「え?病院キライ?オレも大キライだぜ!」
ご存知、野良医者“エバっちゃん”が、シキイの高い医学界を、力いっぱい引きずりオロし、
細かくクダいてさしあげる、一番ワカりやすい「ツレヅレ雑談」“That's done!”

2007-08-16

【病棟日誌第二弾“静脈瘤破裂”編】:その5        ラストバトル                              (らすとばとる)

オレ:江畑をアワレだなぁ...と思ったら、ココをクリックしてクレぃ! → 
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※はじめて の かた は コチラ ... ⇒ 「INDEX:もくじ」の トップへ


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いよいよ今回は、
あの「胃静脈瘤」に対する、オレらの、最後の“戦い”だ。


決戦当日の夕方、“小仏先生”と、“南”が、第1内科の『内視鏡(胃カメラ)セクション』から、オフィシャルグレーのカバーのかかった大きな塊(カタマリ)を、移動用キャスターに乗っけて、オジサンの寝てる「リカバリー・ルーム」に運んできた。

コレが、
ウワサの新兵器、「舶来品の内視鏡(胃カメラ)」か。


そのカバーをはずす。

……ナンじゃ?この“奇ッ怪”な“器械”は?

色も形も、“管”そのものは、日本製のものと比べて細いんだけど、つながってる「吸引機」や「変圧器」、「光源」その他の本体部分が、通常の倍くらいデカい。

新兵器を構え、
操作する第一術者は、1内(いちない=第1内科):ホトケの「小仏先生」、
補佐=第二術者は、わが5内(ごない=第5内科):オレの師「金沢先生」、
オレ=江畑は、硬化剤入りのハリ付き極細クダを構えていつでも準備万端、
研修医の「南」はそのオレの補助、
病棟長の「鶴ヶ峰先生」も総監督としてスタンバイしている。

そして、ナース(看護婦)、テクニシャン(技師)側も、淀橋婦長ら、われら5内のメンバーに加え、1内から内視鏡専門のスタッフが駆けつけてきている。

以上のような混成チームで、
いよいよ、オペ=新内視鏡的対胃静脈瘤硬化療法(!)が始まった。


オジサンは覚悟を決めたのか、“サトリをひらいた”ような、穏やかな表情で、前処置(ぜんしょち:局所麻酔の点滴投与など)の準備を受けていた。

逆に、オレはというと、ハズかしい話だが、相当“緊張”していたんだ。

失敗したら、相当、高い確率で、“死”ってことになる。
この器械で、果たしてホントに止血なんか出来んだろうか?…ってね。

セデーション(=沈静用のクスリ)の点滴を、ウデの静脈に落とす。それは数秒で効果があらわれ、オジサンはウトウトとし始めた。


「それでは、挿入します。」

小仏先生と金沢先生が、
まず、アナ空きマウスピースをくわえたオジサンの口に管を入れる。
それは、すぐに食道を通り抜け、胃の奥のポジションまで無事に届いた。

いつも、
ここまではスムーズに行くんだけど、問題なのはこっからなんだ。

小仏先生が、ゆっくり内視鏡を反転する。
ティーチング・スコープ(=内視鏡:胃カメラの“二股ソケット”)を握った金沢先生が、慎重にアタリを探る。

「いた、小仏先生、アレです!」

内視鏡(胃カメラ)の視界に、
ドス黒い血液を垂らしている“静脈瘤”が、その姿を現した。

今まで、さんざんオジサンを、そしてオレらを苦しめた“真犯人”は、その青黒くでっ張った“グロテスク”な姿を、内視鏡(胃カメラ)のライトの明かりにサラしていた。

今は幸い、わずかな出血でおさまっているようだ。が、すぐにでも大出血を起こすかも判らない、“時限爆弾!”だ。

小仏先生が、
スナイパーのように手首の微妙なスナップを利かし、狙いを定める。動きが止まる。

どうやらエモノをとらえた様だ。

金沢先生が言った。「よし、挿入。」

オレと南は、極細のクダを、内視鏡(胃カメラ)のサイドの穴に入れた。
エッジをきかせた管に添うように、ゆっくり、挿入を続ける。

「ストップ!」

ハリ付き極細クダは、
その先端をヤツのハナ面(ズラ)に突き出したようだった。

金沢先生が、オレからゆっくり極細クダを受け取る。
小仏先生が、もう一度、内視鏡(胃カメラ)を慎重に固定し…


「いきます!」
そう言って金沢先生は、ハリ付き極細クダを、静脈瘤の一点に突き刺した!

