。」なんて事をホザいている、不倫疑
惑のドクターかざんを見ながら、

オレは、「ど〜せ、その愛人?とやらが、もし、仮に、万が一、なんかのハズミ
で、間違って、タマッタマ、実在した、としたってさ、アタマとオカオに問題
をおかかえになった“ド変人”なんだろうよ…」なぁんて事を考えていたんだ。




さて、そろそろ例の「おじいさん」の退院も近いこともあって、
オレは、退院後の治療スケジュールを伝えに、V.I.P病室へ向かった。


当のおじいさんは、リハビリ科へリハビリテーションに行ってて不在で、部屋には、研修医の綿水と、麦野原さんがいて、おじいさんの家族と話をしていた。

すると綿水のヤツが、「江畑先生、この麦野原さん、2月14日に備えて、カレ
にプレゼントを買ったんですってさ。」…なぁんて言ってきた。

麦野原さんも、「やぁだ、彼なんかじゃあないですよ。そういう綿水先生は“彼
女”いるんですか?」なんて、照れて赤くなっている。

おじいさんの家族の方も、「もう2月ですよねぇ、長居をさせて頂きました。」
って笑ってる。


全く、「プリンスドクターかざん」も、「綿水」のヤツも、「麦野原さん」も 、
ミナさま、このあいだまでの苦労をスッカリ忘れて、ナンだか浮かれハシャイ
じゃってて、いいご身分でございますねぇ…


あ、そうだ、
このおじいさんが退院したら、オレ、この麦野原さんとメシ食うんだったなぁ、


あれ?何かくれんのかな?何かな?


なぁんて久々にいい気分になって、オレは病室を出て、茶でも飲もうと、
ナースラウンジ(ナースの詰め所)に入った。


部屋は無人で、机の上に、見覚えのある荷物が置いてあった。

麦野原さんの私物だ。
その脇の紙袋の中に、リボンのかかった、
赤と白の包装紙の、明らかに「贈り物」とわかる、細長い包みが入っていた。


あの大きさは、十中八九、「ネクタイ」だな、と、オレは直感した。




それから数日後の夜、病棟での激務がひと段落し、久々に(?)自宅にいる
オレのポケベル(当時は“携帯”なんて無かった)が、突然鳴った。


病院に連絡してみると、丁度その夜、病院当直だった、
“奥河原トラ病棟長”が電話に出てきて、大声でオレに怒鳴った。


「江畑っちゃん! アンタの患者、“急変(きゅうへん)”したわよ!!」




次回、話が急展開する!乞うご期待!



★次号予告★【病棟日誌その5】
「予期せぬ“退院”」(よきせぬ“たいいん”)





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