そしてすかさず、オレに叫んだ。
「いまだっ、江畑っ、インジェクション!」

オレは指示された量の“硬化剤”を、極細クダの根元から一気に注入した。

「この静脈瘤ヤロウめ!コレでも喰らいやがれ!」オレは心の中で叫んだ。


オジサンの顔が、苦悶にゆがむ!


「硬化剤」の静脈瘤への注入、ってのは、
患者本人にとっては、いくら安定剤で意識をモウロウとさせていても、“相当な痛み”を伴うモンなんだ。(←この治療に従事した医者“だけしか!”知らない事実。)


一瞬、静寂が走る。


「O.K、よし、いいぞ!」 Dr.小仏が言った。

「出血していない、この調子だ。」


場所をずらして、固定する。
そして、再び内視鏡から出た極細クダを、静脈瘤に突き当てる。

Dr.金沢が言う。「江畑、硬化剤!」
オレは「こん畜生め!」ってキモチを込め、再度、薬剤を注入した。


Dr.小仏が言う。
「…よし、順調だ! 次の箇所!」



そんなプロセスを、何回も何回も繰り返すうち…


あの青光りしていた静脈瘤は、
徐々にその隆起(デッパリ)をなくしていき、
ドス黒い出血も、やがては認められなくなっていったんだ。



何分?…いや何十分?…経っただろうか?

静脈瘤は消えていた。


終わった。 なんとか無事に終わったんだ。


汗ダラッダラ状態で、
白衣の下がビッショリだったオレは、
ここでやっと、みんなの顔をグルッと見る余裕が出来た。

全員、極度に疲労してるんだろうけれど、その顔は満足感で輝いている。
金沢先生が、満面の笑みを浮かべて小仏先生と握手してる。
南のヤツは、また床にヘタリこんでいる。

オレは早速、
控え室に待機している奥さんと娘さんに報告に行った。

「依然、予断を許さない状況ですが、1つのヤマは、どうやら超えたようです。」

そして、リカバリー・ルームに戻り、麻酔の醒(さ)めかけたオジサンに言った。

「やったよ、血が止まったよ。」

曖昧(アイマイ)な意識の中で、
オジサンは涙を流していた。ベッド脇に来た奥さんも娘さんも泣いていた。
オレらは勝った。

ついにあの “イマイマしい”胃静脈瘤に勝ったんだ。


ヘタバってた南のヤツが、思い出したように言った。

「みなさん、確か、ドクターズ・ラウンジにビールがありましたよぉ、みんなでグッといっちゃいますかぁ?うぇ〜…」

「いいね、賛成!」 「早速、乾杯といこうか?」

…って、
みんな、疲れを忘れて盛りあがってんのはケッコウなんだけど、

オイオイ!
オレだけ“酒”飲めないってえの! 下戸(ゲコ)だっての!!!
































アレ?


……どこだココ?


「ドクターズ・ラウンジ(医者の休憩室)」の天井が見える。


ゆっくりと起き上がる。 …ガランとした部屋……
目の前の机の上には、スポーツ新聞や、ビールの缶、コップ、柿ピー、せんべい、スナック菓子、チョコレート、スルメイカ、菓子パン、ポテトチップ……なんかが、アッチャコッチャ、キッタならしく散乱している。


どうやら、オレは、
ここ「ドクターズ・ラウンジ」のソファで寝たいたらしい。

時計を見る。 アりゃ、もう9時だ。

そうか…あのオジサンの治療が、大成功に終わって、オレらは、ココ(ドクターズ・ラウンジ)へ来て、プチ宴会騒ぎをやってて、皆んなで大盛り上がりしちゃって……オレは例によって、酒ダメなんで、全然飲まなかったけど、過労気味だったんで、結局、今まで寝ちまったんだろう。

ふと気がつくと、反対側のソファには、南のヤツが、ドテ〜ッってな感じで、熟睡してる。

…んっのっかっ〜…ぴっしっ〜やっすっう〜〜っっつう〜
……ってな具合で、まったく…ホントにコイツ、罪のないネガオだ。

班長の金沢先生や、1内の小仏先生の姿は無かった。
たぶん、オレと南をそのままにして、帰ったか、あるいは、医局(いきょく:医者のツメ所)あたりで、また忙しそうに仕事をしてるんだろう。

さぁ、今度は、あのオジサン、全身状態をもっともっと良くして、栄養付けさせて、他んトコにまた静脈瘤とかの合併症がないか、今のうちにチェックしておいて…

オレが、
あのオジサンの今後をアレコレ考えていると…

ガチャン!と、扉が開き、


「…ア? 江畑せんせぃ…?」


ここドクターズ・ラウンジに、あの“ブルボン林国原”が、ひょっこり現れた。

例の“内科学会の準備”とやらで、
おおかた、ナレない居残り仕事でもナサってるんだろう。


「…キミ、まだいたの?ボク、例の学会の準備、ナカナカ進まなくってねぇ…」

そう言いながら、
ソファに座ってるオレの隣に、ドッカと腰を下ろした。


「…そうそう、ボクの患者、あの“吐血オジサン”、助かったんだってねぇ、イヤおめでとう。ウンウン……だけど…う〜ン…正直、チョッと迷惑…かなァ〜…ナァーんてね。…あの患者、退院したら、またボクの外来で、見なきゃいけないんだよねぇ…」


オレは口を真一文字に閉じ、黙っていた。


「…でさぁ、またまた吐血なんかしちゃって、また入院…かな? で、その時、ボク、診るの、またチョッと遠慮したいナァ…だからさぁ、江畑せんせぃ、キミの班、また受け持ってくれないかなぁ?…その時までキミがこの病棟で研修、やってればねぇ……イヤ〜冗談冗談!ジョークだってば!…」


例の、キグライの高そうな?コロンのニオイが、あたりに充満しはじめた。


「…キミはエライ!休みも返上して、患者診るなんて、大したもんだよ!江畑せんせぃ…だけどね…正直申し上げるとさぁ…そもそも、“内科の病気”ってのはさ、残念ながら…完全には、なおんないモンが、多いのさ。ココ“消化器内科”は、ガンや肝不全ダラケだし、 “腎臓内科”は、結局、透析(とうせき)だし、“神経内科”は、アリャ医者が診断だけして満足する科であって、結局、治療といったらリハビリとステロイド投与、だけだしね…」


ブルボンのクセのある声が、「ドクターズ・ラウンジ」に響きわたってる。

「…唯一、内科のなかで、マトモなのは、“循環器内科”かなぁ?……え? だって、心臓止まっちゃって、緊急入院した患者、けっこう助かって、オモテ玄関から退院していくでしょ?ところがだよ、他の内科病棟なぁんて、どうせ再入院か、裏口退院(=死亡)ってのが、かなりの数、いるよねぇ?…」


机の上に、誰かの飲みかけの、
ぬるいビールが、大きめのマグカップに半分ほど注いだマンマになっている。


「…この消化器病棟をゴランよ。月に何人の患者が入院してきて、そのうち何人の患者が死んでるんだい?こんなステルベン病棟、マッタク、なんのための入院施設なんだかネェ…ボクら、やる気なんか無くなっちゃうよねぇ。ホントはキミもそうなんでしょ?…あんなお先マックラな患者、押し付けられて、実はムッとしてたんじゃないの、江畑せんせぃ?」


オレの耳には、
ブルボンの戯言(ザレゴト)が遠慮なく注ぎ込まれて来る。


「…だからさ、結局さ、内科のなかで、“循環器内科”の医者だけが“エリート”なんだよね。ボク、今、内視鏡(胃カメラ)やってるけど、そのうち医学博士号とったら、循環器のほうに移って“血管内視鏡”を学ぼう、って思うんだよ。少なくとも、こんな病棟には残ってない事だけは確かなんだよね。…」


オレの鼻には、
ヤツのコンクな(=濃度のコい)香水が浸入してきている。


「…で、ホントはボク、この“消化器病棟”にいるようなニンゲンじゃあないんだよね。こんな病棟、患者と家族の別れを演出する、セレモニー(儀式)の役割しか成してないんじゃぁないの?もう死亡宣告するのも、死亡診断書かくのも、イヤでも慣れちゃったしねぇ…ホント、まいっちゃうね。」


オレの目には、
気の抜けたビール入りマグカップが写っている。


「…結局、あのオジサン、サヨナラの儀式が、チョッとばかり伸びたに過ぎないんじゃないのかな?…いずれ、だれかが看(み)取ることになるんだよねぇ。肝硬変って、5年はもつけど、10年はもたない、って、ボク思うんだけどねぇ…あの人、あれは今年中にまた再入院のパターンだよねぇ、きっと。」


オレは、
おもむろに手を伸ばし、ビールの注がれたマグカップを掴(つか)んだ。


「…エ? アレ? 江畑せんせぃ? ねぇ……?」


ブルボンの言葉を無視し、
オレはそのマグカップに口をつけ、イッキに中身をノドに流し込んだ。


「…ア!…キミ、飲めないんじゃなかったの?……」


なまヌルい“琥珀色の液体”は、アルコールを全然受け付けないオレの食道を、痛みと熱をともなって通過し、オレの起きがけの胃を直撃した。


「…キミキミ、大丈夫かな?…飲めない人がそんな飲み方すると、あのボクの患者、肝硬変吐血オジサンみたいになっちゃうかもよ?…ハハハハハハ…」


そう笑いながらブルボンは、
オレの右肩に、自分の左手をトンと無遠慮に乗せた。


その瞬間、


オレのココロん中で、何かの「タガ」が“パッキン!”とハズれた。


「…まぁまぁ、キミ、そうムリしないで…」

オレは、右肩に掛けられた、
ブルボンの左手首を、オモイッきし!逆関節をキメるようにネジリあげた。


「…キ、キみょりゃありててったたたたたぁ…!!」


フイをつかれたブルボンは、
目を大きく見開いて、まるで化けモンを見るようにオレを凝視した。


オレは構わず、もう片方の手で、ヤツの、鳥のハネで出来た、ご自慢のケバケバネクタイを掴(つか)んで、立ち上がりざま、ムリヤリ天井に突き上げた。


「…ごぐびゅっつつ…げゲら…!!!!!!」


ヤツの身長は、自称「170cm」、それに比し、オレの方は「190cm弱」だ。 必然的にヤツは足が届かなくなる。アワレなオボッチャマは、お気の毒に、必死に背伸びをしてイラっしゃる。

(自称170って言ってるヤツは、たいてい170なんかネェんだよ!)


まるで、ネクタイでのハングマン(つるし首)か、正月アメ横のアラマキジャケ状態のブルボンの耳元に、オレは、低く、ゆっくり、噛んで含めるように、こう流し込んだ。

「ブルボンよ…あんましオイタが 過ぎると“お尻ペンペン”どころじゃあ済まなくなるぜ…。」

そう言って、
オレは、ヤツのハデハデネクタイから手を離した。

同時に、ご自慢のサラサラな御髪(オグシ)が乱れ、
顔がサーモンピンクに変色したブルボンは、ソファにぼてっと崩れ落ちた。


「…エ、江畑あッ…ごぶ…き、キミゃ〜…研修医のブンザイ……ウば…」


あれ? コイツ、まだ元気じゃん。

ブルボンの“生きのよさ”を確認したオレは、
オレを睨みながらソファでゲホゲホ咳き込むヤツの背後にすばやく廻り込み、左手で左肩関節を前から絡(から)め取る様に、後ろ手にシめ、右手を顔の前から頚動脈〜アゴにまわし、左後頭部あたりで両手首をガッチリとロックした。


やや無理な体勢からの、
片羽顔面締め(かたはがんめんじめ)、
正式名称:チキンウィング・フェースロック、っていう必殺ワザだ。

チキン(卑怯モン&根性ナシ)の、
コイツにゃ絶好の“サブミッション”(=関節技:関節を極める荒技)だろう。

ヤツの顔面に走ってる三叉神経 第二枝 および 第三枝を、
オレの右腕の骨(=トウ骨)が圧迫し、左肩関節と顎関節も同時に極まっている。

「…はかァが……ま……らガ……ラあ〜!……ばぁア………!」


ミリギリッと、顎関節が、鈍い音をたてて軋(キシ)む。
ビルグビッと、左肩関節が、悲鳴をあげて撓(シナ)る。
「......げエぇ!べ〜…〜れ…ゥげ…〜…!!!」


その体勢のまま、
オレは再度、ブルボン林国原の左耳に、ゆっくりと囁(ささや)いた。

「オメーは、よく“ボクの患者ぁ”、“ボクの患者ぁ”言うけどなァ、あのオジサンは、もうオレらの患者なんだよ。ワカってんのかぃ?…」


「…えゲゥ…〜…ぁ〜ごェ…!!!!!」


「あのな、ニンゲンの価値ってぇヤツはだな、親からもらったモン、全部、カラダから取っ払って、あとに何が残るかで決まるんだぜ。んで、オメーにゃ一体、ナニが残るんって言うんかな? エ? ぶるぼんちゅわん?…」


「……ゥ…………べ!!!!!!!」


何にも気づかないで眠り続ける“南”の「寝息」と、
バタ足状態でモガく“ブルボン”の「声にならない悲鳴」と、
ブチ切れて、怒りに燃える“オレ”の「オセッキョー&荒いハナイキ」が、

ガラ〜ンとした、
夜の「ドクターズ・ラウンジ」に、響きわたっている。


ブルボンのサーモンピンクの顔面は、だんだんドス黒く変色し始めた。
これが医学的に言う、「チアノーゼ」っていう、O2=サンソ不足の状態だ。

さらにもう少々、シメ続けると、確実に、「意識レベル300=昏睡(こんすい)状態」になっちまうだろう。オレはここで自分の両手首のロックを解除した。

ブルボン坊っちゃんの「キャッチ・アンド・リリース」ってワケだ。
オレの「サブミッション地獄」から開放されたブルボンは、
床に“女座りで”ヘタリ込み、カラダをマルめて激しく喘(あえ)いだ。

極彩色ネクタイの毛は毟(ムシ)り取られ、ワッペン付白衣はシワだらけ、アルマーニ?のブランドおズボンにはホコリがつき、大量のアブラ汗と鼻水が溢(あふ)れ、ヨダレが糸を引いて垂れまくり、涙イッパイのその目は半分、飛び出て充血している。


「…ブぁ〜!!…げよげよゲヨ…ごボ……!!!ら…!!!!!!」


ヤツめ、アゴが左に1cmほどズレてやがる。いいツラだ。
そして左手は、まぁ、アレじゃ、当分使いモンにゃナランだろう。


「…江ばふぁっ!ホンなほとをふぃて、ハバでふむとおもふなひょっっ!」


アンだってぇ?

ンな、フニャフニャ言ってたってよ、
あに言ってっだか、サッパシワカンねぇなぁ。
それにしても、アレっほど“シめ上げた”のに、まだチョイ元気あるよなぁ…
オメーの生命力は、チャバネゴキブリ並みかぃ?…

ホンじゃ、次は、しゃがみ込んでるコイツの“大泉門”
(だいせんもん:アタマ=頭蓋骨の頂点にある、骨の合わせ目のところ)に、全体重かけたオレの30cmスニーカーのカカトでも落としたろっかなぁ……

…ってなことを思いつきながら、
顔面紅潮状態のオレは、フラリとソファから立ち上がった。


「…アふ、ぶェ〜っ!!!…」


ヤツは、アゴを右手で押さえ、
草食動物のようなマナザシでオレを見ながら悲鳴をあげた。


「…ぶぉ…ボうりょふ、ハんふぁいっっっっ!!!…」


意味不明なオタケビをあげ、
ブルボン林国原は、「ドクターズ・ラウンジ」から、ホウホウのテイで逃げていった。


オレはヤツを追っかけなかった…いや、追っかる事が出来なかった。

天井がグルグル廻ってて、
ドウにか、かろうじて立っているのが精イッパイだったんだ。

イカン、
今度はオレの意識が遠のいてきた。

やっぱ、酒なんていう慣れないモン、イッキ飲みなんかしちゃダメなんだな、カラダ全体が、風呂に入ってるようにマッカッカだ。

オレは、
そのままアオ向け状態で、バッタリとソファに倒れこんだ。

耳もとで自分の心臓の音が、アルコールの副作用?で、ハヤガネのように脈うっている。自分の吐く息が、熱くってしょうがない。


学生時代、夏休みに、沖縄・石垣島でダイビングをやったとき、
海ン中から、上にある水面をみて、太陽がユラユラ、ゆらいでいたのがキレイだったけど、…いま、天井にある「ドクターズ・ラウンジ」の丸い蛍光灯が、そん時のオヒサマのようだなぁ…


ナぁんか、気持ちイイやぁ……も〜…ド〜にでもナリやがれってェの……
オレは、そのままズブズブと、
“無抵抗”のまま、“無意識”っていう海の底にゆっくりと沈んでいった。


次回、
いよいよこのシリーズは最終回!

デハマタ!

by 江畑(医学博士、内科医)



★次回予告★
【病棟日誌:第二弾 その6】(最終回)
桜舞い散る道の上で
( さくらまいちるみちのうえで )




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posted at 21:54:15 on 2007年08月16日 by ebata - Category: ◆カラダの健康

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